## 長寿の配当

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## Bibliographic details
- Authors: ANDREW SCOTT, PETER PIOT
- Published: June 6, 2025

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### 概要と主要メッセージ
- 人口高齢化を「破滅的」とのみ見るのをやめ、長寿化を社会が享受できる機会として捉えるべきである。
- 長寿の配当を享受するためには、ふたつの根本的な視点の転換が必要である:
  - 高齢化社会を問題としてのみ捉えるのをやめること（長寿化は20世紀の主要な成果のひとつであり、好機と考える）。
  - 現行制度を維持するために個人の行動を変えさせようとする非現実的な試みをやめ、平均寿命の延伸に適応できるよう支援することに集中する（Scott 2024）。

### 長寿化への適応（人口構成と労働市場）
- 現状の人口動態の事実:
  - 現在、世界の10人に1人は65歳を超えている。
  - その割合は今後50年間で倍増する見込みである。
  - 日本や中国では既に人口減少が始まっている。
- 労働市場での高齢者の役割:
  - OECDによると、欧州では過去10年間の労働者の増加（雇用人口が1,700万人増）における90%が、50歳を超える労働者の急増によるものであった。
  - 日本では、その割合がさらに高い。
  - 欧州や日本で、高齢労働者はGDP成長の主な推進力となっている。
- 政策の含意:
  - 定年引き上げは公共財政に有益だが、個人がより長く働き続けやすくするには限定的効果しかない。
  - 50歳以上の雇用を促進するためには、健康、スキル、年齢に応じた仕事の創出など、幅広い政策パッケージが必要である。
  - 年齢に応じた柔軟な勤務時間、肉体的負担の少ない業務、自律性のある仕事などの提供が重要。

### 疾病負担の変化と予防の重要性
- 疫学的移行と疾病負担:
  - 20世紀の平均寿命延びは、感染性疾患から慢性的な非伝染性疾病への移行を引き起こした（Omran 1971）。
  - 非伝染性疾病は現在、世界の疾病負荷の60%を占めている。
  - 欧州連合では81%を占めている。
- 健康度調整平均寿命（健康寿命）は総平均寿命ほど速く延びておらず、疾病率が上昇している。
- 予防への移行を後押しする3つの要素:
  - 寿命が延びると大半の人が慢性疾患を経験することが予測されること。
  - 構造的リスクと遺伝子のデータが増え、的を絞った介入が可能になること（社会経済的要素が重要）。
  - 生物学の進歩（例: GLP-1受容体作動薬「オゼンピック」「ウゴービ」など）が複数疾患の発症を遅らせる可能性を示している。

### 生涯にわたる健康への投資と制度再設計
- 目標を「健康な90歳」に置く場合、健康への取り組みは幼児期に始め、遅くとも中年までに開始する必要がある。
- 医療費配分の主要指標を「病気の治療や手術の実施」という観点から、健康度調整平均寿命（健康寿命）に移すことを提案。
- 資金調達の選択肢:
  - 予防には追加支出が必要であり、政府債務を増やすか、将来の利益を財源にするソーシャル・インパクト・ボンドのような革新的手段が考えられる。
- 技術とイノベーションの役割:
  - 生命科学やバイオ医薬品への投資は、治療法や費用対効果の高い予防の開発につながる可能性がある（老化科学、がん治療、合成生物学、ゲノミクス、改良ワクチン等）。
  - ロボット工学は介護の解決策になり得る（日本での実証例）。
  - デジタルイノベーションと人工知能は、デジタルリテラシーへの投資を前提に、個別化された医療と予防改善の大きな可能性を秘めている。
- 予防への転換はヘルスケア以外の部門（企業、あらゆるレベルの政府、地域社会、食品・住宅産業等）との協働を必要とする。
- 公衆衛生政策の例: 不健康な食品への課税や運動と健康的な生活を奨励する施策。

### 雇用促進とマクロ経済効果
- 労働参加の年齢別の現状:
  - 欧州では、40代後半の人の90%近くが労働力になっている。
  - しかし、60代前半までには労働参加率が半分を下回る。
- 健康介入による経済効果（英国のエビデンス）:
  - 50歳で心血管疾患と診断された人は、仕事を辞める可能性が11倍高い。
  - 6つの主要な慢性疾患の発生率が20%減少すると、労働参加率の上昇により、GDPが5年以内に1%、10年以内に1.5%増加する（Schindler and Scott、近日公表）。
  - この効果は、50〜64歳の労働者で最も顕著である。
- 雇用政策の補完措置:
  - リスキリングや生涯を通じた職業移行支援。
  - 年齢差別禁止法などの法制度整備。
  - 高齢者に適した仕事の普及は、定年引き上げの効果を高め、若年労働者への悪影響を抑える可能性がある。

### 結論: 人口動態は宿命ではない
- 高齢化の影響は、個人の行動や政府の政策によって変えられる。
- 長寿への適応を喫緊の優先課題とすることで、「より長く、より健康で、より生産的な人生」という三次元的な長寿の配当が実現できる。
- われわれの未来は、この機会をつかむことを求めている。

*長寿の配当 — アンドリュー・スコット、ピーター・ピオット（ファイナンス＆ディベロップメント - セレクト記事、2025年6月）*

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_Source: https://www.imf.org/ja/publications/fandd/issues/2025/06/the-longevity-dividend-andrew-scott_
