## 金融は変わった。リスクは変わていない。

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## Bibliographic details
- Authors: YAO ZENG
- Published: September 22, 2025

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### 概要
- 世界金融危機から15年以上が経過したが、システムの中心は進化し、「誰が流動性を提供するか」「お金がどのように動くか」「経済と金融の安定性に対するリスク」が再形成されている。
- 規制は銀行を強化した一方で、銀行外（資産運用会社、テクノロジープラットフォーム、分散型ネットワーク）へ重要機能が移転しており、次のショックは従来の銀行ではなく新たなインフラから発生する可能性がある。

### 銀行から資産運用会社へ（流動性供給の変化）
- 観察された事実:
  - オープンエンド型ミューチュアルファンドやETFが日々の流動性を約束する商品を通じて流動性を供給しているが、原資産は流動性が低い場合がある。
  - 95%以上のETFがS&P 500やブルームバーグ米国総合インデックスなどの指数に連動しているとされる。
  - 研究により、債券ミューチュアルファンドが銀行システム全体と比較してかなりの流動性を供給しており、そのシェアは上昇していることが示されている。
- リスクと機序:
  - ミューチュアルファンドは市場ボラティリティ時にショックを吸収するのではなく増幅する可能性がある。
  - 債券ETFは流動性の低い原資産を持ちながら株式のように取引され、ETF運用会社は指定参加者（債券ディーラー等）のネットワークに依存して価格整合を維持している。
  - 指定参加者がディーラーバランスシートを通じて両機能を担うため、ディーラーのバランスシート逼迫や債券市場の停滞はETFの裁量取引を成立困難にし、流動性低下と価格変動を招く。

### AIとビッグデータ（融資のデジタル化とプラットフォームの台頭）
- 観察された事実:
  - ノンバンクのフィンテックプラットフォームが決済記録と機械学習を用い、検索コスト削減、担保回避、融資承認の迅速化を行っている。
  - デジタルフットプリントが「新たなクレジットスコア」として機能し、運転資金へのアクセスを拡大している（インドの事例を参照）。
  - 大手ハイテク企業（アリババのアントグループ、アマゾン、メルカドリブレ等）が決済・電子商取引・信用をまとめて扱い、消費者・中小企業向けローンの規模が多くの銀行を超えている。
- リスクと課題:
  - 規模は利便性を生む一方、寡占化を促進する。
  - 伝統的セーフティネット（資本・流動性・破綻処理）の適用が及ばないため、テクノロジー大手が「大き過ぎて潰せない」存在となることへの疑問が浮上している。
  - 2024年にアマゾンが中小企業向けの1,400億ドルの融資プログラムを突然中止した事例が示すように、与信プラットフォームは突然消えうる。

### 暗号資産と即時決済（ステーブルコインとリアルタイム支払い）
- 暗号資産の現状:
  - ビットコインは分散型の決済代替として開発されたが、決済は遅く成本が高くボラティリティが高いことから、主に投機的資産（「デジタルの金」）として機能している。
  - ステーブルコインは現実通貨（通常は米ドル）に連動することで決済の代替手段として注目されている。発行体は銀行預金、米国債、社債を準備資産として保有している。
  - ステーブルコインはインフレ率が高いアルゼンチンやトルコ、ベネズエラで広く利用されている。
- リスクの本質:
  - ステーブルコインは預金保険や中央銀行の最後の貸し手の支援を直接受けられないため、取り付け騒ぎに対して脆弱である。
  - 事例: 2023年3月にシリコンバレー銀行が破綻した際、USDCは準備資産へのアクセスを失った後、一時的にドルへの連動性を失った。前年にはテラのアルゴリズムステーブルコインの暴落で広範な損失が発生した。
  - 研究は「価格安定を効果的に維持するほど銀行に似てしまい、しかし預金保険や最後の貸し手がないため脆弱性が残る」という中核的ジレンマを指摘している。
- 公的即時決済の台頭:
  - ブラジルのPIXは従来の銀行支払基盤上に構築された高速で無料の支払いシステムであり、家庭や企業の90%以上が採用している。
  - インドの統合決済インターフェースも同様の広範な採用を達成している。
  - これらは暗号資産が掲げた「より速く、より包括的な決済」を比較的小さな混乱で提供している。
- トレードオフ:
  - 即時決済は銀行に対して予測不可能な流出に備えるためにより多くの流動性資産保有を強いる結果、銀行貸出が減り、信用リスクが高まる可能性がある（Pixに関する研究）。

### マクロ金融への意味合い（リスクの分散と政策ツールの再評価）
- 主な示唆:
  - 金融システムは以前より分断化しており、重要な機能（決済、与信、流動性）が規制の枠外へシフトしている。ミューチュアルファンド、ETF、ステーブルコイン、プラットフォームベースの与信が「預金のように」機能しているが、預金保険や最後の貸し手、システミック監督は適用されていない。
  - 地政学的対立は金融の分断化を強め、規制における世界的な協調に課題を突き付ける。
  - リアルタイム取引や迅速な決済、与信データのループは資本フローを加速させ、ショックを増幅する恐れがある一方で、ストレス耐性のためのツールや流動性の安全策、市場介入はそれに追いついていない。
  - 中央銀行や従来の政策フレームワーク（預金金利→貸出への影響、最後の貸し手の機能）は、お金が資産運用会社やオンチェーン取引、アプリ経由で移動する環境では十分に機能しなくなる可能性がある。
- コアメッセージ:
  - 世界の金融環境は変化したが、ルールはほとんど変わっていない。そのミスマッチが最大のリスクである。

### 結び（含意と疑問）
- 金融仲介の構造が市場ベースで広範に変化する中で、次の問いが重要である:
  - 重要な金融機能が規制の枠外にある場合、安定性をどう確保するか。
  - より速く、階層構造が簡素化された、分断された金融システムの安定性をどう担保するか。
- これらの問いは、政策立案者にとって規制設計、国際協調、そして伝統的な政策ツールの再評価を迫るものである。

*出典: 曾垚, 「金融は変わった。リスクは変わていない。」ファイナンス＆ディベロップメント, 2025年9月.*

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_Source: https://www.imf.org/ja/publications/fandd/issues/2025/09/finance-changed-risks-didnt-yao-zeng_
