ブレンド・ファイナンスが、新興国・途上国での低炭素社会実現に向けた移行を支える

官民パートナーシップを通じてリスク共有を強化し、貴重な公的資金の効果を最大限にするためには、革新的な制度とエクイティファイナンスが必要である

李波, ファビオ・マッシモ・ナタルッチ, アナンタクリシュナン・プラサド

2022年11月15日

新興国と途上国は世界の温室効果ガス排出量の3分の2を占めており、多くの国は気候変動に対して脆弱である。これらの国は、排出量を削減し、気候変動の物理的影響に適応するため、今後の数年間に多額の資金を必要とするだろう。

また、多くの国はパンデミックの影響により多額の債務を抱え、予算も逼迫しており、世界的な金利上昇の中で政府の借入コストが上昇しているため、差し迫った気候変動の資金ニーズを公的資金が満たすことが特に困難だ。

これは、民間資本の大規模な動員が、気候目標を達成するための鍵となることを意味する。金融市場のみでは目標を達成できないが、公的資本と民間資本を組み合わせることで、投資リスクを軽減し、より多額な資金を引き付けることができるというユニークな利点がある。国際開発機関や国際金融機関は、ブレンドファイナンスの仕組みを構築することによりリスク・リターン・プロファイスを変え、新興国におけるクライメート・トランジションを支援できる。

まずは、魅力的な投資環境と民間参加を奨励する政策を確立することが重要である。気候政策と資金調達は補完的である。なぜなら、より良い政策は民間投資を誘致し、そして投資が政策目標の達成を助けるからである。カーボンプライシングは、高排出の主体に気候コストの代償を支払ってもらうための最も効果的なツールであり、排出量のより少ないプロジェクトに民間投資を誘導する。

より一般的には、パリ協定の「国が決定する貢献」などの気候政策やコミットメントは、投資家に低炭素経済体への直接投資を促す合図を送ることができる。データやタクソノミー(分類基準)、情報開示のための堅牢な気候変動情報の仕組みを確立することも有用であろう。

影響拡大の機会

残念ながら、民間による気候変動関連融資には複数の制約がある。将来の政策の不確実性や資本コストを上昇させる技術コスト、また、限られたデータや魅力的でないリスク・リターン・プロファイルなどの障壁である。これらの課題にもかかわらず、民間の気候変動融資は、新興国がパリ協定の目標を達成する上で役に立つ可能性がある。

10月の国際金融安定性報告書で述べたように、革新的な融資制度は、異なるリスクプロファイルと投資期間を持つ投資家を引き付けることができる。債券市場が機能している大きな新興国市場では、グリーンボンドファンドなどの投資商品が、保険会社や年金基金などの機関投資家を惹きつけることで、投資家層の拡大に役立つだろう。

国際開発機関と国際金融機関は、より多額の民間資本を引き付けるために重要な役割を担っている。技術支援を提供し、プロジェクト開発や政府の制度面での能力向上、現地通貨建ての債券市場の構築によって国内投資家層の拡大を支援することができる。

開発銀行は、グリーン融資商品や証券化の損失を最初に被る役割を担うことで、民間投資家のリスク調整後期待リターンを高めることができる。適切なガバナンスがあれば、公的支援は、利益が民間に流れ、損失を公的機関が負うというリスクが伴う、担保に関連したモラルハザードの回避に役立つ。先進国は、新興国・途上国への年間1,000億ドルのコミットメントを達成する方法のひとつとして、パブリックエクイティを支援することができる。

また、株式投資は公的資金を効果的に活用することができる。開発銀行のコミットメントに対して民間の新興国・発展途上国へのコミットメントは平均して3分の1以下となっている。これは、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)と欧州最大の資産運用機関のアムンディによるより少額な取引と対照的である。IFC-アムンディのストラクチャードファンドは16倍の民間投資を呼び込んだ。

IMF

途上国や新興国にとって、グリーンインフラプロジェクトが引き続き重要な手段であり、開発銀行は当然ながら中心的かつ長期的な役割を果たすことになる。開発銀行を通じて気候変動への融資を拡大することができ、その資本基盤を拡大し、民間部門とのパートナーシップを通じてこれらのプロジェクトを支援する。

公的資金(開発銀行や国際金融機関からの資金を含む)は、グリーンまたは気候関連ストラクチャードファンドの立ち上げを支援することができる。これらのファンドでは、リスクが下位のトランシェが分散され、より多くの民間資本を引き付けることが可能である。

ブレンドされた支援

グリーンまたは気候ファンドが気候プロジェクトの株式に投資すれば、開発銀行や商業融資機関がより前向きに融資する可能性がある。このように、公的資金はファンドやプロジェクトレベルでインセンティブを提供し、両者は公的および民間資金とブレンドすることができる。

IMFは、サーベイランス(政策監視)、能力開発、リスク評価、気候診断ツールを通じて重要な役割を果たすことができる。IMF初の長期融資ツールである「強靭性・持続可能性トラスト(RST)」は、現在400億ドルを超える出資の誓約があり、バルバドスコスタリカルワンダとそれぞれ職員レベルの合意に達している。RSTの下で、強靭性・持続可能性ファシリティを通じた借り入れは民間融資の増加に寄与する。

IMF職員は、政府、開発銀行、投資家と協力して、資金調達の制約を特定し、民間融資の拡大を実現する方法をさらに検討する。また、カーボンプライシングとともに、フィーベートや規制など、同等の成果が期待できる代替案を引き続き推進していく。そして、気候変動情報の仕組みを強化し、新興国による民間の気候ファイナンスの促進を支援する