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今週のチャート

デリスキング戦略から生じるリスクは、中国内外に波及する

世界経済における中国の重要性はここ数十年で劇的に高まっており、特に、アジアにおける貿易統合の重要な推進力となっている。

中国の中期的な成長見通しは、他国と同様に、先進国の所得水準への収斂や人口動態などの主要な力に左右される。そのほか、国内改革の勢いなどの主要な構造政策の推進要因や、地経学的分断化などの外的要因も、見通しに大きな影響を与える。

これらの異なる成長見通しは、アジアおよびより広範な地域にどのような影響を与える可能性があるだろうか。われわれの最新のアジア太平洋地域経済見通しでは、経済協力開発機構(OECD)加盟国と中国の「デリスキング」による下振れシナリオに基づき、潜在的な影響を評価している。

今週のチャートが示すように、中国と米国、またはその他のOECD諸国が、リショアリング(生産拠点の国内回帰)または友好国同士で固まるフレンドショアリングを目指す、いわゆるデリスキング戦略は、アジア内の国を中心とする第三国との間に新たな貿易制限がないと仮定しても、世界の成長に大きな足かせとなる可能性がある。

IMF

リショアリングは明らかにどの国にとっても痛手となるが、フレンドショアリングも、第三国に長期的に純利益をもたらすことはない。貿易転換効果の恩恵が、中国とOECD双方の経済縮小によって相殺されるためである。

この地域の第三国は、フレンドショアリング政策から受動的に利益を得ることを期待するのではなく、グローバルサプライチェーンへのさらなる統合に役立つ改革を積極的に追求するべきであることが調査から分かる。世界中のシステミック上重要な国は、緊張の根底にある原因を解決し、コストが大きい分断化を抑制するための建設的な対話が緊急に必要である。

中国では、分断化が中期的な成長にもたらすリスクから、国有企業と民間企業間の生産性格差を縮小したり、各セクターをさらに開放し国内外の企業が競争できるようにしたりなど、所得水準をより迅速に先進国に近づけられるような包括的な構造改革の必要性が浮き彫りになっている。われわれの調査によると、これを達成することは、アジアの他の経済にも大きなプラスの波及効果をもたらす。

—アジア太平洋地域の最新の経済見通しを概説したアジア太平洋局の最近のブログをご覧ください。アジア、世界成長をけん引し続けるも経済の勢い鈍化