IMF 理事会、2018 年の対日 4 条協議を終了
IMF News, November 28, 2018
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- Published: November 28, 2018
概要
- 2018 年 11 月 21 日に国際通貨基金(IMF)理事会は対日 4 条協議を完了。
- 日本経済は潜在成長率を上回るペースで成長を続けている。2018年の実質GDP成長率は外需に支えられ、最近の自然災害にもかかわらずトレンドを上回る「1.1%」と予測されている。
- 消費税率引き上げは2019年10月に予定されているが、緩和策がなければ民間消費や民間投資の急変につながりかねないと指摘。
経済見通しとインフレ
- 短期:内需は第2四半期に回復。エネルギー価格上昇を受け総合インフレ率とコアインフレ率はここ数か月で上昇の勢いを見せるが、日本銀行の2%目標を大きく下回る状況は継続。
- 中期:成長ペースは緩やかになり需給ギャップは縮小と予測。物価上昇率は消費税率引き上げに伴い2020年に大きく増加した後、中期的に上昇基調で推移するが日銀目標を下回る見込み。
理事会の評価(要旨)
- 概ねスタッフの評価に同意。特に一人当たりで見ると成長が顕著であり、短期的には潜在成長率を上回る成長が続く点を歓迎。
- 留意点:
- 物価上昇率が目標を下回り続けていること。
- 消費税率引き上げや世界経済悪化などによる成長の下振れリスクの増加。
- 人口動態による逆風の強まり。
- 強調:持続的高成長、耐久性あるリフレーション、公的債務の持続性確保のためアベノミクスを更に強化する必要。
財政政策に関する所見と提言
- 短期的:多くの理事は短期的な成長とリフレーションを支えるため「中立的な財政スタンス」を維持することが重要と強調。
- 消費税率引き上げの影響緩和:当局が実施予定の臨時施策と明確な対外コミュニケーションを評価。
- 中期的:政策不確実性を減らし債務持続性を確保するため、漸進的な健全化の道筋を定め、人口動態に対応した現実的で具体化された財政枠組みを策定する利点を指摘。独立財政機関は有用かもしれないが、一部の理事は既存組織枠組みで実現可能と考える。
構造改革と労働市場
- 理事会は当局の潜在成長率引き上げを目的とした野心的な構造改革アジェンダを歓迎。
- 優先課題:労働市場改革(女性、高齢者、外国人労働者を含む労働供給の増加)。
- 具体策の提言:
- 常勤や正規雇用で就労する意欲を損なう税制・社会保障上の障害の撤廃。
- 男女間賃金格差の縮小。
- 保育施設や介護施設の利用可能性拡大。
- 製品・サービス市場の更なる規制緩和、企業の参入・撤退の円滑化、中小企業振興、コーポレート・ガバナンス改革の深化。
金融政策と金融部門
- 金融政策:理事会はリフレを成功させるため「引き続き、場合によっては当分の間、緩和的であるべきだ」が、副作用を注意深く監視し軽減するべきと一致。
- コミュニケーション:効果的なコミュニケーションとフォワードガイダンスは市場のボラティリティ抑制とインフレ期待誘導に有用。
- 金融部門の課題:人口動態や低金利に伴う圧力を認識。2017年金融セクター評価プログラムの勧告実施における進展を歓迎。
- 優先事項:リスク管理、金融監督及びマクロプルーデンス枠組みの強化。地域金融機関の事業モデル転換支援、フィンテック活用支援、クリプト・アセットの監視強化。
対外ポジション
- 職員評価:日本の2018年の対外ポジションと実質為替レートはファンダメンタルズ及び望ましい政策と概ね整合的な水準になると予測。
- 理事会の一致見解:中期的に対外バランスを維持するには信頼に足る財政健全化計画とより大胆な構造改革が必要。
- 多国間主義:貿易をめぐる緊張悪化の国内波及緩和に役立つとし、日本のリーダーシップに感謝。
腐敗・海外贈賄対応
- 理事会は当局の、腐敗の供給サイドへの対応に向けたIMFのイニシアチブへの自発的参加を称賛。海外贈賄法制の施行における継続的進展を期待。
主要統計(抜粋、出典表より)
- 名目GDP: 4兆8,730億ドル (2017年)
- 1人当たりのGDP: 3万8,444米ドル (2017年)
- 人口: 1億2,700万人 (2017年)
- クォータ: 308 億SDR (2017年)
- 実質GDP成長率(2018年予測): 1.1
- GDPギャップ(年平均、2017): -0.3
- 公的債務(グロス、2017): 237.6(%対GDP)
- 経常収支(2017): 196.1(10億米ドル)
- 外貨準備高(金を除く、2017): 1232.4(10億米ドル)
- 円・ドル為替(2017、期末): 112.2
出所: IMF、 Competitiveness Indicators System、OECD、2018年10月の「世界経済見通し(WEO)」時点でのIMF職員による試算と予測