住宅バブル崩壊のリスクを計る
IMF Blog, April 4, 2019
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- 住宅バブル崩壊のリスクを計る
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Bibliographic details
- Authors: Claudio Raddatz, Nico Valckx
- Published: April 4, 2019
要旨
- IMFが新たに開発したツールにより、都市別・国別の住宅価格の大幅下落リスクを判定できる知見が得られた。
- 本文は「国際金融安定性報告書(GFSR)」の最新号の第2章の考察を紹介している。
- 住宅価格変動は家計資産、銀行の資産構成、経済全体に大きな影響を与える。
住宅価格が経済にとって重要な理由
- 住宅の新築やリフォーム関連の支出が米国やユーロ圏では経済全体の支出の約6分の1を占める。
- 住宅ローンなど住宅関連融資は多くの国で銀行の保有資産の大きな部分を占め、住宅価格の変動が銀行システムの健全性に影響する。
都市別・国別の評価結果(主要所見)
- ラスベガス、マイアミやフェニックスでは、国際金融危機時に経験したような住宅価格の暴落が起きる可能性は比較的小さい。
- トロントやバンクーバーでは2008年から事態は改善されておらず、住宅価格が大幅に下落するリスクは高水準にある。
- 世界の主要都市の住宅価格は連動して動くため、一国での住宅価格の下落ショックが他国の住宅市場に波及する可能性が大きい。
モデルによるリスクの定量的示唆
- 我々が開発した指標でマイナス12の数値が観測された場合(これは価格が12%以上下落する確率が5%であることを示している):
- 2年後に金融危機が生じる確率は先進国にあっては31%である。
- 2年後に金融危機が生じる確率は新興国にあっては10%である。
住宅価格循環と与信環境
- 短期的には緩和的な与信環境は住宅価格好調の支えとなる。
- 長期的には緩和的な与信環境は住宅所有者による過剰借入を誘い、住宅価格暴落につながる可能性を高める。
- 近年の金融危機の3分の2以上が住宅価格の急騰と暴落の後に生じている。
政策オプション(予防的措置)
- 住宅価格の水準自体を政策目標とすべきではないが、以下の予防的措置によりリスクを下げ得る:
- マクロプルーデンス政策を強化する(例:住宅ローンの供与額を住宅購入価額の一定割合以下に制限、月々の返済額を所得の一定割合以下に制限)。
- 中央銀行の政策金利を引き下げることは短期的(せいぜい数四半期先まで)なリスク抑制効果があり、その効果は先進国に限られる。
- 資本流入の急増に伴い住宅価格の下落リスクが高まった国においては資本移動管理策が有効かもしれない。
- 景気循環対応の政策に加え、住宅供給の増加策や区域区分による土地利用規制などの長期的な構造政策、固定資産税などの財政措置も政策選択肢として検討に値する。
結論
- 住宅バブル崩壊のリスクを抑える方法は存在する。
- IMFの新ツールを活用し、適時に適切な対応をとることで、2008年に起きたような世界的な危機を未然に防ぐことが可能である。
出典: 住宅バブル崩壊のリスクを計る (IMFブログ)