持続可能な金融と金融安定性を結びつける
IMF Blog, October 10, 2019
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- 持続可能な金融と金融安定性を結びつける
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Bibliographic details
- Authors: Evan Papageorgiou, Felix Suntheim
- Published: October 10, 2019
概要と定義
- 持続可能な金融は、経営上の意思決定や投資戦略にESG(環境、社会、ガバナンス)原則を組み込むことを意味する。
- 対象となる論点には、気候変動、汚染、労働慣行、消費者のプライバシー、企業の競争的行為などが含まれる。
- 持続可能な金融に関する取り組みは30年前に始まったが、加速したのはここ数年である。
- IMFの「国際金融安定性報告書(GFSR)」は、持続可能な金融と金融安定性の関連性を議論し、政策提言を行っている。
ESGと金融安定性の関係
- 企業のガバナンス失敗は、アジア金融危機と世界金融危機の原因になった事例がある。
- 社会的リスク(例:格差)が家計借入の不適切な拡大を促し、中期的に金融を不安定化させる恐れがある。
- 環境破壊は企業や保険会社に多大な損失を与えてきた。
- 気候変動は持続可能な金融の重要な要素であり、リスク経路は主に次のふたつと定義される:
- 「物理的リスク」:天候関連事象や気候トレンドからの打撃。
- 「移行リスク」:気候関連政策やテクノロジー変化、低炭素経済への移行期における市場心理がもたらす、化石燃料資産などの価格変化に伴う経済的混乱。
気候リスクの影響と定量化
- 気候変動がもたらす経済的・金銭的なコストは、ほとんどの研究が示唆するところでは数兆ドルに上る。
- すでに、干魃や洪水、山火事など気候関連の自然災害が保険に与えた損失は1980年代と比べて4倍になっている。
- 資産価格は気候リスクや低炭素経済への移行をまだ完全には織り込んでいない可能性があり、リスク認識の遅れが突然の資産評価見直しを招くと金融安定性に甚大な影響を与える恐れがある。
証券投資におけるESGの現状
- ESG原則は証券投資戦略に長く組み込まれており、ESG関連ファンドが管理する資産は、定義にもよるが、3兆ドルから31兆ドルに達している。
- ESG運動は株式市場での投資家アクティビズムから始まり、債券市場へ拡大。環境プロジェクト資金のための「グリーンボンド」が中心的役割を果たしている。
- もともとは不適合企業・業界の選別から始まったが、リスク管理やパフォーマンス懸念、効果測定の難しさを受けて、企業の前向きな行動や最低基準設定、持続可能な活動への投資に焦点を当てる新たな戦略が現れている。
持続可能な金融の課題と情報の問題
- 企業による持続可能性報告は一貫性や定期性に欠けることが多く、投資家によるESG組込を困難にしている。
- ESGスコアの第三者提供機関は標準化を目指すが、情報不足により正確な評価が難しい場合がある。
- 排出削減や労働基準強化などESG活動の実際の影響測定には不透明な面が残る。
- グリーンウォッシング(ESG遵守を虚偽主張する行為)による風評リスクが懸念される。
- ESGファンドの実績と効果は一様ではなく、公的部門の年金基金などにとってESG導入が難しい要因となっている。
- 企業は持続可能性導入の利益を期待するが、望ましい結果が出るまで時間を要し、情報開示には即時の高いコストがかかる。
政策提言(主要4点)
- ESG投資に関する用語の標準化と、E、S、Gを構成する活動の明確化。
- 投資家にESG統計の活用を促すための、企業による一貫した情報開示。
- より多くの国からの参加を促し、国によって異なる基準設定を回避するための多国間協調。
- 持続可能性への投資を促すとともに、行動を起こさないことのコストを公的に開示する政策の実施。
IMFの役割と今後の取り組み
- IMFは、ESG関連の問題、とりわけ気候変動に関連する問題について、マクロ経済に大きな影響を及ぼす場合には「財政モニター」や将来の「国際金融安定性報告書」など多国間サーベイランス(政策監視)の一環で、また国別サーベイランスの中で、考慮し続ける予定である。
出典:IMFウェブページ「持続可能な金融と金融安定性を結びつける」