ドル資金市場混乱時の悪影響が心配な大手グローバル銀行
IMF Blog, October 11, 2019
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- ドル資金市場混乱時の悪影響が心配な大手グローバル銀行
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- Authors: Claudio Raddatz, Adolfo Barajas
- Published: October 11, 2019
概要と問題の所在
- 米ドルは、メキシコの航空会社がブラジル製旅客機を購入する際の米国外銀行からの融資のように、米国外の第三国同士の国際金融取引で中心的役割を果たしている。
- 2007年から2008年の金融危機では、米国金融機関が外国金融機関へのドル融資を控えたため、米連銀は5,000億ドルを超える緊急資金を海外の中央銀行に融通し、外国中銀が自国の銀行に転貸した。
- 最新の「国際金融安定性報告書(GFSR)」第5章は、非米銀が世界のドル建て融資市場で重要な役割を続けていることを示している。非米銀のドル建て資産は2012年の9.7兆ドルから2018年央には12.4兆ドルに増加し、対総資産比でも危機前に近い水準にある。
非米銀の資金調達構造と脆弱性
- 非米銀は米銀と違って安定的なドル預金基盤が限られており、CP発行や銀行間融資などの、流動性・安定性の低い短期資金に大きく依存している。
- 短期資金でも不足する場合、非米銀は外国為替スワップによる調達に頼るが、これはコストが高く、ストレス時に安定的に利用できる保証がない。
分析に用いた3つの指標(指標の説明と現状)
- 指標1:ドル建ての資産と負債の差額(クロスカレンシー調達ギャップ)
- 2008年央の1兆ドル(資産の10%)から現在では約1.4兆ドル(同13%)に拡大している。
- この差額は外貨スワップなどで埋める必要があり、銀行のリスクを増大させる。
- 指標2:流動性の高いドル資産の量
- 危機後に銀行の保有ドルの流動性は改善しているが、銀行のバランスシートの総体としての流動性に比べれば依然低水準にとどまっている。
- こうした流動性は、緊急時にすぐに売却できる資産としてドル資金流出への対応を可能にする。
- 指標3:「米ドル安定調達比率」—銀行が安定的な調達源から長期的なドル資金を調達できるかを示す指標
- 2008年以降若干の改善は見られるに過ぎない。
想定される影響と脆弱性の拡大メカニズム
- 分析結果の要点:
- 米ドル資金への依存度が高い非米銀が所在する国では、米ドル資金コストの上昇が銀行破綻の確率を上昇させる。
- 非米銀から融資を受けている国では(特に新興市場国の借り手)、代替的な調達手段が乏しいためストレスが増大しやすい。
- 3つの指標のいずれかに問題がある場合には、米ドル調達の脆弱性が危機を増幅する可能性がある。
政策対応と緩和手段(当局が直接影響し得る要素)
- 銀行の耐性強化:
- 銀行の収益性を高め、自己資本を充実させることで銀行システムの全般的な健全性を高め、ショックの影響を低減できる。
- 中央銀行の外貨準備:
- 外貨準備を増やし、ドル資金枯渇時のドル供給源とすることができる。
- 中央銀行間スワップ協定:
- 世界金融危機時と同様に、ストレス時にドルを融通する中央銀行間のスワップ取極が有用な役割を果たしうる。
出典: https://www.imf.org/ja/blogs/articles/2019/10/11/blog-global-banks-may-grow-more-vulnerable-to-a-dollar-disruption