「女性の労働」を過小評価することの経済的コスト
IMF Blog, October 17, 2019
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- 「女性の労働」を過小評価することの経済的コスト
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- Authors: Kristalina Georgieva, Cristian Alonso, Era Dabla-Norris, Kalpana Kochhar
- Published: October 17, 2019
概要
- 世界の労働の半分もが報酬を伴わないもので、その大半を担っているのは女性であることが社会的・経済的に大きな損失をもたらす。
- 無報酬労働は市場価値に基づく測定が難しいが、GDPの10%から60%に相当すると推定される。
- 無報酬労働の男女間不均衡の是正は、個々の女性の機会拡大にとどまらず、労働力の効率化や経済成長の促進にもつながる。
無報酬労働の現状と影響
- 無報酬労働の典型例:料理、掃除、食料調達、水汲み、子供と老人の世話。
- 世界平均の時間配分:
- 女性は平均4.4時間を無報酬労働に費やしている。
- 男性は平均1.7時間を無報酬労働に費やしている。
- 国別の差異の事例:
- ノルウェー:女性3.7時間、男性3時間。
- エジプト:女性5.4時間、男性35分。
- アメリカ:女性3.8時間、男性2.4時間。
- 無報酬労働の男女差は、資源の不適正な配分、生産性の低下、経済成長の損失を招く。男女間格差は不公正であるのみならず非効率でもある。
- 活動の内訳に関する指摘:
- 無報酬で働く時間の80%以上が、子育てや老人の世話以外の家事に充てられている。
原因と制約
- 家事負担が女性に偏る主因として、文化的規範、公共サービスやインフラの不足、家庭に配慮した政策の不在が挙げられる。
- 市場における賃金が低く、同一労働同一賃金が確保されていない場合、女性は家庭にとどまるかパートタイムを選ぶ傾向が強まる。
- 教育・医療など人的資本へのアクセス不足が女性の労働市場での可能性を制限する。
- UNESCOによれば、学齢期の女子1億3,000万人が学校に通っていない。
- 安全上の懸念や社会的制度・価値観が教育や医療へのアクセスを妨げる事例があり、法制度で女性の権利を定めることが改善につながる可能性がある。
インフラと技術がもたらす効果(解放の原動力)
- 発展途上国では、水道、衛生、電力、輸送の改善が女性を生産性の低い無報酬労働から解放する上で重要。
- UNICEFの推定:女性は毎日世界中で水汲みに2億時間を費やしている。
- インドでは、女性が毎日1時間以上かけて薪を集めている。
- メキシコとブラジルでは、電力や水へのアクセス改善と電化製品の価格低下が女性の労働力参加を押し上げた事例がある。
- インターネットアクセスの普及は、女性がギグエコノミーを利用し柔軟な働き方を活かす助けとなる。
労働市場・家族政策の役割
- 効率的で柔軟な労働市場は無報酬労働の再配分に寄与する。
- スイスの積極的な労働市場政策はジョブマッチングを促進する事例として示される。
- 柔軟な働き方は女性の無報酬労働の少なさと関連し、ワークライフバランスを改善する。
- 家庭に配慮した政策の効果:
- 北欧諸国は乳幼児期の教育と保育に重点投資し、就園・入所率を高め、出産後の職場復帰を支えている。
- 育児休暇・出産休暇における男女均等の推進は、父親の早期育児参加を促し女性の労働力参加を増やす。
- アイスランドの事例:育児休暇は9か月と定められ、それぞれの親に予め3か月ずつを割り当てている。
政策提言(要点)
- インフラ改善(例:水道、衛生、電力、輸送)を通じて女性の無報酬労働負担を軽減する。
- インターネットアクセスの普及を促進し、柔軟な働き方やギグエコノミーへの参加を支援する。
- 教育・医療サービスへのアクセスを保証し、学齢期の女子(現在1億3,000万人が学校に通っていない)の就学を促す。
- 法制度で女性の権利を明確にし、安全上の懸念など社会的制度・価値観を改める。
- 労働市場政策でジョブマッチングや柔軟な働き方を促進し、男女均等の育児休暇制度を導入することで父親の早期育児参加を促す。
- 政府と民間セクターが協調して断固たる行動を取ることにより、無報酬労働の再配分は大きな経済的利益を生む。
出典: IMF ウェブ掲載記事「『女性の労働』を過小評価することの経済的コスト」