欧州における新型コロナウイルス危機とIMFの対応
IMF Blog, March 30, 2020
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- 欧州における新型コロナウイルス危機とIMFの対応
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- Authors: Poul M Thomsen
- Published: March 30, 2020
危機の性質と経済的影響
- 新型コロナウイルス感染症が欧州で猛威を振るっている。危機の継続期間は不明だが、経済的影響が深刻であることは明白。
- 欧州の主要経済国では生活に必須ではないサービスが政令によって閉鎖された。こうした産業はGDPの約3分の1を占めている。
- 「こうした産業で閉鎖が続く限り毎月、年間GDPが3%低下する計算になる」との試算が示されている。
- 閉鎖による直接的損失に加えて、他の混乱やそれ以外の経済部門への波及効果も考慮する必要がある。
- 欧州経済が今年、深刻な景気後退(リセッション)に陥ることは既定路線と認識されている。
政策余地と対応の多様性 — 3つのグループ分類
- 欧州諸国を次の3グループに分類して制約と余地を理解することが有益である。
- 先進国(政策余地と制度を有効活用可能)
- EU加盟だがユーロ圏ではない新興市場国(近年の債務・赤字削減や銀行強化の恩恵)
- EU非加盟の新興市場国(特に小国。金融市場の厚みが薄く、EUとのつながりが乏しい)
- グループごとの主な示唆:
- 先進国:大規模な金融緩和と財政拡大を実行。財政上のルールと制限の一時停止が行われ、財政赤字の拡大が許容されている。中央銀行は巨大な資産購入プログラムを開始し、金融規制当局は規制要件の緩和を進めている。
- ユーロ圏:公的債務が大きい国々が力強く対応できるよう、欧州中央銀行による大規模介入や欧州安定メカニズムによる欧州レベルでの補完が重要である。ユーロ圏指導者の「ユーロ安定化のために為すべきことを為すという決意」は過小評価してはならない。
- EU非加盟の小国:財政余地に大きな差があり、外国資本へのアクセスが限られるため、財政赤字の大幅拡大のための資金調達が困難になる。EU加盟国が利用できる資金援助や制度的信頼も欠けている。
社会福祉制度と支援の実務上の課題
- 欧州は強力な社会福祉制度と社会市場モデルを持つため、企業・世帯への対象を絞った支援が促進される見込みである。
- 一方で、支援提供の複雑性は高く、既存制度は今回の問題の深刻さに見合うよう設計されていない。
- 各国は革新的で新たな対策を講じており、互いに学ぶ余地がある。
IMFの役割と対応
- IMFは各国間での情報共有を促すためにウェブサイトを開設し、各国が直面する具体的課題への対処事例を掲載している。生まれつつある国際的なベストプラクティスの抽出に資することを目指している。
- 劇的に変化する状況に応じて、IMFはサーベイランス(政策監視)に速やかな変更を加えている。
- 世界全体を揺るがす未曾有の問題に直面する中、IMFは加盟国を支援できるよう可能な限り迅速に行動している。IMF内部の規定や手続きを大幅に簡潔化する努力を進めている。
- 要請の実態:
- ロシアとトルコを除き、EU非加盟である中東欧9か国の大半がIMFの緊急融資支援の制度を通じた緊急融資を申請している。
- 世界全体では、約70の加盟国が速やかな実行が可能でコンディショナリティの要素が薄いIMFの緊急融資制度(合計500億ドル)の活用を模索している。
- この規模で国々が一斉にIMFに融資を要請したことは過去に例がないが、さらに多くの国々が今後支援を求める可能性が高い。
- IMFは「世界189か国の加盟国」からの期待に応え、欧州によるパンデミック対策の努力を支援する準備がある。
実務的示唆と政策的優先事項
- すべての欧州国は、大胆かつ危機の深刻さに応じた形で積極的に対策を講じる必要がある。
- 今が、使えるバッファーと政策余地を駆使する時である。
- 先進国・EU加盟だがユーロ圏ではない国々は、これまで構築してきたバッファーを活用すべきである。
- EU非加盟の小国については、資金調達の困難さや市場の薄さを考慮し、外部支援やIMFの緊急融資制度の活用を検討することが重要である。
著者情報(役割と経歴)
- ポール・トムセンは2014年11月からIMFの欧州局長を務めている。デンマーク国籍。
- 統括領域と職務:
- 44か国の国別サーベイランス、欧州中央銀行などEU機関との政策対話、IMFが支援するプログラムのための議論を統括。
- 欧州におけるIMFの広報活動、欧州政府高官との対応も担当。
- 経歴の概略:
- 現職前は世界金融危機とユーロ圏危機の影響を受けた欧州諸国に対するIMFプログラムを主に担当。
- 1987年から2008年にかけて中東欧諸国を担当し、域内の複数国に対しIMF代表団団長を務めた。
- 1998年金融危機時にロシア課長を務めた。
- 2001年から2004年にはモスクワにあるロシア駐在代表事務所長を務めた。
出典:欧州における新型コロナウイルス危機とIMFの対応(原文ページ)