異例の危機に世界は異例の対応を
IMF Blog, April 21, 2020
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- Authors: Kristalina Georgieva
- Published: April 21, 2020
危機の特徴
- 複雑性が高く、医療と経済に相互に結びついたショックをもたらし、私たちの暮らしは完全停止に近い状態になっている。
- 不透明感が強い:感染症治療、感染拡大防止策の有効性向上、経済再開のいずれも段階的にしか方策が明らかになっていない。
- 真に世界的である:新型コロナウイルスとそれが引き起こす経済的ショックに国境は関係ない。
- 世界経済の見通しは惨憺たるもの。世界的な経済活動が世界恐慌以来で最も大きく低下すると予測している。
- 1人あたりの所得の予測:当初は数か月前に160か国で増加と見ていたが、現在は170か国で低下すると考えられている。
- 新興市場国・発展途上国は特に脆弱:史上最大となる1,000億ドルの証券投資資金の一斉流出、一次産品輸出国の輸出品価格低落、観光依存国や送金依存国での収入急減。
これまでの対策(各国と中央銀行の対応)
- 各国の財政措置は総額で約8兆ドル。
- 各国の中央銀行は巨額(一部、無制限)の流動性を注入。
- G20は最貧国に対する2020年末までの債務返済一時猶予を支持。これにより必要性が最も大きい国々が約120億ドルを活用可能に。
- 民間部門の債権者にも同様の条件で参加を呼びかけており、実現すればさらに80億ドルの債務返済が猶予されうる。
- 新たに短期流動性枠が設けられ、各国はこれを経済安定性と信頼向上に役立てられる。
IMFの体制強化と具体的措置
- IMFは世界金融危機勃発時の4倍となる1兆ドルの融資財源を有し、加盟国189か国のために活用可能。
- 迅速な対応を重視し、特に低所得国を対象に迅速な融資提供能力を最大化。
- ここ2か月での主な措置例:
- 緊急融資の利用可能額を2倍に増額し、必要性が見込まれる1,000億ドルの融資を提供できるよう態勢を整備。
- これまでに103か国が緊急融資をIMFに打診しており、IMF理事会は今月末までにこれら要請の約半数について検討を完了予定。
- 最貧国29か国(うち23か国がアフリカ諸国)を支援するため、大災害抑制・救済基金の改革を進め、債務救済のための資金を14億ドルまで増やせるようドナー国と協働。
- 貧困削減成長トラスト(PRGT)を通じた譲許的な融資枠を3倍に増やすことを目標。新しい融資財源として170億ドルの資金を確保しようとしており、日本、フランス、イギリス、カナダ、オーストラリアが合計117億ドルの拠出を約束。これにより目標資金の約7割が確保。
- 先週、IMFのバーチャル春季会合期間中に国際通貨金融委員会(IMFC)は上記の一連の対策を承認。
懸念されるリスクと必要な対応
- 融資増加が常に最善の解決策ではない:債務負担が膨らみ、多くの国々で債務の持続可能性が損なわれる可能性。
- 最貧国には条件がより譲許的な融資が必要。感染症拡大のピークが未到来の国が多く、公衆衛生対策や企業倒産・失業最小化のためにかなりの財政支出が必要。
- 新興市場国には予防的融資を含めた通常の融資制度でIMFが関与可能だが、市場プレッシャーが高まれば相当規模の資金需要が発生する恐れ。
- IMFは融資資金を余すことなく活用する態勢を整え、国際金融のセーフティネットをすべて動員。特別引出権(SDR)の配分も支援策として検討。
将来に向けた政策提言と重点事項
- 景気後退の長期化を阻止するために、苦痛を伴う景気後退の長期化を避けるべくたゆまぬ努力を継続。
- 景気回復に備え政策助言を現実に合わせて調整:
- 非常時の刺激策と非伝統的政策措置をいつまで継続するか、収束方法の設計。
- 高い失業率への対策、長期化する低金利への対処、金融安定性の保持。
- 部門調整や債務整理の促進が必要となる場合への備え。
- 長期的課題への対応:
- 貿易を経済成長の原動力として再び活性化。
- フィンテックやデジタル変革の利益を広く共有。
- 気候変動との戦い:環境にやさしく気候変動への耐性が高い経済を推進するため、景気回復を強化する刺激策を活用。
- 格差是正と社会的包摂:
- 新型コロナ後の世界で社会的一体感を前提とできないことを踏まえ、格差是正を進め、脆弱な人々を守り、誰もが機会を得られるよう社会政策を調整する国々の努力を支援する。
クリスタリナ・ゲオルギエバ