アジアにおける新型コロナ後の景気回復 あらゆる手を尽くして小規模企業への資金供給を
IMF Blog, April 23, 2020
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- アジアにおける新型コロナ後の景気回復 あらゆる手を尽くして小規模企業への資金供給を
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- Authors: Kenneth Kang
- Published: April 23, 2020
概要
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第1波は、中国に始まりアジア諸国、世界へと広がり、市民生活と企業活動を同時に急停止させた。
- 政策当局は医療対応や影響を受けた世帯・企業支援のために積極的な財政支出を行い、各国中央銀行は迅速に流動性確保に動いた。
- だが新たな「経済的デレバレッジング(レバレッジ解消)」のフェーズに入り、キャッシュフロー急減と信用逼迫のもとで企業は融資返済や賃金支払いに苦しんでいる。
リスクと影響(中小企業の深刻な脆弱性)
- 中小企業はサービス産業に集中しており、感染拡大防止策や社会距離戦略の影響を最も受ける。
- 小規模企業は大企業よりも
- 現金のバッファーが薄く、
- 債務を多く抱え、
- 短期融資や内部留保に依存している。
- 民間の調査によれば、小規模企業の手元資金は「3か月分に満たず」、デフォルトと失業が急増する懸念が高い。
- 銀行は大企業への対応を優先しがちであり、小規模企業は取り残されやすい。
提案される政策(小規模企業向け一時的ライフライン)
- 必要性:小規模企業に対する一時的なライフライン、すなわち経済全体を対象とする「運転資金のつなぎ融資」が不可欠。公共部門のみがこのライフラインを提供する能力を持つとする。
- メインの選択肢:政府による特別目的会社(時限的な公的機関)を設置して中小企業への新たな運転資金融資を促進する。
- 対象企業の条件:
- 昨年は健全な借り手であったことを示せること、
- 新型コロナウイルスのために売り上げが大幅に減少していることを証明できること。
- 融資条件:
- 期間3年の融資、
- 運転資金と今後12か月間に返済しなければならない債務(利子と元本)を賄う新たな融資を銀行に申請すること、
- 雇用を維持することを約束し、配当や自社株買いは避けること。
実施メカニズム(公共・中央銀行・銀行の役割分担)
- 中央銀行は特別目的会社に資金を供給し、銀行からこの新たな「運転資金融資」の債権を買い取らせることで銀行の余裕度を高め、足下の融資を増やす。
- 中央銀行は特別目的会社の資産を担保とし、また損失保護として政府から最初に出資を受ける。
- 銀行もリスクを負うため、融資債権の一部は留保する。
- 損失抑制策:
- 特別目的会社は回収可能価値の最大化に努める。
- 債務不履行になった融資については担保権の執行や破産手続きを通じて銀行に回収させる。
- 追加的な手段:
- 融資を証券化してトランシェに分け機関投資家に販売し、民間部門とリスクをより広範に分担することも可能。
- 適用範囲:銀行が中心的役割を担う国だけでなく、日本や韓国など資本市場がより発達したアジア諸国でも活用可能。
代替案と財政上の制約
- 代替案は政府による財政支出だが、今回の危機は長期間にわたる運転資金融資のロールオーバーを要し、莫大な資金が必要となる点で過去と異なる。
- 多くのアジア地域の新興市場国では、信用保証や融資を使って資金不足を埋めるための財政的余地が乏しい。
- 一部の国では市中銀行、場合によっては中央銀行が直接追加的財政支出の資金を供給すること(直接的マネタイゼーション)を検討している。
- 提案:中央銀行の柔軟な資金供給能力を生かしたリスク分担の仕組みを採り入れれば、中央銀行の独立性や銀行業界の健全性を維持しながら目的を達成できる。
- 先行例:アメリカの財務省と連邦準備制度理事会(FRB)の「メインストリート融資プログラム」に見られるように、先進国でも特別目的会社を設立して公共部門がリスクを一部分担している。
政策上の結論と勧告
- アジアの新興市場国は、あらゆる手を尽くして自国経済を救うために、特別目的会社を含む上記の戦略を取り入れてよい。
- 目標:雇用と所得の維持、長期の不況化を防ぎ経済に消えぬ傷跡を残さないこと。
- 公共部門が主導する一時的ライフラインと中央銀行による資金供給・損失保護の組み合わせが、実効的な対応となる可能性が高い。
出典: ケネス・カン、李昌鏞(国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局)