「大封鎖」を解き再始動するアジアと欧州
IMF Blog, May 12, 2020
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- 「大封鎖」を解き再始動するアジアと欧州
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- Authors: Poul M Thomsen
- Published: May 12, 2020
流行と政策決断の文脈
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がピークに達したと見られるアジアと欧州の一部は、徐々に経済を再開している。
- ワクチンも有効な治療法もない状況で、政策当局者は再開の利益と感染率再上昇時のコストを天秤にかける必要がある。どちらの方向で誤っても代償は非常に大きい。
- 多くの国が段階的再開と予防・感染拡大防止策の併用というアプローチを採用している。
感染状況と被害の概要(アジア・欧州)
- 南アジアと東アジアではこれまでに25万人以上が感染、9,700人が死亡。
- 中国、インド、インドネシア、日本、シンガポール、韓国が感染者数全体の85%を占める。
- 欧州での確認された新型コロナウイルス感染者数は180万人(世界合計の半数近く)。
- 世界の死者数は28万人強、そのうち欧州で報告されている死者の数が16万人近く。
都市封鎖の経済的影響(主要統計)
- 2020年第1四半期のGDP(季節調整後の年率換算値):
- 中国が36.6%低下。
- 韓国が5.5%低下。
- フランスで21.3%低下(史上最大幅)。
- スペインで19.2%低下。
- イタリアで17.5%低下。
- 第2四半期はさらに悪化すると見込まれている。
アジアにおける再開アプローチと実務
- 中国
- 2月半ば以降、段階的に経済を再開。
- 継続的なリスク評価に基づき、必須のセクターや特定産業・地域・人口集団を優先。
- 大規模な検査(無作為スクリーニングを含む)と携帯電話アプリ活用による体系的な接触者追跡を補完。
- 移動制限や感染者とその接触者に対するその他の規制措置を実施。
- これまでのところ感染第2波を招かずに進展しているが、活動の正常化が進むと状況が変わる可能性あり。
- 韓国
- 大規模検査、感染者や高リスク者の強制隔離、接触者追跡でのデジタル化とテクノロジー活用が中心。
- 学校・公共施設の閉鎖、社会的距離確保に関する包括的ガイダンス、旅行者に対する検疫措置を実施。
- 国内での移動の自由や事業活動に幅広い規制は一度も課されなかったため、経済活動の再開は徐々に進行。
- 当局はガイドラインを「日常的な社会的距離確保」へと移行。指導内容は体調不良時の外出自粛、対人距離確保、頻繁な手洗い、マスク着用、屋内空間の定期的換気など。
- シンガポール
- 韓国同様の早期封じ込め戦略で当初は成功したが、新たな感染流行の発生を受けて4月上旬に感染拡大抑止措置を強化。
欧州における再開アプローチと差異
- 複数の欧州諸国が段階的な再開計画を発表または実行中。タイミング、順序、ペースは国ごとに異なる。
- 例示された国別対応:
- デンマーク、ノルウェー: 幼稚園・小学校やサービス業をまず再開。
- スペイン: 製造業や建設業で制限解除、小規模事業(小売り等)の一部も安全対策下で解除。
- ドイツ: 小売店の制限解除、学校の段階的再開。
- イタリア: 製造業と建設業を厳格な安全規則の下で再開、一部小規模商店を限定的に再開。
- フランス: 5月11日小学校や商店や産業の再開を許可(地域ベースで差別化)。
- スウェーデン: 完全封鎖を行わない独特のアプローチを採用。効果の評価は時期尚早。
- ほとんどの国は、必要に応じて再引き締めできる中断メカニズムに従って解除を進めている。
- 欧州は大規模検査・接触者追跡・感染者隔離の実施能力でアジアの最善例に後れを取る可能性があり、これはプライバシー規則が厳格であることの反映でもある(欧州委員会は追跡アプリを推奨するが使用は任意)。
リスク認識と政策上の推奨的示唆
- 都市封鎖などの制限は市民に大きな経済的・精神的犠牲を強いており、再開を望む欲求は強い。
- しかし、新規感染を速やかに特定し抑え込む措置が広く整備される前に性急に再開すると、これまでの抑止努力が無駄になり得る。新たな人的犠牲や経済的犠牲が生じる危険がある。
- 再開計画の要点(暗黙の政策示唆):
- 段階的・順序立てた再開を行うこと。
- 継続的なリスク評価に基づき、必須セクターや特定地域・集団を優先すること。
- 大規模検査、接触者追跡、隔離等の体制を整備・強化すること。
- デジタル技術やビッグデータ活用等の補完的手段を導入すること。
- 再度の引き締めを可能にする中断メカニズムを設けること。
- 性急を避け、感染流行の再発を招かない慎重な歩みを維持すること。
著者・寄稿者(経歴要旨)
- 李昌鏞(イ・チャンヨン): IMFアジア太平洋局長。アジア開発銀行でチーフエコノミストを経験。ハーバード大学で経済学博士号取得。主要関心分野はマクロ経済学、金融経済学、韓国経済。
- ポール・トムセン: IMF欧州局長(2014年11月以降)。44か国の国別サーベイランスやEU機関との対話を統括。デンマーク国籍。欧州に関する豊富な政策経験を有する。
出典: IMF ブログ記事「『大封鎖』を解き再始動するアジアと欧州」