貧困層、若者、女性に不利に働くテレワーク
IMF Blog, July 8, 2020
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- 貧困層、若者、女性に不利に働くテレワーク
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- Authors: Mariya Brussevich, Era Dabla-Norris, Salma Khalid
- Published: July 8, 2020
概要
- 新型コロナウイルスの流行は数千万人の労働者が職を失い、数百万人が労働力人口から完全に離脱するなど労働市場に壊滅的影響を与えている。
- 社会的距離確保による措置は、職場への出勤や対面でのやりとりを必要とする仕事を脅かし、リモートで勤務できない者は労働時間や給料の減少、一時的な無給待機、恒久的解雇のリスクが大幅に高まる。
- 私たちの最新のペーパーでは、複数の先進国・新興市場国をサンプルとして在宅勤務の可能性を調査した。
在宅勤務可能性の国ごとの違い
- IMFの加盟国189か国のうち、35の先進国・新興市場国で約1億人の労働者が在宅で勤務できないために高いリスクにさらされている可能性がある。
- 調査対象国の平均では労働力人口の15%に相当するが、国や労働者によって大きな違いがある。
- 在宅勤務の実現可能性指標は、OECDが35か国について実施した調査に基づき、各国で実際に行われている仕事を用いて構築している。
- 同じ職業でも国によって対面でのやりとりや生産過程の技術集約度、デジタルインフラへのアクセスに差があり、テレワークはノルウェーやシンガポールの方がトルコやチリ、メキシコ、エクアドル、ペルーよりもずっと容易である。
- 新興市場国・発展途上国では自宅にコンピュータがない世帯が半数以上を占める国もあり、これがテレワーク実現可能性の低さにつながっている。
最も脆弱な層(調査結果)
- 飲食業や宿泊業、卸売・小売業の労働者が最もテレワークが困難な職に就いているため最大の打撃を受ける。
- 調査対象国において、こうした部門で働く2,000万人以上の人々が失業のリスクに最もさらされている。
- 若年労働者や大学を出ていない人々はリモートワークを行える可能性が大幅に低い。
- 女性は特に大きな影響を受ける可能性があり、飲食業や宿泊業などで女性の比率が著しく高いこと、育児や家事の負担が相対的に大きいこと、サービスの市場供給の途絶が重なる点で脆弱性が高い。
- パートタイム労働者や中小企業の従業員はより高い失業リスクに直面している。パートタイム労働者は景気後退時に最初に解雇され、景気回復時には最後に雇用される傾向がある。
- 特に発展途上国では、パートタイム労働者とインフォーマル労働者が貧困に陥るリスクが非常に大きい。
- 所得分布の底辺に位置する労働者はリモートワークの可能性が最も低く、危機は所得格差を拡大させる。低所得の労働者は飲食・宿泊サービス業などに過度に集中しており、貯蓄や融資へのアクセスなどの資金バッファーをほとんど持たない可能性が高い。
将来の雇用構造とリスク
- 新型コロナ流行は多くの部門で働き方を変える可能性がある。消費者のeコマース利用拡大で小売業の雇用が減少する可能性、テイクアウトの増加で飲食店で働く人々の労働市場が縮小する可能性がある。
- インターネット接続の有無が職場に残れるかどうかを大きく左右するという点が明白になった。
政策提言
- 社会保険と社会セーフティネットを拡大し、所得減少や雇用喪失の影響を緩和して、影響を受けた労働者とその家族を支援する。
- 賃金補助や公共事業プログラムは、こうした労働者が景気回復期に再び生計を立てられるようにする上で有用である。
- 教育・訓練を強化し、労働者に将来の雇用に向けた準備をさせる。生涯学習には学校教育や技能訓練の拡大が含まれ、経済ショックで失職した労働者を支援することが必要である。
- デジタルインフラに投資し、デジタルデバイドを縮小することで、不利な境遇の人々が未来の経済に有意義に参加できるようにする。
著者(紹介)
- マリヤ・ブラッセヴィチ:IMFアジア太平洋局エコノミスト(ASEAN第1課)。研究上の関心は構造変革、国際貿易、格差。パデュー大学で経済学博士号取得。
- エラ・ダブラ=ノリス:IMFアジア太平洋局アジア第1課の課長。以前は財政局で課長として勤務。デリー・スクール・オブ・エコノミクスの修士号、テキサス大学の博士号取得。
- サルマ・ハリド:IMF西半球局エコノミスト(南部第3課)。研究上の関心は開発ミクロ経済学、行動経済学、実験経済学。ミシガン大学で経済学博士号取得。
出典: IMF(本文の記述に基づく)