世界的な経常収支不均衡と新型コロナ危機
IMF Blog, August 11, 2020
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- 世界的な経常収支不均衡と新型コロナ危機
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- Authors: Martin Kaufman, Daniel Leigh
- Published: August 11, 2020
概要
- 世界は国際収支の不均衡を抱えたまま新型コロナ危機を迎えた。貿易量の大幅な低下と為替の大きな変動が生じたが、世界の経常赤字・経常黒字の削減幅は限定的だった。
- 国際通貨基金(IMF)の最新の「対外セクター報告書」では、2019年の経常赤字・経常黒字の規模が対世界GDP比で3%を少し下回る程度であり、前年よりやや縮小していると示されている。
- 私たちの最新見通しでは、2020年には対世界GDP比で0.3%程度という小幅の縮小が想定される。
不均衡の規模と帰属
- 2019年における世界の経常赤字・経常黒字のうち約40%が過剰だと試算している。
- 過剰な不均衡は近年、先進国に集中している。
- 経常黒字が妥当だと見なされる幅を超えている国は主にユーロ圏(中心はドイツとオランダ)。
- 経常赤字が妥当だろう幅を超えている国の代表としてカナダ、英国、米国が挙げられる。
- 中国の対外収支は、政策ギャップと構造的な歪みが相殺されており、2018年同様に中期的ファンダメンタルズと望ましい政策とおおむね整合的と評価。
新型コロナがもたらした対外ショック
- 2020年、世界全体の不均衡は若干改善すると予測されるが、地域・国ごとに状況は大きく異なる。
- 石油や観光など深刻な影響を受けた産業に依存する国や、国外からの送金を頼りにする国では、経常収支に対GDP比で2%を超える低下が起こりうる。
- 新型コロナ危機の開始時には多くの新興市場国・発展途上国で急激な通貨安を伴う突然の資本流出が生じたが、その後、先進国中心の大規模な財政・金融対策により投資家心理は改善し、初期の急激な通貨の動きは一部解消されている。
- しかし、新たな感染の波、経済の後遺症、貿易摩擦の再燃などのリスクは依然として存在する。世界的な金融ストレスが再燃すれば、資本の逆流や通貨ストレスを再度引き起こし、既存の脆弱性を持つ国々に対外危機のリスクが高まる。
短期的政策優先事項(緊急支援)
- 最優先は必須の緊急支援の提供と景気回復の促進。
- 変動相場制の国々は、可能な場合、外的環境に応じて相場を変動させ続けることが望ましい。
- 必要かつ外貨準備が十分な場合の為替介入は、無秩序な市場の緩和に貢献する可能性がある。
- 国際収支上の深刻な圧力に直面し、国外からの民間資金調達が不可能な国々には、公的な資金調達やスワップラインの活用が有益であり、重要な医療支出の維持にも役立つ。
- 関税・非関税の貿易障壁は回避されるべきで、特に医療機器や医薬品に関して最近導入された貿易規制は解除されるべきである。
中期的政策とリバランシング
- 世界経済の行き過ぎた不均衡の是正には、過剰な赤字国と黒字国の双方が協力した改革が必要。
- 関税は国際収支の過剰な不均衡や為替レートのミスアライメントを緩和する上で一般的に効果的ではなく、むしろ貿易と成長に悪影響を及ぼす可能性がある。根元にあるマクロ経済的・構造的な歪みの是正が不可欠。
- 多国間貿易制度の現代化、補助金や技術移転に関する規則強化、サービスやeコマースに関する規則の拡充、WTOの紛争解決制度の機能確保が必要。
- 過剰な経常赤字国向けの施策例:
- 中期的な財政健全化(例として米国に言及)で債務持続可能性を改善し、経常収支の過剰なギャップを削減。
- 必要に応じた外貨準備の増強(例としてアルゼンチンに言及)。
- 輸出競争力に課題がある国は生産性改善の構造改革。
- 過度の経常黒字が続く国向けの施策例:
- 投資を奨励し、過剰な民間貯蓄を抑制する改革を優先。
- 財政余地がある国では成長志向の財政政策で経済の強靭性を強化し、経常黒字を縮小。
- 社会セーフティネット拡大などで行き過ぎた予防的貯蓄を避ける改革(例としてタイやマレーシアに言及)。
追加の分析上の指摘
- 報告書は規模が最も大きい30の経済について対外不均衡と為替相場の評価を個別に行っている。
- 対外的な資産・負債の残高は史上最高規模に達しており、債権国と債務国の双方にとってリスクとなりうる可能性がある。
- 新型コロナ流行が深刻化すると、世界貿易とサプライチェーンの混乱、投資の減少が発生し、世界経済の回復を阻害する可能性がある。
執筆者: マーチン・カウフマン(IMF戦略政策審査局局長補)、ダニエル・リー(IMF西半球局課長補佐)