債務の国際枠組みに今すぐ必要な改革
IMF Blog, October 2, 2020
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- 債務の国際枠組みに今すぐ必要な改革
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- Authors: Kristalina Georgieva, Ceyla Pazarbasioglu, Rhoda Weeks-Brown
- Published: October 2, 2020
現状の評価とリスク
- 新型コロナウイルスのパンデミックにより各国の債務残高はこれまでになく高まった。2019年末と比較した場合、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率は2021年に先進国で20%、新興国で10%、低所得国で7%増加すると見込まれている。
- 先進国の多くはまだ借入余力を有する一方、新興国、低所得国がさらなる債務を背負う余地はかなり逼迫している。
- 低所得国の約半数、新興市場国の数か国がすでに債務危機の最中にあるか、危機に直面しつつある。
- デフォルトが起こってから債務再編を行うと、予防的に行う場合と比較して、GDP、投資、民間部門の与信、資金流入のさらなる低下を招く可能性がある。
- コロナ禍初期の断固たる政策対応により今のところ債務危機は起こっていないが、これらの対応は意図的に短期のものとして設計されており、すぐに不十分になるおそれがある。
これまでの対応とその限界
- G20の債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)は歓迎すべき対応だが、2020年末に期限を迎える。
- IMFは緊急融資として、47の低所得国を含む計76か国に310億ドルを拠出しており、最貧国に対しては大災害抑制・救済基金(CCRT)の下、債務救済策を提供している。
- これまでの対策は主に流動性維持に焦点を当てたものであり、危機が長引けば債務返済能力不足の問題が浮上する。発展途上国の債務危機を防ぐには緊急の追加対策が必須である。
必要な対応分野(優先事項)
- DSSIを2021年まで延長することの必要性。延長がなければ、現在猶予を受けている国では債務返済再開のために緊縮策を余儀なくされ、新型コロナ危機による人的被害を拡大させる可能性がある。
- 債務の脆弱性を抱える国には、債務管理と再成長を促す対策を組み合わせた緊急対応が必要。債務が持続不可能な場合は再編が必須であり、早期対応が望ましい。民間セクターの債権も対象とすべきである。
- 債務救済を必要とする国に迅速かつ十分な救済を提供するため、債務の国際的な仕組み(公的債務の契約、IMFやパリクラブ等の制度、秩序ある債務再編を支える政策枠組み)の改革が必要。
改善すべき具体的項目
- 契約条項の整備:債務国と債権国は継続的に契約条項を整備し、債務国に問題が起きた際の経済的混乱を最小限に抑えるべきである。IMFは国際的な債券において強化された集団行動条項の採択を推進してきたが、債券によらない債務や債務担保証券、担保機能を有する債務に対しても類似の条項が必要である。大災害やその他の経済的打撃に際して返済額の減額や返済の自動停止を規定する条項が有効であろう。
- 債務の透明性の向上:どの国がどのような条件でどれだけ借りているのかの情報が不足していると、債権者は情報に基づいた融資判断ができない。透明性が欠ける状況では債務再編への参加に消極的になる。
- 二国間債権国の共通アプローチ:パリクラブのメンバーとメンバー以外の両方が受け入れられる、二国間債務再編に関する共通アプローチが必要である。再編アプローチには、債務国に透明性を確保した形式で債務内容を開示させ、公的機関・民間を含む全債権者から同様の条件で再編合意を取り付ける共通のタームシートを含めることができる。これにより全債権者間の情報共有と公平な負担分担が促され、参加率を高め、遅延コストを避ける可能性がある。
- 改革の即効性に関する留意点:契約条項の整備は債務残高に影響を及ぼすまで時間がかかる。一方、二国間債権国を巻き込んだ共通の再編アプローチはG20で議論されており、実現すれば即時に重大な変化をもたらす可能性がある。
IMFの役割と行動
- IMFは債務危機を防ぐため、政策助言、融資、能力開発を通じて加盟国を支援している。最貧国に対しては大災害抑制・救済基金の下で債務救済策を提供し続ける予定である。
- 債務の透明性向上のため、国債発行限度方針の強化や債務管理に関する技術支援を提供する。
- G20とともにDSSIを延長するよう取り組んでいる。
- 債務国と債権者の調整や債務再編支援は、債務の持続可能性回復策の分析、債権者の参加率を高める金融支援条件の調整等を通じて行っている。
要請と結論
- 全ステークホルダーが責任を果たす必要がある。DSSIの延長、債務の脆弱性への対応、さらに強固な債務枠組みの構築が重要なステップである。
- 必要ならば先手を打って公的債務の泥沼を防ぐべきであり、放置して大規模なデフォルトに至れば経済に深刻な打撃を与え数年にわたって回復を遅らせるおそれがある。特にリスクが高いのは低所得国であり、一旦債務危機に陥るとその国民が最も苦しむ可能性が高い。
- IMFは全ステークホルダーに対し、大災害のリスクを抑制するために各自が責任を果たし、より安全な金融システム構築への道筋をつけることを要請する。
出典: 債務の国際枠組みに今すぐ必要な改革(国際通貨基金(IMF))