復興に向けた公共投資
IMF Blog, October 5, 2020
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- 復興に向けた公共投資
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- Authors: Vitor Gaspar, Paolo Mauro, Catherine Pattillo, Raphael Espinoza
- Published: October 5, 2020
公共投資の役割と効果
- 公共投資は、保健上の緊急事態への対応や世帯・企業へのライフライン供給を続けつつ、人々の職場復帰支援を含めて経済を新型コロナ後の世界へ移行させる上で中心的役割を担う。
- IMFの「財政モニター」では、先進国と新興市場国で公共投資を拡大することが、景気回復に資する可能性が示されている。
- 公共投資を対GDP比で1%拡大する場合の潜在的影響(条件付き):
- GDPを2.7%押し上げる可能性がある。
- 民間投資が10%拡大する可能性がある。
- 雇用が1.2%増加する可能性がある。
- 短期的には公共投資は数百万件の雇用を直接創出し、より長期的にはさらに数百万件の雇用を間接的に創出しうる。
投資拡大が必要な理由
- パンデミック以前から、世界的に見て投資はすでに10年以上にわたって低迷していた。
- 医療、学校、安全な建物、安全な交通機関、デジタルインフラ等、パンデミックの制御に重要な分野への投資が緊急に必要。
- 世界的に金利が低く、貯蓄は十分にあり、多くの人が失業しており公共投資で創出される仕事に就ける状況であるため、今が投資の好機である。
- 公共投資の雇用効果(100万ドルの公共投資あたりの直接創出潜在的雇用数):
- 従来型のインフラ:2~8件
- 研究開発やグリーン電力、効率的な建物:5~14件
実施の優先順位とタイムライン
- 投資案件の実施には時間を要する可能性があるため、雇用が最も必要とされている「今」に対応するために、次の措置が推奨される:
- 安全な場合に限りインフラメンテナンスを強化する。
- 危機で遅延した有望案件を見直して再開する。
- 今後2年以内の完了を目指し現在進行中の案件を加速させる。
- 危機後の優先事項に沿う新規案件の計画に着手する。
財政的制約と資金調達のバランス
- 一部の国では資金調達環境がタイトであり、借入による投資拡大が困難な場合がある。
- それでも、ロールオーバー・リスクや金利が過度に上昇せず、投資案件を賢く選択する限り、借入を財源にして公共投資を段階的に拡大することは良い結果をもたらしうる。
- 各国は、優先的な投資のために支出配分を見直したり、追加的な歳入を確保したりする必要が生じるかもしれない。
- より貧しい国、特に2030年持続可能な開発目標との関連では国際社会による無償支援が必要となる。
- IMF職員の試算によれば低所得国では毎年250億ドルが必要。
- 2018年に充当された100億ドルでは足りない。
投資案件の質とガバナンス
- 投資水準が高い時に個別案件のコストが上昇する傾向があり、単に投資を増やすだけでは効率を損なうリスクがある。
- 例:投資水準が高い時に個別案件のコストが10~15%上昇しうる。
- 公共投資が大幅に拡大すると、案件の承認・実施に伴うコスト上昇率が高くなり、案件の遅延が長期化する傾向が示されている。
- 投資急増は腐敗を助長するリスクを生む可能性があるため、案件の選定と管理のガバナンス改善が重要である。
- インフラの効率性については平均でそれを3分の1向上させる余地がある。
民間投資の誘発と「財政乗数」の観点
- パンデミック下では一部の仕事を安全に行えないことや、企業の投資資金力の低下により、GDPに対する追加的財政支出の効果(「財政乗数」)が弱まる可能性がある。
- ただし、不確実性が大きい間に公共投資は民間投資家の回復への信頼を高め、その投資を誘発しうる。
- 公共投資は政府の持続的成長に対する強い意志を示す。
- デジタルコミュニケーション、電化、輸送インフラへの投資は新たなビジネスの台頭を可能にする。
- 医療やその他の社会サービスへの投資は、1年先の民間投資の大幅な増加と関係があるとする研究結果がある。
政策的含意(要約)
- 公共投資はパンデミックによる経済的影響を抑える景気刺激策パッケージの強力な要素となる。
- 各国は人命を救い生活を守る措置を続けつつ、多くの雇用を生み生産性が高く、よりグリーンな事業への投資を行うことで、より強靭な経済基盤を築くべきである。
著者経歴(要旨)
- ヴィトール・ガスパール
- ポルトガル国籍。IMF財政局長。
- 2011~2013年 ポルトガル政府の財務大臣。
- 2007~2010年 欧州委員会の欧州政策顧問局長。
- 1998~2004年 欧州中央銀行の調査局長。
- ノーバ・デ・リスボン大学で経済学博士号とポスト・ドクター学位を取得。
- パオロ・マウロ
- IMF財政局副局長。ピーターソン国際経済研究所でシニアフェロー等を歴任。
- 2014~2016年 ジョンズ・ホプキンス大学ケアリー・ビジネススクール客員教授。
- キャサリーン・パティロ
- IMF財政局で局長補と財政政策およびサーベイランス課の課長を務め、IMFの「財政モニター」の責任者。
- ラファエル・エスピノサ
- IMF財政局の課長補佐。前職はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン助教授。
出典: IMF ブログ記事「復興に向けた公共投資」