リアルタイムで見た新型コロナの影響 危機下で求められるバランス
IMF Blog, October 7, 2020
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Bibliographic details
- Authors: Francesco Grigoli, Damiano Sandri
- Published: October 7, 2020
主要結論と全体観
- 景気回復は保健危機の解決次第である。
- ロックダウン措置は感染抑制に有効であり、結果的に自発的な社会的距離確保を低下させ、より早い景気回復につながりうる。
- ロックダウン解除だけでは、感染者が依然多い場合に自発的な社会的距離確保が続くため、決定的かつ持続的な景気浮揚につながる可能性は低い。
- ロックダウンの短期的コストは、中期的に感染抑制を通じて景気回復の促進という利益で相殺されうる。中期的影響と結果の頑健性は、データが増えるにつれて今後の重要な研究課題である。
リアルタイムデータによる分析手法
- 使用データ:
- グーグルの移動データ
- インディードのウェブサイトに投稿された求人情報
- サンプル:128か国
- 比較期間:パンデミック発生からの3か月間
- 主な観察:
- ロックダウンと自発的な社会的距離確保が移動量の落ち込みに等しく影響した。
- 先進国では在宅勤務の容易さや個人貯蓄・社会保障給付により、自発的な社会的距離確保の影響が相対的に大きかった。
- 低所得国では一時的収入減に対処する資金力がないため、自発的な社会的距離確保を選べない場合が多く、影響のパターンが異なる。
- 求人データの分析からも、ロックダウン措置と自発的な社会的距離確保がともに労働需要の落ち込みに大きく影響したことが確認された。
ロックダウンの疫学的効果
- ロックダウン措置は感染を大幅に低下させうる。
- パンデミック発生国で早期にロックダウンを実施した場合、その効果は特に大きい。
- ロックダウンの厳格さが十分であることが感染抑制には必要であり、「緩くて長期化する措置」より「厳しくて一時的なロックダウン」が望ましいことが示唆されている。
脆弱な集団への不均衡な影響
- ボーダフォン提供のイタリア、ポルトガル、スペインの移動データの示唆:
- 外出禁止令と休校措置により、男性よりも女性の移動の方が大きく減少した。
- 背景:女性が子育て負担を過度に負っているため、出勤が妨げられ、女性の雇用機会が脅かされる可能性がある。
- ロックダウンは比較的若い世代の移動により大きな影響を与える傾向がある。
- 具体的には、外出禁止令によって18~24歳と25~44歳の層の移動がより大きく落ち込んだ。
- 背景:この層は休校で世話が必要な年少の子どもを抱えることや、一時的な雇用契約で働いている割合が高いことが関係している。
- 若年層への影響が大きいことは世代間格差を拡大させる恐れがある。
政策含意と推奨
- 保健リスクに対処することが、強力かつ持続的な景気回復の前提条件である。
- 脆弱な集団を保護するための対象を絞った政策介入が必要である。具体例としては:
- 失業給付の拡充
- 親を対象とする有給休暇の支援
- ロックダウンの設計にあたっては、短期的コストと中期的利益を総合的に評価することが重要であり、早期かつ十分に厳格な介入は感染拡大抑制と経済回復の両面で有益となる可能性がある。
著者:フランチェスコ・グリゴリ(IMF調査局世界経済研究課 エコノミスト)、ダミアーノ・サンドリ(IMF調査局世界経済研究課 課長補佐)