未曽有の危機に立ち向かう財政政策
IMF Blog, October 14, 2020
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- 未曽有の危機に立ち向かう財政政策
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- Authors: Vitor Gaspar, Paulo Medas, John Ralyea, Elif Ture
- Published: October 14, 2020
危機の概要と主要事実
- 新型コロナ危機は人命、雇用、ビジネスに大打撃を与えている。
- 各国政府の世界総額の対応は12兆ドルにのぼる。
- 景気後退による税収激減と政府支出の拡大により、世界の公的債務は対GDP比100%近くという史上最大規模に膨れ上がっている。
- 2020年には8,000万人から9,000万人が、追加的な社会扶助を提供されてもなお、絶対的貧困に陥る状況にある。
- 2020年10月の「財政モニター」は、各国の危機対応の経験を分析し、パンデミックの諸段階で政府がとるべき政策を考察している。
ロックダウン段階の政策(実施済みの教訓)
- 大規模な財政支援は人々の保護や雇用の維持に成果を出している。
- 公衆衛生上の措置(大規模な検査、追跡、広報キャンペーン等)は感染拡大抑制と景況感回復を支え、安全な事業再開の環境を醸成している。
- 失業給付や賃金助成金は雇用や生活水準の維持に寄与している。
- 現金給付は貧困層、非公式経済の労働者、失業した個人事業主の支援に特に有用である。
- 企業に対する流動性支援は債務不履行の急増や大量解雇の発生を阻止し、中小企業支援に重要である。
- 財政対応の規模は各国の借入余地や危機突入時の公的・民間債務水準に依存する。
- 先進国や一部の新興市場国では中央銀行の国債購入が金利を歴史的低水準に保ち、政府借入を下支えしている。
- 高債務の新興市場国や低所得国では借入余地が限られ、最も被害を受けた層への支援拡大が妨げられている。
復興に向けた財政ロードマップ(中期対応と優先順位)
- 財政支援をあまりにも拙速に終わらせないことが重要だが、支援は対象をより厳選すべきである。
- 支援は旧来の雇用維持から再就職支援へ移行する必要がある。
- 例: 賃金助成金による雇用維持制度は削減し、求職要件や新技能訓練を再導入すること。
- 存続可能性はあるが依然脆弱な企業を安全に再開させるための支援を継続すべきである。
- 金利が低く失業率が高い環境では、保全管理や既存プロジェクトの規模拡大を手始めに公共投資を増やすことで雇用創出と成長を促進しうる。
- 資金面で厳しい制約を抱える新興市場国や低所得国は、支出の優先順位見直しと効率改善で限られたリソースをより効果的に配分する必要がある。
- 一部の国では公的な資金支援や債務救済が必要となる可能性がある。
- 税務コンプライアンス向上策や、より富裕な層や高利益企業への増税の検討によって得られる税収は、衛生や社会的セーフティネットなど重要サービスの費用を賄うのに役立つ。
- パンデミックが制御された後、各国は多額の財政赤字や高水準の公的債務と向き合う必要がある。
- 財政余地があるが大量の長期失業等の痛手を負った国: 一時的な財政刺激策を講じつつ中期的な調整を計画すること。
- 債務水準が高く融資を利用しにくい国: 中期的に調整を図りつつ公共投資や低所得世帯への給付を守る努力を継続すること。
パンデミック収束後のリセット(長期的志向)
- 医療制度と教育への投資を優先課題とする必要がある。
- 社会的セーフティネットを強化し、すべての人が食料などの基本的物資やサービスにアクセスできるようにすること。
- 経済回復を利用して、危機以前の成長モデルから決別し、低炭素のデジタルエコノミーへの移行を加速すべきである。
- カーボンプライシングは移行の鍵となりうる。
- カーボンプライシングはエネルギー消費削減やクリーンエネルギーへの移行を奨励する。
- 税収の一部を最も弱い立場の人々への支援に充てることが可能である。
- 公共投資やその他の財政措置を通じて復興を進める際、政策選択は長期的影響をもたらすため、
- より包摂的で強靭な経済の形成を促進し、
- 成長や雇用を増やすグリーン政策を断固として推進すること。
著者等(関係者の職歴と専門分野)
- ヴィトール・ガスパール: ポルトガル国籍、IMF財政局長。ポルトガル銀行での特別顧問等の経歴、2011~2013年にポルトガル財務大臣、2007~2010年に欧州委員会欧州政策顧問局長、1998~2004年に欧州中央銀行調査局長。ノーバ・デ・リスボン大学で経済学博士号とポスト・ドクター学位。
- パウロ・メダス: IMF財政局課長補佐。IMF欧州局・西半球局での職務経験、2008~2011年にブラジル駐在代表。研究関心分野はガバナンスと腐敗、財政危機、天然資源管理。
- ジョン・ラリエ: IMF財政局シニアエコノミスト。欧州局でルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン担当チームに参加。国有企業、公的年金、財政規則等の研究歴。以前は米国財務省勤務。
- エリフ・ツレ: トルコ出身、IMF財政局エコノミスト。ユーロ圏担当チームの一員で「財政モニター」作成に参加。研究分野に偶発負債に起因する財政リスク、財政規則、財政連邦主義、財政ガバナンス等がある。
出典: 未曽有の危機に立ち向かう財政政策(ページ概要)