新興市場国とフロンティア市場国 金融ストレス下における政策ツール
IMF Blog, October 26, 2020
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- 新興市場国とフロンティア市場国 金融ストレス下における政策ツール
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- Authors: Dimitris Drakopoulos, Rohit Goel, Fabio Natalucci, Evan Papageorgiou
- Published: October 26, 2020
景気影響と中央銀行の総括対応
- 新興市場国では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によって景気がかつてない打撃を受けた結果、2020年にGDPが3.3%縮小すると予測されている。
- 中央銀行の迅速かつ力強い対応が、市場の安定化と機能維持に大きく貢献した。
実施された主要な政策ツールと頻度
- ほぼすべての中央銀行が金利を引き下げた。
- 大半の中央銀行が為替市場に介入した。
- 約半数の中央銀行が銀行の預金準備率を引き下げた(流動性供給と金融環境の緩和に寄与)。
- 新興市場国約20か国の中央銀行が、初めて量的緩和(資産買い入れプログラム)を導入した。
量的緩和(資産買い入れ)—目的と国別傾向
- 目的は主に3つの類型に分かれる。
- 第一類型: 政策金利がゼロを大きく上回っていた場合、資産買い入れを債券市場の機能改善ツールとして使用(インド、南アフリカ、フィリピン)。
- 第二類型: 政策金利がゼロ金利制約に近い場合、先進国中央銀行と同様に市場機能・流動性の改善に加え金融環境の緩和のために活用(チリ、ポーランド、ハンガリー)。
- 第三類型: パンデミックに伴う政府の資金調達難を一時的に緩和する目的を明示した事例(ガーナ、グアテマラ、インドネシア、フィリピン)。
資産買い入れの効果に関する分析結果
- 導入から約半年が経過した段階での分析では、資産買い入れは概してプラス影響をもたらしたことが示唆されている。
- この評価は、政策金利の引き下げ、米連邦準備制度が実施した追加の大規模な資産買い入れ、世界的なリスク選好の回復といった他の要因も考慮した上での結論である。
- 具体的な効果:
- 自国通貨の下落を同時に招くことなく国債利回りを引き下げるのに役立った。
- 自国市場のストレスを徐々に緩和するのに貢献した。
政策ツールキットの拡充と潜在的リスク
- ポジティブな経験は、伝統的政策の余地が限られる場合に、より多くの新興市場国の中央銀行が非伝統的金融政策をツールキットの重要要素として検討する契機となりうる。
- 同時に、便益と甚大な潜在的コストの両方を勘案する必要がある。将来的に資産買い入れが定期的かつ特に大規模で無期限に行われる場合に生じ得るリスク:
- 制度と中央銀行の信頼性の低下。
- ファンダメンタルズが弱い国を中心とした資本流出圧力の高まり。
- 投資家の間で財政支配に関する懸念が生じる可能性。
- 中央銀行は政策転換とその実行に着手する前に、これらのリスクを測定する必要がある。
教訓と政策上の推奨事項(「さらになすべきこと」)
- 資産買い入れはより広範なマクロ経済政策パッケージの一環として一体的に行われる場合に効果が大きくなる。
- 中央銀行の信頼性に対するリスクを最小限に抑えるために、透明性と明確なコミュニケーションが非常に重要である。制度的枠組みが脆弱な国ではなおさらである。
- 多くの場合、資産買い入れプログラムは期間と規模を限定し、明確な目標にリンクさせる必要がある。
- 資産買い入れは流通市場で実施することが望ましい。理由:
- 発行市場または市場価格以下での買い入れは、債券の適正価格決定プロセスに影響を与えかねない。
- 発行市場での買い入れは、中央銀行が物価の安定という本来の使命を犠牲にして国家財政に資金を供給するのではとの懸念(財政支配)を高める可能性がある。
出典: 新興市場国とフロンティア市場国 金融ストレス下における政策ツール(IMFブログ)