継続する世界の不確実性 それが意味すること
IMF Blog, January 19, 2021
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- 継続する世界の不確実性 それが意味すること
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Bibliographic details
- Authors: Hites Ahir, Nicholas Bloom, Davide Furceri
- Published: January 19, 2021
概要と主要事実
- 世界不確実性指数(WUI)は143か国を対象とする四半期ごとの指標である。
- 新型コロナのパンデミックが勃発した2020年第1四半期のピークから不確実性は約60%低下している。
- それでも不確実性は1996~2010年の平均を約50%上回っている。
研究の目的と対象
- 目的:システム上重要な主要国(G7諸国および中国)から世界全体への不確実性の波及を測定すること。
- データと期間:エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)の国別報告書(143か国)を対象に、1996年第1四半期から2020年第4四半期までをテキストマイニング。
- 対象となるシステム上重要国:米国、イギリス(ブレグジット関連を含む)、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、日本。
測定方法(方法論)
- 指標:各報告書中で「不確実性」を示す単語(例:「不確実な(uncertain)」「不確実性(uncertainty, uncertainties)」)が、その国に関連する単語の近くで言及される頻度に基づいて波及を測定。
- 国に関連する単語:国名、当該国の大統領の名前、中央銀行の名称、中央銀行総裁の名前、当該国の主な出来事(例:ブレグジット)など。
- 正規化:各報告書の総単語数に対する「不確実性」単語数の比率として計算し、国間比較可能とした。
- 解釈:指数の上昇は不確実性の高まり、低下はその反対を意味する。
主要な分析結果(発見)
- システム上重要な国における不確実性は世界全体の不確実性にとって重要である。
- しかし、顕著な波及効果を持つのは主に米国とイギリスのみで、その他のシステム上重要国の役割は概して小さい。
- 米国の影響:
- 過去数十年間、米国関連の不確実性は世界全体の不確実性の主な源泉となってきた。
- 2001年から2003年にかけて、米国関連の不確実性が他国における不確実性に約8%寄与。
- 同期間に世界的な不確実性が歴史的平均値を上回った分の約23%が米国関連の不確実性に由来。
- 直近の4年間では、米国関連の不確実性が他国における不確実性に約13%寄与し、ピーク時には約30%に達した。
- 世界の不確実性が歴史的平均値を上回った分のうち、約20%が米国関連の不確実性に由来。
- イギリス(ブレグジット):
- イギリスとEUのブレグジット交渉に関連する不確実性は、この4年間で世界に大きな波及効果をもたらし、ピーク時には不確実性全体の30%以上を占めた。
- この期間に見られた世界的な不確実性の高まりに約11%寄与した。
- その他のシステム上重要国:
- カナダと中国、フランス、ドイツ、イタリア、そして日本を合わせても、世界に対する不確実性の波及効果はほとんどない。
- 近年の中国関連の不確実性の大半は米国との貿易摩擦に由来している。
- 地域的には、ドイツからEU諸国や中国へ、あるいは日本から一部のアジア諸国へなど、特定の経路で重要な影響を及ぼす例が見られる。
解釈と含意
- グローバルな不確実性の源泉は集中的であり、特に米国とイギリスの出来事や政策・政治動向が世界の不確実性を牽引してきた。
- 他の主要国は世界全体への影響は限定的だが、地域的波及経路は無視できない。
- 中国の不確実性も注目されるが、その多くは米国との関係性(貿易摩擦)に起因している。
寄稿者
- ヒテシュ・アヒア(IMF調査局 上席調査官):住宅市場と予測評価が専門。以前は米州開発銀行に勤務。ジョンズ・ホプキンス大学院で経済学を学んだ。
- ニコラス・ブルーム(スタンフォード大学 経済学教授):全米経済研究所の生産性・イノベーション・起業家精神プログラム共同ディレクター。マネジメント慣行と不確実性が研究の焦点。ケンブリッジ大学(学士)、オックスフォード大学(修士)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(博士)。
- ダビデ・フルチェリ(IMFアジア太平洋局 地域研究課 課長補佐):調査局と中東中央アジア局での勤務歴があり、ECBやOECDでの勤務経験も有する。イリノイ大学で経済学博士号取得。
出典:IMF ブログ記事「継続する世界の不確実性 それが意味すること」