新型コロナが落とす長い影 パンデミックの社会的影響
IMF Blog, February 3, 2021
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- 新型コロナが落とす長い影 パンデミックの社会的影響
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- Authors: Philip-Barrett, Sophia Chen, Nan Li
- Published: February 3, 2021
歴史的文脈と問題意識
- 歴史は感染症が「政治のあり様を規定し、社会秩序を転覆し、時には最終的に社会不安を引き起こす」事例に満ちている。
- 例示:
- 1832年のコレラ(パリ): 人口65万人のうち2万人が死亡。感染は劣悪な環境にある貧困層に集中し、階級間の緊張を激化させ、最終的に1832年のパリ蜂起(六月暴動)につながったと歴史家は論じる。
- 他の歴史的事例として、ユスティニアヌスのペスト、黒死病、1918年のスペイン風邪が挙げられる。
データと計測(RSUI)
- 社会不安の計測に関する課題:
- 社会不安事象の発生時点特定が難しい。
- 既存の情報源は低頻度であるか対象範囲の一貫性を欠く。
- IMF職員の対処:
- 「社会不安報道指数(RSUI)」を作成。
- RSUIの特性:
- 1985年から現在まで一貫して測定。
- 130か国を対象。
- 月ごとに社会不安を測定。
- RSUIの急激な上昇は、事例研究の叙述とほぼ符合し、報道機関の関心度変化ではなく実際の事象を反映していることを示唆。
実証的所見
- 感染症流行と社会不安の関連性(IMF職員による研究の結論):
- 感染症流行がより頻繁かつ深刻であった国ほど、概してより大きな社会不安に見舞われた。
- 短期的(パンデミックの最中と直後)には、社会不安が急速に顕在化しない場合がある。理由としては以下が挙げられる:
- 人道危機が抗議運動の組織に必要なコミュニケーションや輸送を阻害する。
- 困難な時期には世論が結束や連帯を好む傾向がある。
- 現政権が緊急事態を利用して権力を強化し、反体制派を抑圧する可能性がある。
- 実証例:
- 全世界で重大な社会不安の発生件数はここ約5年来で最低の水準となっている。
- 例外として米国とレバノンが挙げられるが、最大の抗議運動は新型コロナによって悪化した可能性がある問題と関係しているものの、新型コロナが直接の原因であったわけではない。
- 長期的影響:
- 感染症流行の後、暴動や反政府デモのリスクが時間とともに高まることを示す証拠がある。
- 「重大な統治の危機」(政府を転覆させる恐れのある事象)は、一般的に深刻な感染症流行から2年以内に発生するリスクが高まるという証拠がある。
メカニズムと増幅要因
- 感染症が社会不安をもたらしうるメカニズム(本文で示唆された要因):
- 社会的セーフティネットの不十分さ。
- 制度に対する信頼の欠如。
- 政府の無関心・無能力・腐敗に関する認識。
- これら既存の亀裂が感染症によって顕在化または悪化すること。
- 影響が特に大きくなりうる条件:
- 制度への信頼の欠如や貧弱なガバナンスが存在する場合。
- 貧困や格差が顕著な場合。
政策含意(示唆)
- 感染症後の社会不安リスクを軽減するための重点領域(本文の分析に基づく示唆):
- 社会的セーフティネットの強化。
- 制度への信頼回復に向けた透明性と説明責任の強化。
- 貧困対策と格差是正。
- ガバナンスの改善と汚職対策。
- 時間軸を意識した対応:
- 短期的には人道支援と結束を支える政策が重要。
- 中長期的には、深刻な感染症流行後2年以内に高まる「重大な統治の危機」リスクを想定したガバナンス強化策が必要。
このブログ記事は、「IMFリサーチ・パースペクティブ」に最初に掲載されたものです。