「大分岐」を阻止する 分かれ道に立つ世界経済
IMF Blog, February 24, 2021
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- 「大分岐」を阻止する 分かれ道に立つ世界経済
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- Authors: Kristalina Georgieva
- Published: February 24, 2021
概要と主要見通し
- IMFの予測:世界のGDP成長率は今年は5.5%、2022年は4.2%。
- 回復は長く不確実であり、ワクチン普及の遅れと新たな変異株の拡大が下押し要因。
- 回復のスピードと規模には国際間・国内で危険なまでの格差が生じている。
分岐(大分岐)の性質と影響
- 先進国と一部新興市場国では回復が早まる一方、大半の発展途上国では数年にわたる低迷のリスクが高い。
- 2022年末時点での累積の1人当たり所得見通し(危機前予測比):
- 先進国:13%下回る
- 低所得国:18%下回る
- 中国を除く新興市場国・発展途上国:22%下回る
- 発展途上国では極度の貧困層が何百万という単位で増加する見込み。
- 収斂の見通し変化:
- 危機前は2020年から2022年にかけて110か国で先進国との所得格差縮小を予測していたが、現在は52か国にとどまり、残りの58か国が取り残される見込み。
不均衡の要因
- ワクチンアクセスの不均等:最善シナリオでも多くの発展途上国でワクチン普及は2022年末以降に。
- 経済構造上の脆弱性:観光業や原油輸出依存国が特に打撃を受けやすい。
- 財政余地の違い:
- 昨年の平均的な財政措置の規模:先進国でGDPの約24%。
- 新興市場国では6%。
- 低所得国では2%未満。
- 財政支援の規模は雇用喪失の少なさと関連する場合が多い。
- 国内格差の拡大:若者、低技能者、女性、インフォーマル労働者が不均衡な影響を受け、何百万人もの子どもが教育の中断に直面。
長期的後遺症と雇用影響
- 危機の長期的後遺症が成長と雇用の回復をさらに困難にする恐れ。
- G20諸国(データ制約でインドとサウジアラビアを除く)における総雇用喪失予測:
- 今年:2,500万以上
- 2022年:2,000万近く
政策優先事項(3点)
- 第一:保健危機の終結に向けた取り組み強化
- 貧困国でのワクチン普及加速のための強力な国際協力が必要。
- 必要措置:必要ワクチン確保、ロジスティクス費用の追加資金供与、余剰ワクチンの迅速再割り当て、2022年以降のワクチン生産能力の大幅拡大。
- 検討案:過剰生産に係る下振れリスクに対するワクチン製造業者への保険提供の検討。
- 医療関連:ウイルスの遺伝子配列解析を含む治療法や検査へのアクセス拡大、医療用品の輸出制限回避。
- 経済的インセンティブ:保健危機終息が加速すれば、2020年から2025年に世界の所得を累積で9兆ドル押し上げる可能性(うち先進国が享受する約4兆ドルを含む)。この恩恵はワクチン関連コストを上回るとする見解。
- 第二:経済危機対策の強化
- G20主導で実施された約14兆ドルに上る財政措置を土台に、パンデミック段階、自国の経済状況や政策余地に応じて適切かつ対象を絞った財政支援を継続する必要性。
- 目的:生活維持と本来であれば存続可能な企業の倒産防止。
- 金融面:緩和的な通貨・金融政策で良好な金融環境を維持し、家計や企業への信用の流れを支える。
- 金融市場リスク:主要中央銀行は金融市場の過度の変動を防ぐために自らの金融政策計画について慎重なコミュニケーションを行うべき。
- 注記:主要中央銀行の大幅な金融緩和により、一部の発展途上国は国際資本市場アクセスを回復し、記録的な低金利で借入が可能となったが、過剰なリスクテイクや市場の熱狂への懸念もある。
- 第三:脆弱な国々への支援強化
- 多くの新興市場国・低所得国は財源や政策余地が限られ、マクロ経済安定維持と保健危機対応、基本的ニーズ充足の間で厳しい選択を迫られる可能性。
- 必要対応:
- 国内措置:歳入確保、公共支出効率化、ビジネス環境の改善。
- 国際協力:譲許的融資の拡大、リスク共有手段強化を通じた民間資金の活用。
- SDR(特別引出権)の新規配分:世界の長期的外貨準備ニーズに応え、各国に新たな債務負担を課さず直接的な流動性支援を提供する可能性。
- 二国間ドナーによる譲許的支援のための新たな資金提供能力の拡大。
- 債務問題への対応:
- G20の債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)は迅速な資源供給を実現。
- 新しい「共通枠組み」により、民間部門を含む広範な債権者の参加でDSSI適格国を対象にタイムリーで秩序ある債務措置を実施可能とする。
- 債務措置は、資金調達ニーズが大きい国への債務返済期限延長や、債務負担が持続不可能になった場合の抜本的な救済を含むべき。
- 共通枠組みには最初の要請が寄せられており、官民すべての債権者によって早急に稼働させる必要。
IMFの対応と追加的提言
- IMFの取組み:85か国を対象とした総額1,050億ドルを超える新規融資や、最も貧しい加盟国に対する債務救済を通じた対応強化。
- 今後の方針:2021年以降もIMFの加盟国190か国を支援するためのさらなる取り組み。
- 国際法人課税の現代化支援:デジタル経済に適合し、発展途上国のニーズに即した制度を必要とする。高収益企業が事業を行っている市場で納税する多国間の取り組みが不可欠。
結論:選択の重さと国際協力の重要性
- 先進国は人的資本、デジタルインフラ、新しい気候経済への移行に投資を継続する必要がある。
- 貧困国には気候変動適応策を含む投資を行う上で必要な支援を確保することが重要。
- 貧困国を置き去りにする選択肢は忌むべき格差を固定化し、世界の経済的・社会的安定に対する重大な脅威となる可能性がある。
- 記録的スピードでワクチンを実用化した国際協力の教訓を生かし、力強く包摂的な復興を実現するために協調の精神が不可欠。
出典: 「大分岐」を阻止する 分かれ道に立つ世界経済 — https://www.imf.org/ja/blogs/articles/2021/02/24/blog-the-great-divergence-a-fork-in-the-road-for-the-global-economy