アジアの未来 1年という時間に生じた変化
IMF Blog, March 17, 2021
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- アジアの未来 1年という時間に生じた変化
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Bibliographic details
- Authors: Chang Yong Rhee, Katsiaryna Svirydzenka
- Published: March 17, 2021
概要
- 執筆: 李昌鏞(イ・チャンヨン)、カツィリナ・スヴィリジェンカ
- 日付: 2021年3月17日
- 主題: 新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)がアジア太平洋地域にもたらした短期的・長期的影響と、それに対する政策的対応・優先課題。
影響の長期化(傷跡)
- 過去の先進国の景気後退の経験に基づく知見:
- 景気後退が始まってから5年後の時点でGDPは危機前のトレンドよりも約5%低い状態が続くことがある。
- コロナ禍による複合的被害:
- 雇用破壊、貧困・格差の悪化、公的債務と民間債務の増大が同時に発生。
- 資本ストック、雇用、生産性の低下が長期化することで、今後何年間にもわたり後遺症を残す可能性。
労働市場と社会的影響
- 被害の偏在:
- 低賃金産業、女性や若者が多い産業で失業増加、労働参加率低下、雇用喪失が顕著。
- 社会の最貧困層や最脆弱層に悪影響が偏在し、社会的保護の抜け穴が浮き彫りに。
- 地域内の格差:
- アジア太平洋地域の先進国や新興市場国で既に深刻化していた格差がさらに悪化。
公的債務と民間債務の課題
- 債務残高の重荷:
- 多くの国が膨らんだ公的債務と民間債務の重荷に直面。
- 小国では国の債務が問題になりうるため、歳入確保、公共財政、債務管理への注力が必要。
- 多国間機関による支援や債務救済があれば余裕が生まれる可能性。
- 大規模な新興市場国の脆弱性:
- 記録的水準に達した民間債務。債務返済を行うだけの業績を達成できていない企業が増加。
- 政府支援が撤廃された際に企業破産の大波が生じるリスク。
- シナリオ: 世界の金融環境が復興過程でタイト化し、大規模な資本流出が起こると企業部門への圧力が増す。
- 対策:
- 民間債務再編枠組みの強化。
- 十分な資金調達を確保し、リスク資本へのアクセスを促進して成長産業への資源再配分を加速。
非伝統的な政策対応とリスク
- 実施された主な政策(国別事例含む):
- 多くの国が財政・金融政策で大規模な支援を実施。
- インド、スリランカ、ネパール: 債務返済猶予と対象を絞った融資制度を発表。
- マレーシア、タイ: 中央銀行からの融資で追加流動性を企業に提供。
- インドネシア、フィリピン: 大規模な資産買い入れを実施。
- 新興市場国・発展途上国で非伝統的金融政策が拡大。
- リスクと留意点:
- 積極的政策は妥当だがリスクを伴い、長期化するとリスクは増大。
- 政策担当者は施策の歪みを最小化し、明確な出口戦略を策定することに焦点を当てるべき。
傷跡を癒すための改革と政策パッケージ
- 主要な政策分野と措置:
- 生産性向上と投資促進のための経済改革を加速。
- 産業部門間の資源再配分を確実に実現。
- 経済転換で悪影響を受ける労働者への支援。
- 具体的措置例:
- 対象をしっかりと設定した雇用助成金。
- 労働者向けの職業訓練制度。
- インフラ更新。
- 事業プロセスの簡素化。
- 規制・税の負担軽減。
- 社会保護の拡充:
- インフォーマル経済の労働者を公式部門制度に取り込むための社会セーフティネット改善を推進。
- 対象を絞った条件付きの現金給付で貧困層を支援。
環境配慮型の回復機会(グリーン転換)
- 危機がもたらす機会:
- エネルギー集約型産業からの一時的な再配分が、より生産的でクリーンな産業での雇用創出のチャンスに。
- 政策手段:
- 適切に設計された炭素税の導入と、それを補完する製品市場・労働市場政策。
- 資本の再配分と労働者の再就職支援としての職業研修。
- 期待される効果:
- 世界的な気候変動対策への貢献。
- 地元住民の健康向上、雇用改善、開発ニーズを満たす資源拡大への寄与。
総括的提言
- 医療、社会セーフティネット、労働市場、企業部門における改革がパンデミックの影響緩和と長期課題の対処に寄与。
- 持続的で公平かつ環境に配慮したかたちで危機を終息させるため、アジアは迅速かつ革新的であり続ける必要。
出典: アジアの未来 1年という時間に生じた変化(2021年3月17日)