中小企業 倒産の波を食い止める
IMF Blog, April 5, 2021
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- 中小企業 倒産の波を食い止める
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Bibliographic details
- Authors: Federico J Dez, Romain Duval, Chiara Maggi, Nicola Pierri
- Published: April 5, 2021
影響とリスクの概要
- パンデミックでは中小企業が特に大きな打撃を受けている。ホテル、レストラン、エンターテインメントなど対人接触の多い部門に中小企業が多いことが一因。
- 企業清算の急増は何百万人もの雇用の破壊、金融制度の毀損、景気回復の鈍化につながるリスクがある。
- 流動性支援は短期的な破産回避に寄与するが、支払い能力(インソルベンシー)の問題には対処できない。
量的評価(IMF職員による研究の主要推計)
- 対象は欧州とアジア太平洋地域の先進国が大部分を占める20か国。
- 2021年に支払い不能となる中小企業の割合は「10%から16%に増加」すると予測。
- 予測される支払い不能により、中小企業が雇用する労働者の「10%を超える約2,000万人」の雇用が危険にさらされる。
- 中小企業の「18%」が当面の債務返済のための現金が足りないという流動性不足に陥る可能性あり。
- 銀行への打撃:一部の痛手が大きかった国(大半が南欧の国々)では、銀行の自己資本(Tier1)比率が「2%ポイント以上」下がる可能性がある。
- 小規模銀行の影響:小規模銀行の「25%」では自己資本率が少なくとも「3%ポイント」下がると考えられ、「10%」ではさらに大幅に低下し少なくとも「7%ポイント」下がる可能性がある。
政策オプションの要旨
- 政策当局者は迅速に斬新な措置を講じ、倒産の波を緩和する必要がある。
- 継続的な流動性支援、準資本の投入、再編の仕組みの強化を組み合わせることが推奨される。
的を絞った「準」資本投入(公的資本的性格の支援)
- 理由:倒産が相次げば、社会的コストは個々の債務者・債権者が負うコストをはるかに上回る。
- 実施手段の例:
- 政府が新規融資として、または既存融資を転換する形で「利益参加型融資」を提供する。
- これらの融資は既存の債務請求権に劣後し、見返りは対象企業の利益と一部連動することがある。
- 政府支援を実施する際に民間投資家(銀行など)が資本投入することを条件にすることで、存続能力のある企業の選別で市場に主導的役割を持たせることが可能。
- 既に行動している国の事例(言及):フランス、イタリア、アイルランドでは民間投資家に資本拠出のインセンティブを与える政策を提案または制定。
- 実施タイミング:新規分については存続可能性に関する不確実性が解消されてから実施してもよい(時期をずらした実施も可能)。
- 効果の大きさ(予測):
- 対象20か国全体のGDPのおよそ「0.5%」の予算で的を絞った支援プログラムを実施すれば、存続能力はあるが現在は支払い不能状態にある適切な企業の「80%以上」を、最低限の支払い能力の定義である「純資本ゼロ」の状態に戻すことが可能と考えられる。
- これは、一律に中小企業全てを支援するアプローチで達成しうる成果の「4倍を上回る」成果に相当する。
倒産手続と債務再編の強化
- 公的支援が実施されても中小企業の支払い不能は増加する公算が大きいため、倒産手続制度の強化が必要。
- 必要な政策ツールの例:
- 私的整理に特化した仕組み
- ハイブリッド型の再編
- 小規模企業の再編の簡略化
- 追加的措置:企業清算の件数が過大となる可能性に備えて、政府として再編へ導くための金銭的インセンティブを与えることも検討すべき。
結論(政策的含意)
- 先進諸国の政府は中小企業が危機に陥るリスクに対処する必要がある。継続的な流動性支援、準資本の投入、再編の仕組みの強化を組み合わせれば、力強い回復を確実にするのに大いに役立つだろう。
出典:IMF ブログ記事 "中小企業 倒産の波を食い止める"(著者:フェデリコ・J・ディエス、ロマン・デュバル、ニコラ・ピエリ、キアラ・マッジ)