強力な危機対応を見せたアジア 次はより公平でグリーンな未来の構築へ
IMF Blog, April 14, 2021
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- 強力な危機対応を見せたアジア 次はより公平でグリーンな未来の構築へ
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- Authors: Jonathan D Ostry
- Published: April 14, 2021
現状と回復の格差
- 地域平均だけを見ると回復が進んでいるが、国家間および国内で広がる格差を見逃している。
- パンデミックはあらゆる国で過去にない所得喪失を引き起こし、その影響の大部分は低所得やインフォーマル経済の労働者、若者や女性に集中した。
- IMFはアジア太平洋地域の成長が今年は7.6%、来年は5.4%に回復すると予想している。
- 先進国(オーストラリア、日本、韓国)は、昨年後半の予想を上回る成長、強力な政策対応、アメリカの大規模な財政刺激策の波及効果から恩恵を受けている。
- 一部の新興市場国(例:インドネシア、マレーシア、フィリピン)は感染増加と新たなロックダウンにより回復が比較的弱い。
- 中国の今年の成長見通しは8.4%に引き上げられた。
- インドの成長見通しは12.5%に引き上げられたが、ここ数週間で感染者数が再び急増している。
- 太平洋島嶼国や小規模国は観光業の崩壊と一次産品の需要急減で大きな打撃を受けている。
リスク要因:変異株と外部ショック
- ワクチン接種が急速に進められた国では医療状況が改善し、より力強い復興が進んでいる一方、変異株の登場や繰り返される流行の波、ワクチンの有効性に関する疑問は大きな不確実性をもたらしている。
- アジアは貿易と資本フローで対外志向が強く、外部環境の変化が重要なリスク要因となる。
- アメリカの積極財政政策と10年物米国債利回りの顕著な上昇の組合せが地域に波及している。
- 米国の積極財政による成長加速は輸入増を通じてアジアに好影響を与える見込み。
- しかし米国債の利回りが市場予測を上回るペースで上昇した場合、金融の諸経路や資本流出を通じてマイナスの波及効果が生じ、マクロ金融の安定を脅かす恐れがある(2013年のテーパー・タントラムの例を参照)。
- 影響の度合いは各国固有の貿易と金融のリンケージによって異なる。
- 国債の国外保有比率は近年低下しており、非居住者投資家に起因するリスクは減少している。
- 公的外貨準備の積み増し、為替相場の柔軟性向上、銀行の財務状況に関する強化された監督、より安定化したインフレ期待により、国外投資家のリスク選好が弱まっても影響は抑えられるはずだ。
- ただし政府、家計、企業のバランスシートで見られた債務の増加は、借入コスト上昇(が今後起きた場合)の影響を大きくする。
政策上の優先事項と推奨行動
- ワクチン普及の最優先化
- あらゆる国でワクチンを幅広く普及させることが最優先事項。
- 供給と接種能力を大幅に拡大することが不可欠であり、手ごろな価格であらゆる人にワクチンを届けるには国際協調が必要。
- 財政政策
- 必要な層に的を絞った財政支援は、パンデミックが収束し民間需要が回復するまで持続すべき。
- 広範なライフラインはパンデミックの収束と歩調を合わせて段階的に終了すべきであり、その後に新たな成長部門(グリーンとデジタル)に必要なリソースを再配分する未来志向の支援が望ましい。
- 政策当局者は公的債務を信頼性のある中期的枠組みの中に位置づけるよう注意すべきであり、とりわけ財政余地やバッファーが損なわれた国ではその必要性が高い。
- 金融政策とマクロ金融安定
- 金融政策は引き続きデータに基づき、マクロ経済と金融安定へのリスクに紐づくべき。
- 突発的な資本流出の可能性や住宅価格高騰によるリスクを踏まえ、金融政策やその他の政策手段を駆使してマクロ金融の安定を守る必要がある。
- 成長の質と包摂性
- 安定だけでなく、生産性の向上や経済のパイの拡大、全市民に公平な機会を与えることが同様に重要。
- 政策当局者はよりグリーンで包摂的な復興に真剣に取り組むべきである。
- 貿易政策
- 貿易は地域の長年の成長の推進力であったが、1990年代半ば以降、貿易自由化のペースは衰えている。
- 広範な自由化は中期的に大幅な経済活動の増加をもたらし、危機の傷跡を癒すのに役立つ可能性がある。
- 企業部門政策
- 企業債務は危機前から高水準にあり、パンデミックでさらに増加した。
- 企業政策は流動性支援から支払能力支援に転換すべき。
- 破産手続きを合理化し、有望な企業の回復を支援するために与信を維持し、企業が債務を削減して成長するのを支援するために新たな資本注入を促進する必要がある。
将来への展望
- アジアの復興が顕著であったのはパンデミックの急性期に迅速かつ有効な政策を実施したためである。
- 次の段階は、より包摂的で、グリーンで、レジリエントな地域になるための基盤を築くことであり、より困難だがやりがいがある挑戦になる。
出典: ジョナサン・D・オストリー、2021年4月14日(IMF ブログ)