G20の債務処理のための共通枠組みを強化する必要あり
IMF Blog, December 2, 2021
Source details
- Canonical URL
- G20の債務処理のための共通枠組みを強化する必要あり
Other formats
Bibliographic details
- Authors: Kristalina Georgieva, Ceyla Pazarbasioglu
- Published: December 2, 2021
概要と現状認識
- 債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)が間もなく終了し、低所得国は債務返済がますます困難になる可能性がある。
- 低所得国の約60%が債務返済に支障をきたすリスクが高いか、すでに支障をきたしている。2015年には、その割合は30%を下回っていた。
- パンデミック以降、低所得国は国内政策と先進国の低金利の恩恵を受けてきたが、国際金融環境のタイト化により2022年は一層困難になる見込み。
- G20はDSSIを実施し、その後、債務再編と支払不能や長期的流動性問題への対処を支援するために共通枠組みを導入した。
- 国際支援として、IMFの緊急融資や、210億ドルが低所得国に直接割り当てられた6,500億ドルの特別引出権(SDR)配分が行われた。G20首脳は自国のSDRを転貸して低所得国を支援することに合意し、1,000億ドルに上る自国のSDRを転貸する約束がある。
共通枠組みの実施状況と課題
- 共通枠組みは、IMFが支援する改革プログラムと連携し、支払不能と長期化する流動性問題に対処することを目的としている。
- 公的債権者には、従来のパリクラブの債権国(例: フランス、米国)に加え、中国やインドといった新興債権国が含まれる。
- 共通枠組みの下で債務救済を要請した国はチャド、エチオピア、ザンビアの3か国にとどまり、いずれのケースでも大幅な遅延が生じている。
- 遅延の要因として:
- 債権国間の調整の難しさや、各債権国内に複数の政府機関が存在することによる意思決定の遅さ。
- チャドでは一民間企業が保有する多額の担保付債務の再編が必要で、複数の銀行やファンドから成るシンジケート団が意思決定を複雑化している。
- エチオピアとザンビアでは国内の諸課題が進捗の遅れを生んだ。
提言と行動指針(必要な改革)
- 共通枠組みプロセスの諸段階とタイムラインをより一層明確化すること。
- 公的債権者が早期に債務国および民間債権者と対話することにより意思決定の加速を促進する。
- 交渉期間中は包括的かつ持続的に債務返済を停止すること。
- ストレス下にある債務国に対して救済を提供し、実際の債務再編着手のインセンティブを高める。
- 共通枠組みにおける措置の同等性を確保する方法についてさらなる明確化を図ること。
- 必要に応じてIMFの延滞債務政策を実施することを含め、債権者と債務国に安心感を与える。
- 共通枠組みを、債権者間調整の恩恵を享受しうるほかの高債務国にも拡大すること。
- 適時かつ秩序立った債務再編は債務国と債権者双方の利益に適う。
優先事例と短期アクション
- 初期の事例を成功させ、共通枠組みに対する信頼を醸成することが重要。
- チャドの再編を迅速に完了することは重要な前例となりうる。
- エチオピアでは状況が落ち着いた際に早期に債務救済を保証できるよう、債権者委員会が技術的作業を継続する必要がある。
- ザンビアでは、G20の債権国が直ちに公的債権者委員会を設置し、当局や民間債権者と債務救済に関する話し合いを開始するとともに、交渉が行われている間は債務返済を一時的に猶予すべきである。さもなければ優先度の高い支出の削減か支払い遅延の累積かという選択を迫られるおそれがある。
緊急性と国際的連携の必要性
- 債務の課題は切迫しており、迅速かつ断固たる多国間行動が必要である。
- オミクロン株の出現は、パンデミックが当面続く可能性を示しており、ワクチン格差への対応と同時に、適時かつ秩序立った債務再編の支援が求められる。
- IMFは、共通枠組みが本来支援対象とする人々のために使命を果たせるよう、世界銀行やすべてのパートナーと協力する用意がある。
クリスタリナ・ゲオルギエバ、セイラ・パザルバシオグル