低い実質金利が資産価格を支えているが、リスクが高まりつつある
IMF Blog, January 28, 2022
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- 低い実質金利が資産価格を支えているが、リスクが高まりつつある
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- Authors: Tobias Adrian, Nassira Abbas
- Published: January 28, 2022
世界の物価・金利環境とその影響
- 旺盛な財需要や賃金と一次産品価格の上昇、供給の混乱が重なり、物価上昇率は多くの国で中央銀行の目標を上回っている。
- 多くの国で金融政策の引き締めが進み、名目金利は急上昇している。長期債の利回りはパンデミック前の水準を回復しつつある地域もある。
- 投資家は実質金利(物価上昇率を加味した金利)を重視する傾向があり、実質金利が低いと投資家はより大きなリスクをとる傾向がある。
- 長期の実質金利は最近上昇局面にあるものの、多くの地域で大幅なマイナスのまま推移しており、高リスク資産の価格上昇を支えている。
見通しの相違とその重要性
- 先進国と一部新興市場国で短期の市場金利は上昇しているが、政策当局者の想定する主要金利と投資家が想定する引き締めの最終地点の間には依然として大きな差がある。
- 米国では、FRBの幹部らは主要金利が2.5%に達すると予測しているが、これは10年債の利回りが示唆する水準を0.5ポイント以上上回っている。
- 市場と政策当局者の見通しの隔たりは、投資家がFRBの引き締めに関する予想をより大幅かつ早急に上方調整する可能性を示唆しており、注目に値する。
- 中央銀行がインフレの持続を理由に現在想定している以上に引き締めを行う可能性があり、FRBでは主要金利が2.5%を超える可能性がある。
実質金利の低さが資産価格にもたらす影響
- 名目金利が上昇している一方で、高インフレの結果として実質金利は歴史的に低い水準にあり、この状況が続く見込みである。
- 米国では長期の実質金利はゼロ近傍を推移し、短期では大きくマイナスである。ドイツや英国では、すべての年限で実質金利が大幅なマイナスのまま推移している。
- 実質金利が低いことは、予想される将来の収益の伸びとキャッシュフローを割り引く割引率を低下させ、株式市場における株価収益率(PER)の歴史的な高さに寄与している。
- 金融政策の引き締めは実質金利の上昇を通じて割引率を引上げ、株価下落につながるはずである。
最近の市場動向とボラティリティ
- 最近の金融環境はタイト化しているが、資産価格は依然として割高で推移している。
- 信用市場のスプレッドは最近若干拡大しているものの、依然としてパンデミック前の水準を下回っている。
- 2022年の米国株は高インフレや成長の不確実性、収益見通しの弱さを受けて大幅に反落して開始した。
- 今年はすでに、10年債の実質利回りが0.5%ポイント近く上昇している。
- 投資家の緊張は株価のボラティリティを急激に高め、S&P500指数は年初来9%を超える値下がり、ナスダック総合指数は14%急落した。
経済成長へのリスク
- IMFの「グロース・アット・リスク」推計値は、実質金利が急上昇し金融環境がより広範囲でタイト化する場合、将来の経済成長の下振れリスクが大幅に高まる可能性を示す。
- 緩和的な環境はパンデミックを乗り切る上で助けとなったが、金融政策の引き締めにより景気拡大が鈍化するリスクがある。
- 新興市場国への資本フローはリスクにさらされる可能性があり、国際金融環境がタイト化すればファンダメンタルズが弱い国を中心に資本流出を引き起こすかもしれない。
- 実質金利が速くかつ急激に上昇すれば、破壊的な価格再評価と一層大幅な株安につながる可能性がある。
政策上の含意と提言
- 中央銀行はインフレ抑制のための引き締めが必要な一方で、意図しない金融市場のボラティリティや金融安定性の悪化を回避する難しいバランスを取らねばならない。
- 金融当局は不必要なボラティリティを回避し、金融の安定を守るため、政策の将来的なスタンスについて明確なガイダンスを示すべきである。
出典: 低い実質金利が資産価格を支えているが、リスクが高まりつつある (IMF ブログ)