IMFが資本フローに関する見解を更新する理由
IMF Blog, March 30, 2022
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- IMFが資本フローに関する見解を更新する理由
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- Authors: Tobias Adrian, Gita Gopinath, Pierre-Olivier Gourinchas, Ceyla Pazarbasioglu, Rhoda Weeks-Brown
- Published: March 30, 2022
資本フローの意義とリスク
- 資本フローは各国の成長とリスク共有を助けうる一方で、多くの対外債務を抱える国は資本流出時に金融危機や深刻な景気後退に脆弱になり得る。
- 対外債務が最もリスクを伴うのは「通貨のミスマッチ」が存在する場合、すなわち対外債務が外貨建てであり、外貨建て資産や為替ヘッジで相殺されていない場合である。
- 新型コロナウイルスのパンデミック初期の大規模な資本流出や、ウクライナでの戦争を受けた一部新興市場国での資本フローの混乱は、資本移動の変動性と経済への影響の大きさを再確認させた。
- パンデミック以降の財政出動により、外貨建て対外債務が外貨建て資産や為替ヘッジで相殺されない水準まで積み上がったケースがあり、新興市場国の債券への買い意欲が急速に低下した場合に新たな脆弱性や深刻な財政難を招く恐れがある。
「機関としての見解」の沿革と基本原則
- IMFは2012年に最初の「機関としての見解」を採択。多くの新興市場国が大規模で変動の大きな資本フローに直面していた状況を踏まえた。
- 当時の見解は、資本流入が受入国に大きな利益をもたらす一方で、マクロ経済上の課題と金融安定性リスクをもたらす可能性があるという基本原則を確認している。
- 資本供給国の役割や国際協調の重要性が指摘されている。
- 初期の見解では、CFM(資本フロー管理政策)およびCFM/MPM(マクロプルーデンス政策との共通部分の政策)を限定的な形で政策ツールキットに組み込み、必要なマクロ経済上の調整の代替にはならないことを強調していた。
主な改訂点(先制的CFM/MPMの導入)
- 本日公表の見直しでは、資本流入の急増が見られない場合でも先制的に適用可能なCFM/MPMを政策ツールキットに追加した。
- この変更は、IMFが構築している研究「統合的な政策枠組み(IPF)」に基づくものである。
- IPFや外的危機に関する研究は、資本流入の急増がなくても外貨建て対外債務が徐々に蓄積されることにより金融安定性リスクが生じ得ることを示している。限られた例外的状況では自国通貨建て対外債務からもリスクが生じる可能性がある。
- 銀行システム以外の国際的な金融仲介の性質の変化により、非金融企業やシャドーバンクの外貨建て借入から生じるリスクはMPMだけでは十分に抑制できない場合がある。
政策上の含意と留意点
- 資本流入を制限する先制的なCFM/MPMによって、対外債務に伴うリスクを軽減することが可能である。
- ただし、CFM/MPMは次のように使われるべきではない:
- 必要なマクロ経済政策や構造政策の代替として用いること。
- 通貨を過度に低い水準に保つために用いること。
- 過度の歪みをもたらす形で活用すること。
- 見直しは従来の基本原則を維持しつつ、とりわけ新興市場国・発展途上国の政策当局者向けに政策ツールキットを拡充している。
その他の改訂点と実務ガイダンス
- 一部の種類のCFMについては特別な取り扱いを導入。これらは「機関としての見解」に示された通常の政策助言に従うのではなく、別個の国際枠組みに準拠するか、経済以外の特定の考慮事項に照らして導入される。
- 特別扱いの例には次が含まれる:
- バーゼル枠組みに沿って課されるいくつかのマクロプルーデンス政策
- 租税回避・脱税防止に関する国際協力基準に基づく租税措置
- 資金洗浄・テロ資金供与対策の国際基準に沿った措置
- 国内および国際的な安全保障上の理由から導入される措置
- 今回の見直しは、IPFを用いてショックの性質や市場の不完全性を必要なマクロ経済調整と結びつける方法を説明している。
- また、資本流入の急増を確認する方法や、資本フローの自由化が時期尚早かどうかを評価する方法、サーベイランスで強調すべきCFMの判断など、CFMに関する実務的ガイダンスを提供している。
今後の方針と適用
- IMFは「機関としての見解」を継続的に学習・適応させ、研究の進展と世界経済の動向、加盟国の経験を踏まえて更新していく方針。
- 更新の狙いは、各国が拡充されたツールキットを活用して、マクロ経済と金融の安定を維持しつつ資本フローから得られるメリットを享受できるようにすることである。
出典: IMF ブログ「IMFが資本フローに関する見解を更新する理由」