一次産品と新型コロナ、金利上昇を要因に減速するアジアの成長
IMF Blog, April 25, 2022
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- 一次産品と新型コロナ、金利上昇を要因に減速するアジアの成長
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- Authors: Anne-Marie Gulde-Wolf, Shanaka J Peiris
- Published: April 25, 2022
成長の概況と主要な下押し要因
- アジア太平洋地域は「ウクライナにおける戦争とパンデミックの再燃、そして国際金融環境のタイト化」という逆風を受ける。
- IMFの最新の予測では、同地域の今年のGDP成長率は1月時点の予測を0.5%ポイント下回る4.9%となり、昨年の6.5%から減速する見込み。
- 多くの国で、元々の水準が相対的に低いもののインフレ率の上昇が加速すると見られている。
- 成長鈍化と物価上昇が同居することで、回復の下支えとインフレおよび債務の抑制の間の政策トレードオフがより困難になる。
地域別・チャネル別の影響
- 欧州需要の低下はアジアの先進国(例:日本、韓国)にとって外需の重石となる。WEOでは2022年の世界経済成長率予測が0.8%ポイント引き下げられ3.6%とされ、ユーロ圏の成長率予測は1.1%ポイント減の2.8%に。
- アジアの多くの新興市場国・発展途上国は石油やガス、金属の純輸入国であり、世界的な一次産品価格の上昇に脆弱。交易条件の悪化を通じて、成長低下、通貨安、経常収支悪化が予想される。
- 食料・燃料コスト高騰は、これらが消費者支出の大部分を占める低所得国でインフレ圧力を高める。
- 中国は例外的にロックダウン(例:上海)が経済活動を広範に停止させており、これが中国の今年の成長率を4.4%に減速させると予測される。中国の減速は貿易と需要の収縮を通じてアジアの新興市場国へ波及する可能性。
金融・市場チャネル:引き締めとリスク
- 米連邦準備制度による利上げ開始に伴い、主要アジア諸国の国債利回りが上昇し始めている。
- 予測は、国外における引き締めの継続と国内インフレの進行により、多くのアジア中央銀行が利上げを行い、投資を抑制することを前提としている。
- 経済見通しに対する主要リスク:
- ウクライナ戦争のエスカレーションによる食料・エネルギー価格のさらなる上昇と社会不安の拡大。
- 米国の金融政策引き締めのペースまたは規模が市場の期待を大きく上回る場合の資本流出や市場混乱。資本流出リスクは、強力なバッファーがある国では軽減されるが、高水準の債務や他の脆弱性がある国では増幅。
- 中国経済の深刻化(広範なロックダウンや不動産部門の低迷など)による域内貿易への影響。
- 長期的リスクとして、サプライチェーンの潜在的分断と地政学的緊張の高まり。
求められる強力な対応(政策提言)
- 燃料・食料コストの上昇から最も脆弱な層を保護するため、的を絞った時限的な支援を実施する。
- 例として、フィリピンにおける現金給付プログラムやニュージーランドにおける公共交通運賃の引き下げが挙げられる。
- 債務の持続可能性を確保するために中期的な財政政策枠組みを定着させる。
- 多くの国でGDPギャップは依然として大きく、財政刺激策の引き揚げは回復支援のために慎重に調整する必要がある。
- 中国や日本など対応余地がある国は今年の回復を支えるための財政措置を講じたが、過剰債務に脆弱な国では早期の健全化が必要であり、一部は共通枠組みの下で債務措置の対象となりうる。
- インフレ率が加速している国(例:シンガポール)やインフレ率が中央銀行目標を上回っている国(例:韓国)では金融政策の引き締めを実施する。
- 家計債務水準が高い状況を踏まえ、一部国では住宅価格上昇への対応を含むマクロプルーデンス政策で金融安定性リスクを抑制する必要がある。
- 長期的成長を促進するために経済改革を実行する。
- 特にアジアの新興市場国では生産性向上のために非関税障壁、製品・労働市場などの全面的見直しが必要。
- 南アジアと低所得途上国で大きかった休校措置の長期的影響に対処するための教育改革が不可欠。
著者と役割(概要)
- アンマリー・グルデウルフ:IMFアジア太平洋局副局長。南アジア諸国および一部東アジア諸国に関する業務を統括。
- サンジャヤ・パンス:IMF戦略政策審査局副局長。サーベイランス政策の設計と実行を主導。
- シャナカ・J・ピーリス:アジア太平洋局地域研究課課長。地域経済見通しの出版を主導。
出典: IMFブログ記事「一次産品と新型コロナ、金利上昇を要因に減速するアジアの成長」 (2022年4月25日) — 著:アンマリー・グルデウルフ、サンジャヤ・パンス、シャナカ・J・ピーリス