緩和的な金融環境、中央銀行に難問
IMF Blog, February 2, 2023
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- 緩和的な金融環境、中央銀行に難問
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- Authors: Tobias Adrian, Christopher Erceg, Fabio Natalucci
- Published: February 2, 2023
要旨
- 金融政策が急速に引き締められたにもかかわらず、世界の多くの地域で金融環境が緩和しており、中央銀行に課題を突きつけている。
- 中央銀行はインフレ率が持続的に目標水準に戻るために、十分な期間、政策が適切に引き締められた状態を維持する必要がある。
背景と積極的な引き締め
- パンデミック後の回復期にインフレ率が急上昇したことは予想外の展開であった。
- インフレを牽引した主因:
- 供給の混乱
- ロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格の高騰
- 住宅と耐久財への支出を煽った大規模な金融・財政刺激策
- インフレ率は世界経済の5分の4を超える国・地域で6%を超えた。
- 新興市場の中央銀行は2021年から急速に金融政策を引き締め、その後先進国の中央銀行も引き締めを開始。
- 昨年秋にかけて世界的に金融環境がタイト化した結果、今年の世界経済成長は鈍化する見込み。
投資家の楽観論と緩和期待
- エネルギー価格の後退によりインフレがピークに達した可能性の兆しが見られ、金融市場が活性化している。
- 一部の国では、自動車や家具などコアインフレ指標に含まれる商品の価格が下落。
- 市場ベースの1年先のインフレ指標:
- 米国とユーロ圏では、昨年春の6%から中央銀行の目標である2%に近い水準に戻った。
- 他のいくつかの先進国の指標も同様の動き。
- 新興国でも、先進国よりペースは遅いものの市場ベースの1年先のインフレ指標が落ち着いた。
- ディスインフレ期待により、中央銀行が比較的速く利下げするとの見方が高まり、長期国債の利回りが短期国債を下回る国が多い(利回り曲線の逆転)。
- 市場の動きの結果:
- 株式相場が反発
- クレジットスプレッドが大幅に縮小
中央銀行にとっての課題
- 金融市場が示す見解を受け入れ金融環境の緩和を事実上認める選択肢。
- これにより、過度な景気後退の回避を支持する市場参加者の期待に沿う可能性がある。
- あるいは、投資家の楽観論に反し、インフレ圧力が予想より持続するリスクを強調するリスク管理アプローチを取る選択肢。
- この場合、インフレが持続的に落ち着く具体的な証拠が得られるまで、より長い間金利を引き上げておく必要がある。
- その結果として、政策金利見通しや金融市場のリスク資産の価格調整を誘発し、株価の下落や信用スプレッドの拡大を招く可能性がある。
リスクとその根拠(リスク管理アプローチが必要な3つの理由)
- 歴史は、高インフレ率を下げるための強力で断固たる金融政策措置がなければ、高インフレが長引き、場合によっては一段と上昇する可能性があることを示している。
- モノのインフレ率は低下しているが、労働市場の大幅な冷え込みがなければ、サービス業で同じ動きが見られる可能性は低い。
- 中央銀行は、モノの価格の急激な下落を誤判断して政策を緩めることを避けることが重要。
- 過去の経験に基づくと、急激な物価上昇が長引くと、インフレ心理が家計や企業に定着し、インフレ期待が上放れしやすくなる。
政策上の示唆(政策当局者への勧告)
- 中央銀行は、賃金やサービス価格を含むインフレ率が目標に持続的に戻ったという証拠が得られるまで、金利をより長く維持する必要性を伝えるべきである。
- 政策当局者は、失業率が上昇し、インフレ率の上昇ペースが鈍化し続ける中で政策を緩和する圧力に直面するが、断固たる姿勢を保つことが重要である。
- 特に新興市場国にとっては、これらの課題が深刻である。
- 多くの特殊要因がインフレに影響している時期であり、想定より早くインフレ率が落ち着く可能性がある一方、時期尚早に緩和すればインフレが再度急上昇するリスクがあるため、政策当局者は滞りなくインフレ率を目標に戻すことに集中するべきである。
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