世界の銀行を見直すことで浮かび上がる「より高くより長く」の金利に伴うリスク
IMF Blog, October 16, 2023
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- 世界の銀行を見直すことで浮かび上がる「より高くより長く」の金利に伴うリスク
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- Authors: Charles Cohen, Srobona Mitra, Fabio Natalucci
- Published: October 16, 2023
概要と背景
- 中央銀行は、多くの国で高止まりしているインフレ率の抑制のために金利をより高い水準でより長期にわたって維持する可能性があり、その過程で経済を減速させることになるかもしれない。
- 金利上昇は、銀行にとって複数の経路でリスクとなる。貸出利息の増加が預金金利にすぐ反映されない場合に収益性が改善する銀行もある一方で、借入コスト上昇による貸倒れ増加、保有債券・債務証券価値の下落、急激な預金引き出しや資金調達圧力の下での損失実現などの脆弱性が顕在化する。
新しい分析ツールとモニタリング
- IMFは、金利上昇に伴うリスクに焦点を当て、資金調達圧力を織り込んだストレステストツールを強化した。
- 新しいサーベイランスツールは、アナリスト予測と伝統的な銀行指標を組み合わせ、公開データによるモニタリングを行う。これらは、監督データを用いたより詳細なストレステストを補完することを目的とする。
- サーベイランスで考慮する5つのリスク指標:自己資本充実度、資産内容、収益性、流動性、市場価値。
- これらのうち3つまたは4つの指標に異常が認められる銀行にはさらなる検討を要する警告が発せられる。
グローバル・ストレステストの主な所見
- 対象:29か国の約900の金融機関を対象とした新しいグローバル・ストレステストを実施。
- ベースラインシナリオ(IMF「世界経済見通し(WEO)」に基づく)では、資本水準が低い30の銀行グループが特定された。
- これらの銀行は、全体で世界の銀行資産の約3%を占めている。
- 深刻なスタグフレーション(高インフレと世界経済の2%収縮)シナリオでは:
- 脆弱な金融機関の数は153に増える。
- 世界の銀行資産に占める割合は3分の1を上回る。
- 地域別の注記:
- 中国を除くと、脆弱な銀行は先進国の方が新興市場国よりもずっと多い。
市場アクセスと流動性の重要性
- 追加分析では、銀行がFRBの連銀貸出のような中央銀行の貸出ファシリティへのアクセスを有している場合、預金取り付けシナリオ下での有価証券売却に伴う損失が軽減されることが示された。
- 銀行が中央銀行貸出ファシリティにアクセスする態勢を整えているかどうかは、強靭性にとって重要であり、監督当局はより脆弱な金融機関が緊急支援を容易に利用できるか評価すべきである。銀行は定期的にそうしたアクセスのテストを実施するべきである。
サーベイランスによる観測
- 市場データとアナリスト予測に基づく指標は次を示す:
- 米国ではリスクにさらされている小規模な銀行がたくさん存在する。
- 流動性と収益性の圧力が持続する中で、中国を含むアジアと欧州の一部の金融機関について懸念がある。
- 本ツールのバックテストでは、潜在的に脆弱な金融機関がパンデミック発生当初に急増し、2022年末にも金利上昇が効き始めたのに伴って持続的に増加したことが確認された。
- 後者のグループには、3月に破綻するか買収された4行の銀行が含まれていた。
政策的含意と勧告
- 監督当局によるストレステストの強化:
- 市場ベースの分析を取り入れること。
- より小規模な金融機関をテスト対象に含めること。
- より一層深刻だがなお蓋然性がある悪化シナリオに照らして銀行をテストすること。
- 監督当局の準備態勢:
- 監督当局は先を見越す必要があり、特定された脆弱性に対処する用意と意思を有していなければならない。
- IMFの「金融セクター評価プログラム」では、半数以上の国で十分なリソースを備えた独立の銀行監督当局が存在しないことが示されている。
- 国際基準の引き上げ:
- 銀行の流動性リスクと金利リスクを押さえ込むために、国際基準を引き上げる必要がある。
- 少なくとも5分の1の国で、こうしたリスクを監視し、それに対処するための監督・規制慣行が脆弱である。
- タイミングの重要性:
- 銀行部門のストレスが緩和した今こそ、金融機関と金融規制・監督当局はレジリエンスを高める好機である。
- 金利が現在市場が織り込んでいるよりも長期にわたってより高い水準で推移する可能性に備えるべきである。
出典:2023年10月「国際金融安定性報告書(GFSR)」第2章に基づくブログ記事(執筆:チャールズ・コーエン, スロボナ・ミトラ, ファビオ・マッシモ・ナタルッチ、公開日 2023年10月16日)