G20はいかに、最近の世界経済の強靭性を活用することができるか
IMF Blog, February 26, 2024
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- Authors: Kristalina Georgieva
- Published: February 26, 2024
要旨・機会
- G20は、度重なるショックに対する緊急対応から、中期的に「強固かつ持続可能で均衡のとれた包摂的な成長」を支える政策課題へと焦点を移す重要な機会を得ている。
- 最近の世界的短期見通しの改善は、政策当局者に政策の気運の再醸成と、より公正で豊かで持続可能かつ協力的な未来に向けた行動の機会を提供する。
世界経済の現状と中期見通し
- 世界的な短期見通し:今年の世界的な成長は「3.1パーセント」に達する見込み。
- 中期的背景:中期的成長見通しは過去数十年間で最低水準に落ち込んでおり、生産性の向上と成長見通しの改善が不可欠。
- 地政学的・気候リスク:貿易・資本フローの変化、地経学的分断、気候リスク(農業生産性、輸送の信頼性、保険の利用可能性・コストへの影響)が特にサブサハラアフリカなどの地域で潜在成長を抑制する恐れ。
インフレに関する任務(中央銀行の役割)
- 主要メッセージ:
- 中央銀行は「インフレ率を目標値に戻すという任務」を完了することに専念すべきであり、これは貧困家庭や低所得国に特に重要である。
- コアインフレ率が多くの国で高止まりしており、インフレ上振れリスクは依然として存在するため、時期尚早な緩和や速すぎるペースでの緩和は避けるべきである。
- 一方で、インフレが明らかに目標値に近づいている国では、金利が長期にわたり不必要に高止まりしないようにすべきである。
- 事例:ブラジルの中央銀行は、パンデミック中のインフレ上昇に対し早期に断固たる対応を行い、その後インフレが目標範囲に戻ったのを受けて政策を緩和した。
債務と財政赤字への対処(優先事項と手順)
- 主要メッセージ:
- インフレ鎮静化により、公的債務増加の抑制、将来ショックに備えるためのバッファー再構築、新たな優先支出の余地確保に改めて焦点を当てる時期になった。
- 引き締めは「慎重に調整されたペース」で行う必要があり、適切な中期財政計画に基づいて実施されるべきである。
- 債務・財政赤字削減にあたっては、優先的投資を保護し、貧しく脆弱な世帯への影響を最小限にする措置を含める必要がある。
- 歳入・税制改革:
- 各国は歳入の増加と非効率性の排除で大きな進歩を達成し続けることが不可欠。
- ブラジルは歴史的な付加価値税改革を通じてリーダーシップを示しているが、多くの国で課税ベースの拡大、抜け道の封鎖、税務行政の改善余地が残る。
- G20はIMFに対し、各国の国内資金動員の促進をサポートする世界銀行との共同イニシアチブの開始を要請した。
- 包摂的で透明性の高い税制度を目指し、国際課税の枠組みにおいて発展途上国の利益が考慮されるようにすべきである。
- 債務再編手続きの改善:
- 我々は「グローバルソブリン債務ラウンドテーブル」を通じて、債務再編を迅速にし、その予測可能性を向上させるための手順提案に取り組んでいる。
- G20共通枠組みの下で債務処理合意にかかる時間は短縮の進展があったが、世界的債務再編構造のさらなる迅速な改善が求められる。
経済のパイを拡大する(成長と生産性の押し上げ)
- 主要メッセージ:
- 金融・財政の基盤強化と並行して、中期的成長の推進力を緊急に強化する必要がある。
- 多くの国で、ガバナンス、ビジネス規制、対外セクター政策などの改革によって生産性向上の余地が残っている。
- 各国は今後数十年間を決定づける構造的な力を発揮する準備をする必要がある。
- AIと生産性:
- IMFのG20向け報告書は、AIを含むいくつかの動向が生産性を押し上げ、成長見通しを改善する可能性を示している。
- 世界的な成長見通しが低迷する中で、生産性の向上は不可欠。
- 気候経済とカーボンプライシング:
- 新しい気候経済は、雇用・革新・投資をもたらす一方で、化石燃料依存の高い国には困難をもたらす可能性がある。
- カーボンプライシングは低炭素投資・消費への移行を促すインセンティブを生み出しうる。
- IMFの研究は、気候対応策を講じる国がグリーン・イノベーションを促進し、低炭素テクノロジーおよび投資の流入を呼び込む傾向を示している。
- 汚染度が高い国際輸送手段に課税することで歳入増が期待でき、その収入を気候変動や飢餓との闘い、脆弱な人々への支援に用いる案が示唆される。
- 脆弱国への支援:
- 多くの脆弱国にとって、より堅調な成長だけでは潜在力を実現するに十分でなく、資金面と技術面の外部支援が必要である。
- これは、世界経済の変化するダイナミクスに対応できる国際的アーキテクチャーの重要性を浮き彫りにする。
より強固な国際制度(IMFの役割と国際協力)
- 地政学的分断の課題:
- 最近の軍事衝突は二極化の進行を露呈させ、世界経済は地政学的境界線に沿って分断されつつある。
- 2023年には「約3000件の貿易制限措置」が課された(これは2019年の「ほぼ3倍」)。
- 世界経済のブロック化から得をする国はないため、国際協力への信頼回復が極めて重要である。
- IMFの貢献と強化の必要性:
- IMFは設立以来進化を続け、パンデミック以降「57の低所得国を含む97か国に3,540億ドルの資金」を投じてきた。
- 加盟国は貧困削減・成長トラストの資金調達目標達成への決意を示し、恒久的なクォータ資金を「50%増額」することに合意した。
- G20諸国は迅速にクォータ増額を批准することで先頭を切ることができ、IMFの融資能力維持と借入資金への依存軽減に寄与する。
- 加盟国は、最も貧しい加盟国の声を守りつつ、各加盟国の世界経済における相対的地位をより良く反映させるため、クォータ配分の再調整の重要性を認識している。
- 再調整に向けて「新しいクォータ計算式」を含めアプローチの可能性が検討されている。
- 今年の年次総会で選出される理事会における「サブサハラアフリカの3つ目の議席」は、G20の常任メンバーというアフリカ連合の新しい立場を補完する重要なステップとなる。
政策勧告(要点)
- インフレ管理:
- 中央銀行は基調インフレの動向を注視し、時期尚早な緩和や速すぎる緩和を避ける。
- インフレが目標に近い国は、金利が過度に長期化しないようにする。
- 財政・債務政策:
- 公的債務の増加を抑え、将来ショックに対するバッファーを再構築する。
- 債務削減は信頼できる中期財政計画に基づき、優先投資を保護し弱者への影響を最小限にする。
- 歳入拡大と税制の非効率排除を継続し、課税ベース拡大・抜け道封鎖・税務行政改善を推進する。
- 債務再編の迅速化・予測可能性向上のための手順改善を進める。
- 成長と構造改革:
- ガバナンス、ビジネス規制、対外セクター政策などで生産性を押し上げる改革を推進する。
- AIやグリーン投資の潜在力を最大化する一方で、地政学的分断や不平等拡大を避ける措置を講じる。
- カーボンプライシング等で低炭素移行を促し、得られる歳入を気候変動対策や飢餓対策、脆弱層支援に充当する。
- 国際協力と制度強化:
- IMFを中心とした世界的な金融セーフティネットを強化し、加盟国はクォータ増額の迅速な批准をリードする。
- クォータ配分の再調整や理事会構成の改善などを通じて、国際金融制度が変化する世界経済を反映するようにする。
出典: G20はいかに、最近の世界経済の強靭性を活用することができるか(IMF)