金利高の影響が国によって異なるのは住宅市場の違いが一因
IMF Blog, April 9, 2024
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- Authors: Mehdi Benatiya Andaloussi, Nina Biljanovska, Alessia De Stefani, Rui-Mano
- Published: April 9, 2024
概要
- 中央銀行はパンデミック後のインフレと闘うために、この2年間に大幅な利上げを行ってきた。
- 世界経済の成長は概して安定を保っており、景気減速が現実化したのは一部の国に限られている。
- 金利高の影響が国ごとに異なる一因は、住宅ローンおよび住宅市場の特徴の違いにある。
主要発見
- 固定金利住宅ローンの割合が低い国ほど、金融政策の景気への影響が大きくなる。
- 固定金利ローンの割合は国によって大きく異なり、南アフリカのほぼゼロからメキシコや米国の95%超まで差がある。
- 住宅価格に比して住宅ローン額がより大きい国や、家計債務の対GDP比が大きい国では、金融政策の影響が大きくなる。
- 住宅供給の制約が強いほど、金利変化が住宅価格と消費へ与える波及効果は大きい。
- 住宅価格の過大評価(急騰)は過度なレバレッジを伴うことが多く、引き締め局面で住宅価格下落と差し押さえのスパイラルにつながる恐れがある。
住宅ローン・住宅市場の具体的なメカニズム
- 政策金利上昇 → 住宅ローン金利の調整 → 毎月の返済額上昇 → 家計消費の押し下げ。
- 固定金利住宅ローンを抱える世帯は、金利変化があっても即時に毎月の返済額が変わらないため、影響が遅れる。
- 住宅を担保にした追加借入が起きやすい環境では、住宅価格上昇が消費拡大を通じて景気を押し上げる。
最近の変化と波及効果の弱まり(または後ずれ)
- 世界金融危機とパンデミック以降、住宅ローンの利払い負担は歴史的に低く、平均返済期間は長く、固定金利ローンの平均割合は多くの国で高かった。
- パンデミックにより、人口が都市中心部から供給制約が比較的小さいエリアへ移動した。
- その結果、いくつかの国では住宅を通じた金融政策の波及効果が弱まるか後ずれしている可能性がある。
- 各国差の例:
- 波及効果が強まっている例:カナダ、日本(固定金利割合の低下、債務残高の増加、住宅供給制約の強化)。
- 波及効果が弱まっている例:ハンガリー、アイルランド、ポルトガル、米国(上記特徴が逆の動き)。
政策の含意
- 金融政策の調整では、住宅を通じた波及効果に関する各国ごとの深い理解が重要である。
- 住宅を通じた波及効果が大きい国では、住宅市場の動向と家計の債務返済負担の変動を監視することが、過度な引き締めの初期兆候を特定する助けになる。
- 波及効果が弱い国では、景気過熱やインフレ圧力の兆候が最初に現れた時点で、より強力な早期対応を講じることができる。
- 大半の中央銀行はインフレ目標に向けて大きく前進しているが、波及効果の強さに応じて:
- 波及効果が弱ければ行き過ぎた引き締めでの「失敗」が比較的コストが小さい場合がある。
- それでも、過度な引き締めや金利をより高い水準でより長期に維持することは現在より大きなリスクとなり得る。
- 固定金利住宅ローンが一般的でも、固定期間が短い場合は将来的に金利更改によって波及効果が突然高まるリスクがある。家計の債務が大きい国では特に注意が必要。
- 金利が長期間高い水準で維持されれば維持されるほど、これまで相対的に影響を免れてきた世帯も含めて家計の困難が深刻化する可能性が高まる。
本ブログ記事は、2024年4月「世界経済見通し(WEO)」の第2章「金利高の敗者 住宅市場を通して金融政策の効果を追跡する」に基づいている。