世界経済は、各地で成長がまちまちで、この先には数々の課題が待ち受けるものの、強靭性を保っている
IMF Blog, April 16, 2024
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- 世界経済は、各地で成長がまちまちで、この先には数々の課題が待ち受けるものの、強靭性を保っている
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- Authors: Pierre-Olivier Gourinchas
- Published: April 16, 2024
現状と主要なマクロ経済指標
- 世界経済は「非常にレジリエント」であり、成長率が安定、インフレ率は上昇したペースとほぼ同じ速さで低下している。
- 世界経済成長率は2022年末に2.3%で底を打った。
- 総合インフレ率の中央値は9.4%でピークをつけた。
- 最新の「世界経済見通し」による見通し:
- 世界経済の成長率は今年と来年に約3.2%で安定する。
- 総合インフレ率の中央値は2024年末の2.8%から2025年末には2.4%へ鈍化する。
- 大半の指標は引き続きソフトランディングを示唆している。
- 過去4年間の危機による経済の後遺症は当初予測より小さいと評価されるが、国によってまちまちである。
残るリスク(インフレ・供給面・地政学)
- インフレは依然リスクであり、目標への回帰が引き続き優先事項である。
- インフレ率を目標まで引き下げる進展は年初めからいくぶん停滞している。
- インフレ改善の主因はエネルギー価格の下落と財のインフレ率の低下(サプライチェーンの制約解消と中国の輸出価格下落)。
- リスク要因:
- 地政学的緊張の持続。
- サービスのインフレ率が執拗に高止まりしていること。
- 原油価格の最近の上昇。
- 中国の輸出に対するさらなる貿易制限が財のインフレを押し上げる可能性。
地域別の相違と構造的課題
- 米国:
- 好調な伸びは堅調な生産性と雇用の伸び、旺盛な需要を反映。
- FRBは慎重かつ段階的な緩和アプローチを取るべき。
- 長期的な財政持続性にそぐわない財政スタンスは短期的・長期的リスク(ディスインフレプロセスへのリスク、財政・金融安定性の悪化)。
- ユーロ圏:
- 過去のショックと金融引き締めで非常に低い水準からの持ち直し。
- 賃金の大幅な上昇とサービスの高止まりが続くとインフレ目標回復を遅らせる可能性。
- 景気過熱の兆候はほとんどなく、ECBは金融緩和への旋回を慎重に調整すべき。
- 労働市場の底堅さが幻想に終わるリスクあり(企業が労働力を保蔵している場合)。
- 中国:
- 不動産セクターの不況が依然打撃。
- 与信のブームと崩壊は素早く解消されない。
- 内需は根本対策がなければ低迷が続く可能性が高い。
- 国内需要低迷下で対外黒字が拡大する可能性。
- 地政学的緊張下での貿易上の緊張激化がリスク。
- 新興市場・発展途上国:
- 多くは経済が力強く、グローバル・サプライ・チェーンの再編や米中間の貿易緊張の高まりが追い風となる場合がある。
- 低所得発展途上国ではパンデミックや生活費危機からの回復が遅れ、後遺症が大きいと見られる。
政策の優先事項(行動指針)
- 第1の優先事項:財政バッファーの再構築
- 実質金利は高止まりし、公的債務比率を低下させる力学に陰り。
- 信頼に足る財政再建は資金調達コストを引き下げ、財政の調整余地と金融の安定性を高める。
- 現行の財政計画は不十分であり、今年の記録的な数の選挙を踏まえると信頼性ある財政再建から遠ざかる恐れがある。
- 財政再建は徐々に、確実に開始すべき。インフレ抑制後は複数年にわたる信頼に足る財政再建がさらなる金融緩和への道を開く可能性がある。
- 参照例:1993年に米国で実施された財政再建と金融緩和のエピソード。
- 第2の優先事項:中期的な成長見通しの低下を逆転
- 成長鈍化は資本・労働の配分ミスの増加も一因。
- 迅速で効率的な資源配分の促進が成長を押し上げる。
- 低所得国向け:国内・対外直接投資を促進する構造改革、国内資金動員の強化が借り入れコスト引下げや資金調達必要性の軽減につながる。
- 若年人口の人的資本改善が不可欠。
- 人工知能(AI)は生産性向上の期待を高める一方、労働・金融市場で深刻な混乱を招く可能性もある。AIの潜在力を活かすために、デジタルインフラ改善、人的資本投資、グローバルな規則策定での協調が必要。
- 地経学的分断の悪化や貿易・産業政策の急増は成長見通しを損なう。貿易の結びつきが変化し効率性を失う可能性があり、世界協調への打撃を逆転させる必要がある。
- 第3の優先事項:金融・財政・金融市場政策の枠組み維持
- 過去数年で特に新興市場国において枠組みが強化され、世界の金融システムの強靭性が向上した。
- これらの改善点を維持することが不可欠であり、中央銀行の独立性を守ることが重要。
- グリーン移行への対応
- グリーンへの移行には大規模な投資が必要。排出量削減と経済成長は両立可能。
- 経済活動はここ数十年で排出集約的でなくなってきたが、排出量は依然増加しているため、より多くの取り組みが至急必要。
- 先進国と中国ではグリーン投資が健全なペースで拡大。今、他の新興市場国・発展途上国がグリーン投資を大幅に増やし化石燃料投資を減らす必要がある。
- 必要条件:先進国と中国の技術移転、および民間部門・公共部門による大規模な資金調達。
- 多国間協力の重要性
- これらの課題の進展には、多国間の枠組みと協力が不可欠。
出典: https://www.imf.org/ja/blogs/articles/2024/04/16/global-economy-remains-resilient-despite-uneven-growth-challenges-ahead