新興市場国の通貨動向が金融の安定性に及ぼす影響
IMF Blog, July 22, 2024
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- 新興市場国の通貨動向が金融の安定性に及ぼす影響
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- Authors: Tobias Adrian, Fabio Natalucci, Jason Wu
- Published: July 22, 2024
要旨とマクロ見通し
- 世界のソフトランディングは依然として基本ケースである。新興市場国の経済成長率の見通しは殆ど変わっておらず、今年と来年の予想率が4.3%へ僅かに上方改定された。
- 大半の主要新興市場国ではインフレがさらに緩和されて目標レンジに収まり、近い将来に金融政策の緩和が可能になると予想される。
- 米国との金利差の縮小に伴い、新興市場国では通貨安が様々な程度で進んでいる。
為替変動の現状と主要統計
- 通貨は、直近数週間で部分的に回復した後でも、米ドルに対して実質ベースで年初から約4%下落した。
- 地域別の下落幅:
- ラテンアメリカ:5%下落
- アジア新興市場国:4%下落
- 中東欧とアフリカ:比較的緩やかな通貨安
- この6か月の間に、為替レートの基本的な原動力として金利差がもつ重要性が浮き彫りになった。
為替の主因(金利差と期待)
- 為替レートを左右する主要な要因は、特定の国と世界資本市場のベンチマークである米国との金利差である。
- 年初時点では、投資家はFRBが大幅な利下げを行うことで新興市場国との金利差が拡大するか維持されると予想していたが、米国経済の堅調さとインフレの持続により米国金利低下の予想は後退し、米ドル高が進行した。
- 金利差の縮小が最も顕著な国々(例:今年利下げを行ったラテンアメリカの数か国や一部のアジア新興市場国)では対米ドル為替レートの下落が最も激しかった。
通貨下落がもたらす金融安定リスク
- 秩序ある通貨下落は経済にとって建設的となり得るが、激しい急落は金融不安を引き起こし得る。
- 急激な資本流出がもたらすリスク:
- 資産価格への深刻な影響
- 資金調達ギャップの拡大
- 金融機関の外貨ミスマッチ拡大による外国為替(特に米ドル)での借り換え困難
- 投資家の信認の急落
- 現時点では、こうした危機的な状況は生じていない。
- ただし、市場が経済データ、中央銀行のコミュニケーション、政治的不確実性に敏感になっているため、外国為替のボラティリティは急激に高まる可能性がある。
政策対応と推奨措置
- IMFの統合的な政策枠組みに基づく指針:
- 圧力が増大し続けた場合は、政策ツールをフル活用することが必要となりうる。
- 為替介入は殆どのシナリオで正当化されないかもしれないが、過度なボラティリティを回避するためにはやむを得ない場合がある。
- 危機が目前に迫る場合は、資本フロー管理対策が、資金流出の圧力を緩和する広範な政策パッケージの一環として必要になるかもしれない。
- 補完的・恒久的措置の重要性:
- これらの措置は根本的なマクロ経済調整の代わりにはならず、根底の不均衡に対処する広範な計画の一部にとどめるべきである。
- マクロプルーデンス政策(資産と不動産の価格を対象とする政策など)は強力な補完措置となり得る。
- 外的圧力が金融部門に与える影響を特定するためのストレステストは、問題が顕在化する前にリスクを軽減する助けとなるかもしれない。
- リスク管理と監督の原則:
- ベースラインのみならずリスク管理にも焦点を当てることが重要である。
- 金融監督政策には、悪化シナリオに備えた警戒と計画を基幹的原則として据えるべきである。
- 実務上の留意点:
- 一部の国の政策当局者は最近の介入を例外であると明確に発信しているなど、コミュニケーションの一貫性が重要である。
- 一部の新興市場国の中央銀行は通貨ボラティリティに対処するために利上げサイクルを減速または一時停止させたり、為替介入を実施したりしている。
出典: 新興市場国の通貨動向が金融の安定性に及ぼす影響 — https://www.imf.org/ja/blogs/articles/2024/07/22/financial-stability-implications-of-emerging-market-currency-developments