経済の不確実性が世界の金融安定性を脅かし得る それはいかに
IMF Blog, October 15, 2024
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- Authors: Mario Catalan, Andrea Deghi, Mahvash S Qureshi
- Published: October 15, 2024
要旨と背景
- 不確実性は成長率やインフレ率などの従来指標ほど容易に計測できないが、代替指標が存在する。
- 代表的な指標として「経済政策不確実性指数」(主要出版物の不確実性、経済、政策に言及したニュース記事を集計)が挙げられる。その他に、公表された経済データとエコノミストの以前の予想との差を追跡する指標もある。
- パンデミック、インフレ率の急上昇、地政学的緊張、気象災害、急速な技術進展などの数年間の混乱を経ても、これらの指数は依然として高水準にある。
不確実性がもたらす主な影響
- 不確実性は金融市場の混乱リスクを悪化させる。
- 不確実性は人々や企業の消費と投資の決定を遅らせる。
- 不確実性は貸し手による信用供給の引き締めを助長する可能性がある。
- 経済の不確実性と金融市場のボラティリティは常時連動するとは限らず、「ずれ」の期間が長期にわたり続くことがある。だが一度市場のボラティリティがショックで再上昇すると甚大な影響が生じ得る。
下方リスクのシナリオと定量的影響
- 経済の不確実性を示す指数が世界金融危機の時期と同程度に上昇すると仮定した場合、経済成長率予測値の最低水準(下方テールリスクとしても知られる)が1.2%ポイント低下する。
- 例示:悪化シナリオの下で世界経済成長率の予測値が0.5%だったとすると、その数値がマイナス0.7%になる。
影響の異質性と増幅要因
- こうした経済への影響は国ごとに異なり得る。
- 公共・民間部門の債務水準が経済の規模に対して高い場合、影響は増幅する可能性がある。
- 緩和的な金融環境は初期には経済成長の予想値を上昇させ、経済の下振れリスクを低下させる(理由:金利の低下、資産価格の上昇、信用スプレッドの縮小、株式市場のボラティリティの低下)。一方で、緩和は債務の脆弱性を高め、将来的な経済成長の下振れリスクを悪化させる恐れがある。
- 経済と市場にずれがある状況では、負のショック時に金融市場のボラティリティ急騰や資産価格の大暴落が起きやすい。
- 不確実性は貿易と金融の連関を通じて国境を越えた波及効果を生じ得るため、金融危機が国境を越えて広がる恐れがある。
政策提言
- 政策当局者は、強固な制度に支えられた財政・金融政策ルールを採用するなどして、政策枠組みの信頼性を高め、確実性の向上に貢献すべきである。
- 透明性を高め、政策コミュニケーションの枠組みを優れた設計にすれば、市場の期待を上手く誘導でき、政策決定と実体経済への影響を予測しやすくなる。
- 高い不確実性が債務の脆弱性を実体経済に与える影響を悪化させるため、政策当局者は適切なマクロプルーデンス政策を積極的に活用してこうしたリスクを抑制すべきである。これはとりわけ、金融環境が緩和的であり、経済全般の不確実性の高さに連動していないと思われる場合に重要である。
- 財政政策では、高水準の公的債務が借入コストの上昇につながるとマクロ金融安定性を損なう恐れがあるため、持続可能性を優先事項に据えるべきである。
本ブログ記事は、2024年10月「国際金融安定性報告書(GFSR)」の第2章「世界経済の不確実性が高い中でのマクロ金融の安定性」に基づき執筆されている。