東南アジアの各国は、野心的な改革をまとめて実施することで最も大きな利益を得ることができる
IMF Blog, March 25, 2025
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- Authors: Anne-Charlotte Paret Onorato
- Published: March 25, 2025
要旨と主要結論
- 人間開発、ガバナンス、対外規制、企業規制などの全面的な見直しを組み合わせることにより、生産量の水準を4年間で3%押し上げることができる。
- IMFの研究は、ASEANに加盟する10か国のうち5大新興市場国であるインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムが、経済全体の包括的な改革パッケージを同時に実施することで、2年後には長期的な実質生産高を平均で1.5%から2%、4年後には最大で3%増やせる可能性があることを示唆している。
- 野心的な改革をまとめて実施することは、順を追う段階的なアプローチよりも大きな効果をもたらす。大規模な経済改革をひとつだけ実行することによる恩恵はより小さい。
分析フレームと評価要素
- 対象国の目標:ASEANの主要5か国が、6か国目のシンガポールのように、今後20年から30年以内に高所得国に加わることを支援することを目指す。
- 評価の4つの要素:
- 貿易と経済の開放度
- 経済の洗練度
- 投資とガバナンスの状況
- 人間開発
- これらは国ごとに重点分野が異なるが、経済全体の広範な構造分野を網羅する主要領域である。
各要素別の主要所見
- 貿易とサービス
- ASEANの主要6か国は概してG20の平均的な新興市場国よりも開放的であるが、貿易円滑化指標ではOECDの中央値の国よりも貿易障壁が高い。
- ロジスティクスと貿易円滑化の改善が、国境を越えた取引をより迅速に、より安価に、不確実性の少ないものにし、成長を押し上げる助けとなる。
- サービス貿易の遅れに対処することが、質の高い雇用創出、競争促進、技術の波及効果の最大化に寄与する。
- 新興市場国がよりサービス集約型経済に移行しても、先進国の所得水準に追いつく余地が縮小するわけではないが、生産性の高いサービス業への移行を促進する必要がある。
- 経済の洗練度と教育
- ASEANの主要経済国は概して十分に多様化しているが、経済複雑性の度合いには差があり、下位の国は教育と労働生産性が相対的に低い。
- 質の高い教育への支出を増やし、学習の質を向上させ、スキルと仕事のマッチングを改善することが生産性と経済全体の洗練度の向上に資する。
- 投資、ガバナンス、インフラ
- ASEANの主要新興市場国は、政府の有効性や規制の質に関してOECD諸国の中央値に遅れを取る傾向があるが、G20の平均的な新興市場国よりは進んでいる。
- 物流のパフォーマンスが弱く、ビジネス規制が厳しい国が多い。シンガポールは例外として優位。
- 国内信用は比較的潤沢だが、金融包摂は依然不十分であり、一部の国で銀行口座保有者の割合が低い。
- ガバナンスや腐敗防止の取り組みの強化、インフラの質の向上は説明責任とビジネスの安定性を高め、投資改善につながる。
- 人間開発と人口動態
- すべての主要ASEAN新興市場国はベンチマークと比較して人口統計学的に優位であり、総じて労働人口が扶養家族より多い。
- 高齢化によって年金や医療の財政負担が増大する前に改革を実行する好機が存在する。
- ただし、格差が大きく、平均余命、国民の健康、生活水準の数値がOECD平均より低い国が多い。インフォーマル雇用の蔓延も問題である。
- これらのギャップの是正は、包摂的で強靭な成長を促進する。
政策優先順位と推奨アプローチ
- 包括的で野心的な構造改革パッケージを同時に実施することを推奨する。具体領域はビジネスと対外規制、ガバナンス、人間開発、および教育・労働市場政策。
- 大規模改革パッケージの利点:
- 4年後に生産水準を最大で3%押し上げる可能性。
- 民間部門主導の成長を促進し、ショックに対する強靭性を構築する。
- 包摂的で多様な国内成長を促し、信頼性ある制度的枠組みを確保することで持続可能な利益をもたらす。
- 実施上の留意点:
- 野心的な改革には多くの場合、相当な政治経済的課題が伴う。
- 主要な利害関係者間の合意形成への取り組みが必要である。
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