改革なくしては、衰退のリスクを冒すことになる
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- Authors: RAGHURAM RAJAN
- Published: June 4, 2024
概要
- ブレトンウッズ会議から80年、IMFは運営上の決定を専門職化し、非政治化する必要があると主張。
- 世界はパンデミックと世界金融危機という「100年に一度しかないような大惨事」に立て続けに二度見舞われ、国際的な財・サービス・資本の流れを支えるための強固な国際機関の必要性が高まっている。
- IMFは国内マクロ経済の安定性に関する独立した助言者、そして市場の信用を失った国に対する最後の貸し手としての役割を果たすべきだが、現行の構造はその役割を十分に支えられていない。
正当性(Legitimacy)
- 当初、IMFは米国の単独超大国的地位の下で中立的・信頼できる存在として機能していた。
- 時代が変化し、中国の台頭などにより「西側同盟」による支配が揺らいでいる。
- IMF加盟国のクォータは議決権と出資割当額、借入可能上限を表す。具体例:
- 日本のクォータは6.47%で中国の6.4%を上回っている。
- 中国の経済規模は今や日本の4倍以上。
- インドは経済規模で英国とフランスを追い抜いたにもかかわらず、そのクォータは両国を下回っている。
再配分が必要な理由
- IMFは正当性と適切なガバナンスを必要とする。これはルール交渉と公平な施行、資源配分の決定のために重要。
- 米国の国内的孤立主義傾向と財政余地の縮小により、従来の西側支援が薄れる可能性がある。
- 世界全体で財政力が逼迫しているため、IMFは西側同盟からの追加支援なしで融資を行わざるを得ない場面が増えている。
- IMFの潜在的貸倒が存在する一方で、外部支援が減ると政治的要素を排除した効果的な救済回収が難しくなるリスクがある。
- 西側同盟内の亀裂(例:トランプ政権下でのカナダや西欧との貿易摩擦)は、同盟内コンセンサスの形成を難しくし、IMFの意思決定を予測不能にする恐れがある。
クォータと監督(Quota and Governance)
- クォータ再配分は相対的経済規模を反映するために重要だが、地政学的分断が進むと意図せぬ影響(例:中国中心の同盟の形成で融資が妨げられる可能性など)をもたらす恐れがある。
- 提案されるガバナンス変更の要点:
- 理事会がすべての融資プログラムを含む運営上のあらゆる決定について採決することをやめる。
- 運営上の決定は、独立した専門職の運営陣が世界経済の利益になるように行う。
- 理事会メンバーは幅広い目標を設定し、独立評価室の支援を受けながら定期的に目標達成状況を検査する(企業の取締役に類比)。
- 理事の役割は運営上の任務設定、運営陣の任命や変更、全体的パフォーマンスの監視に集中すること。
人事と選出プロセス
- IMF幹部の選定については、特定の国や地域に任命権を与えるのではなく、「どの候補者が最も幅広いコンセンサスを得るか」に基づき理事会が選定するべき。
- 理事会が被任命者の基本資格を定めることで、政治的プロセスは候補者の背後でのコンセンサス形成に役立ち、効果的な任務遂行を促す可能性がある。
新しいものと古いもの(Reform trade-offs and scenarios)
- 改革に対する政治的障害は大きい。支配的加盟国が権力を手放すことを避ける傾向があるため、段階的措置に頼ると先送りが常態化するリスクがある。
- シナリオ例:
- クォータだけが経済力を反映するように変更され、ガバナンスが維持されない場合:将来的に中国のクォータが最大となり、国際通貨基金協定に基づきIMF本部が北京に移転する可能性がある(政治化継続)。
- クォータとガバナンスを同時に改革した場合:独立したIMFが分断化する世界を結集し、重要課題に取り組むことが可能になるかもしれない。
- 包括的改革は早期に行われるべきであり、さもなければ改革の遅れはIMFが「力関係が変化しかけている時期に西側同盟が影響力を維持しようとしている」と受け取られる危険がある。
IMFの機能強化的役割(実務面)
- 改革されたIMFは以下を支援できる:
- 世界経済の変化を考慮しつつ、交渉すべき課題の予備的リストを立案すること。
- IMFの多国間協議の枠組みに基づき、少数の国々を集めて初期交渉を行うこと。
- 十分な信頼を得られれば、新ルールの形成とその実施を遂行すること。
- 分析の精度を高め、各国に対してマクロ経済的・対外的持続可能性に関する助言をより適切に行い、より効果的に融資を実施して各国の回復を助けること。
結論(決断の必要性)
- ブレトンウッズ会議から80年が経ち、世界は次の選択を迫られている:
- IMFを改革して加盟国との関与や各国が抱える課題への対処を向上させるのか、
- あるいは行動を起こさずIMFを衰退させるのか。
- 著者は、意思決定の専門職化と非政治化が麻痺回避の鍵であり、ケインズの提案(非常駐理事会と運営陣への権限付与)を再検討すべき時だと述べる。
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