IMF に つ い て


国際金融アーキテクチャーの強化:
ソブリン債務再編のためのメカニズム(SDRM)
(ファクトシート)

2002年8月

IMFは危機防止のために時間をかけて金融危機を減らす努力しています。しかし、すべての加盟国が常にあらゆる危機を回避することを期待するのは非現実的です。稀ではありますが、国は維持不可能な債務負担を抱え込んでしまった場合、その債務を再編する必要があります。現在の国際金融システムにはソブリン債務を、見通しがつきやすく、かつ、秩序ある形で再編する法的枠組みがなく、債務不履行のコストを一層高いものにしています。IMFは債務不履行のリスクが意に反して増えることなく維持可能な債務履行能力と成長性をとり戻すための公正な債務再編の枠組みの創設に取り組んでいます。

2002年4月、国際通貨金融委員会(IMFC)はIMFが現在の枠組みの欠陥を補う作業に取りかかることを承認しました。同委員会はIMFに対して2つの補完的方策を調査した上で2002年9月の総会においてその進捗状況を検討するよう促しました。

問題点

近年では各国の資金調達方法が、銀行融資から債券発行へと変化してきています。そのため、国際資本市場はより多様化し、より効率的に機能するようになりました。具体的には、新興市場主権国に資金を提供する投資家層が拡大したことでリスクの分散が可能となりました。しかし、維持不可能な債務を抱えた国にとっては深刻な問題が生じてきました。民間債権者の数が不特定多数となることでその調整がつきにくくなるのです。この問題を深刻にさせているのは金融商品の多様化と、債券発行地における法的な問題です。個人債権者が債務再編に直面した場合、銀行とは異なり可能な限りの最善条件を求めて粘り抜くか、あるいはより良い条件を求めて訴訟を起こす向きがあります。また、種類の異なる債権者を関連付けて扱うことには困難が伴います。

深刻な流動性の問題に直面している国は、国内外の債権者に対する債務再編を避けるためにはどんなことでもします。債務再編が秩序ある方法でおこなわれたとしてもその国の経済と銀行制度に打撃を与えることが分かっているからです。まして、債務再編が秩序なく行われると、民間資本との関係を長年にわたり断ち切り危機に陥ることになりかねません。結果として、対応し切れない問題を抱える国はその問題に取り組むことを先延ばしにし過ぎるので、国や国民そして国際社会全体に害を及ぼすことになります。

解決策は?

債務者と債権者は維持不可能な債務に対して、迅速で秩序ある、そして先が予測できる債務再編に合意するよう導かれる必要があります。国内破産法は破産関連では有用なモデルとなりますが、企業モデルに適用するには主権国家の独特の性格からして限界があります。中心領域における「ベスト・プラクテイス」を特定するために少なからぬ作業が進められています。正しく適用されれば、以下の主要方策の多くはソブリン債務再編のメカニズム(SDRM)のデザインに組み込まれる可能性があります。

多数決による債務再編の決定

どのような再構築の枠組みにとっても最重要な要素となるのは、債権者の特定多数決による賛成票が債務再構築の契約条件に反対する少数派を拘束できるメカニズムを作り出すことといえます。これは再構築実施後の反対派債権者による訴訟の脅威を排除することにもなり重要と考えられます。

債権者による手続きの停止

債務不履行が生じる以前に債務再編が合意に至らなかった場合、支払い停止後(但し、債務再編に合意がなされる以前の)債権者による訴訟手続を一時停止し、多数決による債務再編の合意を実行します。

債権者利益利害の保護

SDRMには訴訟手続きが一時的に停止されている間も、債権者の利益が保護されることを保証する保障条項を盛りこむ必要があります。

優先融資

多数決による債務再編のメカニズムは、交渉継続中であっても民間債権者が新規資金を供給できるような仕組みによって、強化されます。

訴訟手続の一時停止の決定を含むこの過程におけるすべての決定は債権者の特定多数決によってなされるべきです。そうすることによりSDRMは債務者と特定多数決による決定が全ての債権者を拘束する法的根拠となります。

前進

2002年4月、IMFCは問題点に関するIMFの見解を支持し、問題解決のための「二つの方式によるアプローチ」からなる方策を検討するよう促しました。11つは法的アプローチと呼ばれ、債権者の特定多数決が全体を拘束する債務再編に関する合意を承認するような法的枠組みを創設する方法です。合意がすべての債権者を拘束するためには普遍的な法的枠組みを策定することが必要です。もうひとつは債券契約に包括的な債務再編の条項、いわゆる「集団行動条項」を組み込むものです。「集団行動条項」はソブリン債券上の契約に見られるもので、広く受け容れられている債務再編策を反対派の債権者による妨害を制限するものです。

いずれも2002年を通してIMFや他の討論の場において建設的な議論が展開されています。IMFCでは2002年9月の総会において進捗状況を検討します。

結論

ソブリン債務再編の枠組みの改革は、策定から実施に至るまで何年もの年月を要する一大難事です。このような改革はIMFが力を傾けている危機管理改善の一端であり、1990年代後半にみられた市場混乱に対応してとられた_機防止と危機管理に関する取り組みへの補完を意図するものです。改革には次のようなものが含まれます。現行のIMF融資制度の見直し、債務の維持可能性を評価するための分析的枠組みの検討、および加盟国がIMF融資を受ける場合のアクセスポリシーの明確化などがあります。結果として、グローバル資本をより適切に配分し、更に強力で安定性と効率性に優れた国際金融システムを構築することになるでしょう。

SDRMに関する詳細情報:

2002年度の国際金融アーキテクチャー: ソブリン債務再編のための新しい手法

アン・クルーガー(IMF筆頭副専務理事)_よる演説 (2001年11月26日)

International Financial Architecture for 2002: A New Approach to Sovereign Debt Restructuring
Address by Anne Krueger
First Deputy Managing Director, IMF
November 26, 2001

ソブリン債務再編のための新しい手法

アン・クルーガー(IMF筆頭副専務理事)_よる演説(2001年12月20日)

A New Approach to Sovereign Debt Restructuring
Address by Anne Krueger
First Deputy Managing Director, IMF
December 20, 2001

ソブリン債務再編のための新しい手法: IMFの見解最新版

アン・クルーガー(IMF筆頭副専務理事)_よる演説(2002年4月1日)

New Approaches to Sovereign Debt Restructuring: An Update on Our Thinking
Address by Anne Krueger
First Deputy Managing Director, IMF
April 1, 2002

IMF総務会、ソブリン債務再編に関する非公式セミナー開催

パブリック・インフォメーション・ノーティス(PIN)No. 02/38(2002年4月1日)

IMF Board Holds Informal Seminar on Sovereign Debt Restructuring
Public Information Notice (PIN) No. 02/38

April 1, 2002

ソブリン債務再編のための新しい手法

アン・クルーガーによるパンフレット

国際通貨基金(2002年4月1日発行)

A New Approach to Sovereign Debt Restructuring
A Pamphlet by Anne O. Krueger
Published April 2002
International Monetary Fund

IMF総務会、ソブリン債契約における集団行動条項を討議

パブリック・インフォメーション・ノーティス(PIN)No. 02/77(2002年7月26日)

IMF Board Discusses Collective Action Clauses in Sovereign Bond Contracts
Public Information Notice (PIN) No. 02/77

July 26, 2002

ソブリン債務再編メカニズムに関する声明 - さらなる検討

アン・クルーガー(IMF筆頭副専務理事)_よる声明 (2002年9月4日)

Statement on Sovereign Debt Restructuring Mechanism-Further Considerations
Statement by Anne Krueger

First Deputy Managing Director, IMF
September 4, 2002

IMF総務会、新しいソブリン債務再編メカニズムにおいて考えられる特徴を討議

パブリック・インフォメーション・ノーティス(PIN)No. 02/106(2002年9月24日)

IMF Board Discusses Possible Features of a New Sovereign Debt Restructuring Mechanism
Public Information Notice (PIN) No. 02/106

September 24, 2002

1 IMF総務会の国際通貨金融委員会による2002年4月20日付コミュニケ