世界的な食料危機 ― 人々への支援や開かれた貿易、農作物の現地生産がますます重要に
IMF Blog, September 30, 2022
Source details
- Canonical URL
- 世界的な食料危機 ― 人々への支援や開かれた貿易、農作物の現地生産がますます重要に
Other formats
Bibliographic details
- Authors: Kristalina Georgieva, Sebastian Sosa, Bjorn Rother
- Published: September 30, 2022
現状と影響
- 食料不安は2018年以降、高まっている。気候ショックの頻度と深刻さの増加、地域紛争、パンデミックが食料生産と流通を混乱させ、食費を押し上げていた。
- ウクライナでの戦争により事態は一段と悪化し、食料と肥料の価格が上昇し、輸入業者が打撃を被り、いくつかの国が輸出制限を課した。
- 世界食糧計画(WFP)によると、深刻な食料不安により生命と生計の差し迫った危機に陥っている人の数が過去最高の3億4,500万人に達した。
- 毎晩空腹で床に就く人の数は世界で8億2,800万人を超えた。
- 状況は48か国で特に深刻であり、その多くはウクライナとロシアからの輸入に大きく依存する低所得国である。これらのうち約半数は大きな経済的課題や弱い制度、脆弱性のため特に打撃を受けやすい。
- IMF職員の新しいペーパーによると、食料不安に大きく影響を受けている国は2022年と2023年に、食料・肥料の輸入コストの増加により、国際収支の圧力が推計で90億ドル増える。
- 多くの国で食料価格は最近のピークからいくぶん後退したが、依然として食料とエネルギー価格は高く、生活費の危機を煽っている。貧困問題が悪化し、成長を傷つけ、政治不安を助長する恐れがある。
- 打撃が大きい国は今年だけでも、最貧困世帯への支援策として最大70億ドルを必要とすると推定する。
迅速な対応 — 必要な4分野の政策行動
- 全般方針: 世界的な食料危機を緩和し、人々を苦しみから解放するために、4つの分野にわたって強力で迅速な政策行動が必要。
- 第1: 人道支援と国内財政措置で脆弱層を迅速かつ適切に支援
- 世界食糧計画(WFP)やその他の機関の人道支援と、効果的な国内財政措置を組み合わせること。
- インフレとの闘いと、最も脆弱な人々の保護を優先すべき。
- 短期的な社会扶助は、緊急食料援助や現金給付に焦点を当てるべきである。
- ジブチ、ホンジュラス、シエラレオネが最近こうした対策を発表した。
- 直接給付が困難な場合は、補助金と税制措置が次善策となる。
- 第2: 開かれた貿易を維持して食料の配分を確保
- 地域内を含め、食べ物が余っている地域から不足している地域へ食料が流れるよう、開かれた貿易を保つこと。
- 黒海穀物イニシアティブおよびWTO第12回閣僚会議での進展を基盤に、主要な食料生産国による輸出禁止措置を早急に段階的に撤廃すべき。
- 保護主義的措置は食料危機を悪化させるだけである。世界銀行によると、保護主義的措置が世界の小麦価格の上昇要因の最大9%を占めている。
- 第3: 食料生産の増加と配分の改善
- 肥料へのアクセス確保や作物の多様化を通じて食料生産を増やすこと。
- 貿易金融の拡大とサプライチェーンの強化は現在の食料価格ショックに対処するために不可欠。
- 世界銀行やその他の国際開発金融機関は、農産物やその他の食品に関する貿易金融を拡大し、重要な物流とインフラのアップグレードのための国々への支援を増やす上で重要な役割を果たす。
- 第4: 気候変動に強い農業への投資で将来の収穫を増やす
- より深刻で予測不可能な気候現象により食料不安が悪化しているため、気候変動に強い農業への投資が不可欠。
- 低所得国、特にサハラ以南のアフリカの国は、気候変動の影響に対する備えが十分でない。
- 解決策は、新しい品種の作物への投資、水管理の改善、情報発信など、低コストで影響が大きい措置に焦点を当て、国の状況に合わせて調整するべきである。
- 例: エチオピアとケニア、ルワンダはモバイル技術を活用して農家に降雨予測を提供し、作物の植え付けと農業保険の購入を最適化している。
断固たる行動 — 資金と国際支援
- 専門機関の役割
- WFPやFAOなどの食料安全保障を専門とする機関は多くの国で現地活動を行っており、人的被害に焦点を絞っているため重要な役割を果たす。これらの機関は十分な資金が必要。
- 資金ニーズと手段
- 食料不安による打撃が最も大きい人々への現金と現物の給付を促すため、ドナーや国際機関からのより多くの助成金と譲許的融資が緊急に必要。
- 一部の国では債務救済も必要である。
- IMFの支援
- IMFの融資は、世界的な食料ショックに関連する国外からの資金調達ニーズを満たす上で各国を支援する。
- ロシアのウクライナ侵攻以来、IMFが支援する新たな経済プログラムはベナン、カーボベルデ、ジョージア、モザンビーク、タンザニア、ザンビアにおいて、食料危機の影響に対処するための政策を組み込んだ。
- ヨルダン、モルドバ、パキスタン、セネガルにおける既存のプログラムへの追加融資は、社会的セーフティネットを強化し、食料不安に対処するための追加措置を支援した。
- IMF理事会は緊急融資制度の下で新たな食料ショックの枠を承認する見込みである。提案されている同枠は、最も脆弱な国々のために1年間、緊急融資へのアクセスを増やすこととなる。
- この枠は、パートナーからの助成金や譲許的融資が十分でない場合、またはIMFが支援するプログラムを実施できない場合にIMFの新たな支援手段となる。
結論と推奨
- 現在の危機は驚異的な人道被害と大きな財政的コストをもたらしている。
- 包括的で適切に調整されたアプローチにより、各対策が互いを補完しリソースを最大限に活用することが必要。
- 調達した資金で強力な政策行動をとる国々を支援することで、飢餓状態にある人々の苦しみを和らげるために今行動を取るべきである。
- IMFは世界銀行および世界のパートナーと共に、世界の食料不安に対する行動を求める共同声明第2弾を発表した。
本ブログ記事は、ギヨーム・シャベールとデヘン・キム、ルーカス・コーラー、ガエル・ピエール、加藤直也、マジディ・デビッチ、キアラ・カストロビッラーリも貢献した。