高インフレ高金利に試される金融システム
IMF Blog, April 11, 2023
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- 高インフレ高金利に試される金融システム
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- Authors: Tobias Adrian
- Published: April 11, 2023
概要
- 何年にもわたる低金利に続く急速な金融引き締めによって、脆弱性が露に。
- IMFの最新の国際金融安定性報告書は、インフレを抑制するために金利が急速に引き上げられる中、銀行およびノンバンク金融仲介機関に対するリスクが高まっていることを示す。
- 最近の出来事として、米国のシリコンバレー銀行とシグニチャー銀行の破綻、およびクレディ・スイスが国の支援の下でUBSに買収されたことが市場の信頼を揺るがし、当局の大規模な緊急対応を招いた。
2008年との相違点
- 金融システムの構造的違い:
- 危機後、銀行は資本と流動資産の蓄えを増やすよう規定され、ストレステストが要件となった。
- オフバランスシート事業体は縮小され、信用リスクは危機後の厳しい規制によって抑制されている。
- 最近の混乱の主因:
- 急成長する金融機関が金利の急上昇に対する準備ができていなかったこと。
- 過去の類似点:
- 小規模な金融機関のトラブルが広範な信頼の喪失を引き起こした点は、1980年代の貯蓄貸付組合(S&L)危機や1984年のコンチネンタル・イリノイ銀行の破綻に類似する。
高まる脅威と伝播メカニズム
- 銀行業界の影響:
- 銀行株の下落、銀行の資金調達コストの上昇。
- 貸出が抑制される可能性が高い。
- 市場のセンチメント:
- 全体的な金融環境は依然としてさほど引き締まっておらず、10月よりも緩和的な状態が続いている。
- 米国を中心に株価には過熱感がある。
- 企業の信用スプレッドはやや拡大したが、金利の低下によって概ね相殺されている。
- 投資家は、金利がこれ以上大幅に上昇することなくインフレ率が低下するといった比較的楽観的なシナリオを織り込んでいる。
- 市場参加者は高い確率で景気後退を織り込んでいるが、景気後退の深刻さは控えめであると予想している。
- リスクの増幅要因:
- インフレがさらに加速し、投資家が金利の経路を再評価することで金融環境が急激に引き締まる可能性。
- 信頼の損失により銀行やノンバンクの資金が急速に流出する恐れ。
- ソーシャルメディアやプライベートのチャットグループによる懸念の波及増幅。
- ノンバンク金融企業の信用リスク悪化、例として一部の不動産ファンドでの資産評価の大幅な減少。
- 新興市場への波及:
- 主要な新興市場国の銀行の株価はこれまで米国と欧州の混乱による影響をほぼ逃れているが、総じて信用力の低い資産を保有している。
- 一部の銀行は預金保険のカバー率が低い。
- ソブリン債の脆弱性が高く、格付けの低い新興市場国やフロンティア市場国を圧迫しており、銀行部門への波及効果が懸念される。
リスクの定量化(Growth-at-Riskの結果)
- 世界経済成長率のリスク分析(Growth-at-Risk):
- 約20分の1の確率で世界の生産高が今後1年間で1.3%縮小する可能性がある。
- 社債やソブリン債のスプレッドが拡大し、株価が下がり、大半の新興市場国で通貨が下落するような、金融環境の大幅なタイト化があった場合、同じ確率で経済が2.8%縮小する。
政策対応と推奨措置
- 断固たる措置の必要性:
- 政策当局者は信頼を維持するために断固として行動しなければならない。
- 即時対応の優先事項:
- 監視と監督、規制のギャップに直ちに対処すること。
- 多くの国で破綻処理制度と預金保険制度を強化するべきであること。
- 危機対応ツール:
- 差し迫った危機管理が必要な状況では、中央銀行が資金提供を銀行とノンバンク双方へ拡大せざるを得ない可能性。
- これらのツールは金融の安定性を維持するうえで役に立つほか、金融政策当局が物価の安定に集中することを助ける。
- 金融政策のスタンス調整に関するガイダンス:
- 金融部門のストレスが経済全体に深刻な影響を与える場合、政策当局者は金融の安定を支えるために金融政策のスタンスを調整する必要が出てくるかもしれない。
- その際、金融のストレスが緩和された暁には、できるだけ早くインフレ率を目標に戻すという変わらない決意を明確に伝えること。
本ブログ記事は、2023年4月国際金融安定性報告書(GFSR)の第1章「高インフレ高金利に試される金融システム」に基づき執筆されている。