準備資産の国際システムにおけるドルの優位性:最新の動き
IMF Blog, June 11, 2024
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- 準備資産の国際システムにおけるドルの優位性:最新の動き
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Bibliographic details
- Authors: Serkan Arslanalp, Barry Eichengreen, Chima Simpson-Bell
- Published: June 11, 2024
概要
- 世界の外貨準備において米ドルは依然として優位性を保っているが、非伝統的準備通貨に地位を徐々に譲ってきている。
- 米国経済の堅調さ、金融政策の引き締め、地政学的リスクの高まりがドルのバリュエーション上昇に寄与している一方で、世界の経済・金融活動の分断化やブロック化の可能性が、他通貨の採用・保有を促す要因となっている。
COFERデータと趨勢
- IMFのCOFERの最近のデータは、各地の中央銀行や政府が配分する外貨準備に占めるドルのシェアが徐々に低下し続けていることを示している。
- 過去20年間における米ドルの役割の減少は、「4大」通貨(ユーロ、円、ポンド)のシェア上昇で補われておらず、豪ドル、カナダドル、人民元、韓国ウォン、シンガポールドル、北欧通貨など非伝統的準備通貨のシェアが増加している。
- ドル保有の減少と非伝統的通貨の割合上昇は、長期的には中央銀行が「少しずつ米ドル離れしている」ことを示唆している。
非伝統的準備通貨上昇の要因
- 分散効果、比較的魅力的な利回り、新しいデジタル金融技術(自動マーケットメーカーや自動流動性管理システムなど)の発展により、売買や保有が容易になっていることが準備資産運用マネージャーにとって魅力的になっている。
- ドル高は民間投資家がドル建て資産に資金を移したことを示唆しており、為替レートや国債利回りの相対的価格変化が中央銀行の準備資産ポートフォリオの通貨構成に個別に影響を及ぼす可能性がある。ただし、主要通貨建て債券の利回りが総じて同じ動きをする限りその影響は比較的小さい傾向がある。
人民元の動向
- 人民元の上昇はドルシェアの減少の「4分の1」に相当する。
- 中国政府はクロスボーダー決済システムの開発、スワップラインの延長、中央銀行デジタル通貨の試験運用などで人民元の国際化を進めてきたが、最新のデータでは人民元の通貨シェアが一段と増えているわけではない。
- 為替レートの下落が人民元の準備通貨としての増加を隠蔽しているとの指摘に対しても、為替変動を調整しても外貨準備に占める人民元の比率は「2022年以降低下している」。
特定国の影響と広がり
- 一部の大口保有者(例:ロシア、スイス)の行動が注目されるが、2007年から2021年にかけて公表データを用いてCOFER集計からロシアとスイスを除外しても、全体的な傾向にほとんど変化は見られない。
- COFERに通貨構成を報告している国は「149か国」であり、これらは世界の外貨準備高の「93%」を占めている。報告しない国は世界の外貨準備のごく一部にすぎない。
- 2020年末時点で非伝統的通貨建ての外貨準備高の割合が「5%以上」の国を「積極的な分散国」と定義し、2022年のペーパーではそのような国を「46か国」特定した。これには主要20か国・地域(G20)の大半が含まれる。
- 2023年までに、少なくとも「3か国(イスラエル、オランダ、セーシェル)」がこのリストに加わった。
金(ゴールド)の役割
- 中央銀行が過去に金融制裁を経験している場合、凍結や再配分のリスクがある通貨よりも国内で保管できる金を優先して準備資産ポートフォリオを緩やかにシフトさせる傾向がある。
- 中央銀行による金の需要は、世界経済政策の不確実性や世界的な地政学的リスクに反応している。多くの新興市場国の中央銀行が金を一段と蓄積している可能性がある一方で、準備資産に占める金の割合は依然として歴史的に低いままである。
結論
- 国際通貨・準備資産のあり方は進化を続けている。ドルの優位性からの移行は「非常に緩やか」であるが進行中であり、新しいデジタル金融技術の導入により「小規模かつ開放的で適切に管理された経済国」の非伝統的通貨の役割が高まっている点は変わらない。
出典:準備資産の国際システムにおけるドルの優位性:最新の動き(ページ概要)