IMF理事会、2025年の対日4条協議を終了
IMF News, April 2, 2025
Source details
- Canonical URL
- IMF理事会、2025年の対日4条協議を終了
Other formats
Bibliographic details
- Published: April 2, 2025
概要
- 国際通貨基金(IMF)理事会は対日4条協議を終了した(プレスリリース No. 25/084)。
- 2025年に向けて、日本は「総合インフレ率が日銀の総合インフレ率目標である2%で維持され、成長率は潜在成長率の0.5%で維持される新たな均衡」に達する兆しが高まっていると評価された。
- 2024年は一時的な供給側の混乱により成長が著しく減速したが、2025年は成長率が1.2%に持ち直す見込み。
成長・インフレ見通し
- 2025年の見通し:
- 実質GDP成長率: 1.2%
- インフレ: 2025年はインフレ率を上回る賃金の伸びが加速し、家計の可処分所得と消費を押し上げる見込み。
- インフレ率は、原油と食料価格の上昇が和らぐ中で、日銀の目標である2%を上回っている状態から、2025年末には落ち着くと予想される。
- 予測期間の一部主要成長率:
- 実質GDP(年変化): 2021: 2.7、2022: 0.9、2023: 1.5、2024: 0.1、2025: 1.2、2026: 0.8、2027: 0.6、2028: 0.5
- インフレ・物価指標:
- 消費者物価指数(CPI)総合指数(年平均%変化): 2022: 2.5、2023: 3.2、2024: 2.4
- GDPデフレーター(年平均%変化): 2021: 4.1、2022: 2.9
財政見通しと評価
- 2024年の財政動向:
- 財政赤字は2023年の対GDP比2.3%から2024年には2.5%へとやや悪化したと推計。
- 2024年の財政赤字と一般政府債務の推計は、景気回復を支えるための歳出の一部廃止と歳入が予想を超えたため、2024年4条協議時点での予想を下回っている。
- 政府部門の対GDP比(主要項目、年次データの一部):
- 歳入: 36.3、37.5、36.8、36.9(年別対応は原文表の流れに準拠)
- 歳出: 42.5、41.8、39.1、39.4、39.5、39.8、40.1、40.8、41.4、42.0
- 財政収支(対GDP%): -6.1、-4.2、-2.5、-3.0、-3.3、-3.9、-4.5、-5.2
- 基礎的財政収支: -5.5、-3.8、-2.0、-2.1、-2.2、-2.4、-3.1
- 公的債務(グロス、対GDP%): 253.7、248.3、240.0、236.7、233.1、230.7、228.8、227.8、227.6、228.0
- 理事らの財政に関する勧告・評価(箇条書き):
- 公的債務の利払い費増加や医療・介護に伴う歳出圧力を完全に相殺するための明確な計画が必要。
- 債務の持続可能性確保と自然災害を含む経済ショック対応のため財政余地を拡大することが必要。
- 質の高い公共投資を維持しつつ、歳入を増やし社会支出の質を向上させ、補助金を合理化する措置が望ましい。
- 補正予算の管理における規律の重要性、中期的な財政枠組みの強化、強固な債務管理戦略の保持を推奨。
金融政策・金融セクター
- 日銀の動向:
- 日銀は2024年3月に非伝統的金融政策を無事終了した後、日本国債の買い入れを縮小し始め、政策金利を0.5%まで徐々に引き上げた。
- 理事らの見解・助言:
- IMF職員のベースライン予測が実現した場合には、金融緩和の段階的な解除が適切であると指摘。
- 中立的な政策金利に関連する不確実性や金融政策の波及の有効性、インフレ期待の再アンカーの度合を勘案して、日銀にデータに基づいた柔軟なアプローチを維持するよう促した。
- 日銀がバランスシート縮小計画について十分にコミュニケーションを取り、円滑に実施したことを称賛。
- 為替制度については、柔軟な為替相場制度へのコミットメントを歓迎し、為替介入を例外的な状況に限定する重要性を強調。
- 金融システムの健全性:
- 理事らは、金融システムがおおむね強靭性を維持していると評価。
- マクロ経済の不確実性、予想を上回る金利上昇、中小企業の破綻リスクに細心の注意を払うよう当局に奨励。
- 2024年の金融セクター評価プログラム(FSAP)から得られた主要な勧告事項の引き続きの実施を奨励。
構造改革・中長期課題
- 理事らの政策提言(箇条書き):
- 財政バッファーを再構築し、インフレ期待を再アンカーすること。
- 人口高齢化の文脈で潜在成長率を支える包括的な構造改革を進めること。
- 産業政策は外部性のある分野に集中させ、費用便益分析を要件とすることを推奨。
- 労働市場政策: 高齢者や女性の労働参加と柔軟性の向上、労働移動の促進、AI導入のメリットの活用を推奨。
- 実施手段として、保育施設の拡充、ITやAIのスキル開発研修の強化、外国人労働者の誘致を挙げる。
- グリーントランスフォーメーションに対するコミットメントを歓迎し、さらなる進展を促す。
リスク評価
- 成長リスク:
- 下方リスクが優勢。具体的要因には世界経済の減速、国内消費の低迷、金融環境のタイト化。
- 上振れ要因としては賃金上昇の加速と地域統合の進展。
- インフレリスク:
- おおむね均衡。下振れリスクはインフレ期待が目標を下回る可能性。上振れリスクは食料・エネルギー価格の上昇および予想を上回る賃金の伸び。
主な経済指標(抜粋・原文に基づく数値)
- 名目GDP: 4兆2,130億米ドル(2023年)
- 1人当たりのGDP: 3万3,845米ドル(2023年)
- 人口: 1億2,400万人(2023年)
- クォータ: 308億SDR(2023年)
- 経常収支(10億米ドル、年別一部): 196.2、89.9、158.5、193.0、177.9、167.7、170.1、175.2、175.5、169.3
- 経常収支(対GDP比% 一部): 3.9、3.8、4.8、4.4、4.0、3.5
- 財・サービスの輸出(10億米ドル 一部): 749.2、752.5、713.7、692.3、700.2、706.6、722.7、736.9、755.4、771.4
- 財・サービスの輸入(10億米ドル 一部): 732.7、868.3、761.9、718.5、711.5、722.1、737.1、748.4、764.3、778.6
- エネルギー輸入(10億米ドル 一部): 127.8、195.5、152.9、138.3、124.6、108.2、98.0、90.0、83.0、76.7
- 外貨準備高(金を除く、10億米ドル): 1356.2、1178.3、1238.5、1159.7
- 為替相場(年平均):
- 円・ドル: 109.8、131.5、140.5、151.4
- 円・ユーロ: 129.9、138.6、152.0、163.8
- 実質実効為替相場(2010年=100、ULCベース): 73.5、62.0、56.3、51.7
- 実質実効為替相場(2010年=100、CPIベース): 70.7、61.0、58.1、55.0
出典: プレスリリース No. 25/084、IMF理事会による対日第4条協議の結論(2025年)