新型コロナウイルス被害を抑える財政政策
IMF Blog, April 15, 2020
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- 新型コロナウイルス被害を抑える財政政策
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Bibliographic details
- Authors: Vitor Gaspar, Mehdi Raissi, Raphael Lam
- Published: April 15, 2020
概要
- パンデミックに際しては、人命を救い人々を守る上で財政政策が重要であり、「必要なことは何でも行うべき」である一方で「領収書は必ずとっておかなければならない」。
- 本ページは、命を救い、失業や所得減少から人々を守り、企業倒産を防ぎ、回復を可能にするために政策当局者がどのように緊急のライフラインを供給できるかを示している。
実施された措置と規模
- 各国はパンデミックと経済への打撃を抑えるために、約8兆ドルに上る財政措置を講じている。
- 世界で供給されている緊急のライフラインの内訳(出所の表現を忠実に再掲):
- 歳出の増加と歳入の逸失(3.3兆ドル)
- 公的部門による融資と資本注入(1.8兆ドル)
- 保証(2.7兆ドル)
- G20の先進国や新興市場国が最前線に立ち、総額で7兆ドルの措置を講じている。
- IMFは加盟国を支援するために1兆ドルの融資能力を駆使する準備がある(中でも低所得途上国に主眼)。
守るべきルール(基本原則)
- 家計支援の対象を絞り、基本的な財・サービスを利用し最低限の生活水準を維持できるよう保証すること。
- 解雇と倒産を抑制するため、存続可能な企業に支援の対象を設定すること(危機が永続的な爪痕を残さないようにする観点)。
- 財源を時限的かつ効率的に充当し、費用を複数年次の財政報告書に反映させること。
- 良い統治(グッド・ガバナンス)の原則を強化すること。具体的には以下を含む。
- 正確な会計
- 頻繁かつタイムリーで完全な情報開示
- 事後評価と説明責任を可能にする手続きの採用
- 財政リスクの評価・監視・開示を行うこと(政府保証などは初期費用が伴わない場合でも将来的に政府会計に影響)。
命を救うための行動と制約
- 各国政府は医療サービスや緊急サービスを強化するために必要額を確保する必要があるが、実行には困難が伴う。
- 医療能力が限られている国ではリソースを十分に拡大できない。
- 多くの新興市場国・発展途上国では借り入れに制約があるため、重要な公共サービスを維持しつつ医療セクターに支出を振り向ける必要がある。
- 世界的な連携は、安価なワクチンや治療薬の実現、援助や医療資源、緊急の譲許的融資を通じて医療能力の限られた国を支援する上で有用である。
対象を絞った財政措置の例(国別の手段)
- 先進国・地域の手段例:
- 失業給付の拡充(自営業者も含む)
- 給与税の納税猶予
- 中小企業に対する賃金補助
- 低利融資や保証による流動性ライフライン(欧州の一部国)
- 政府負担の病気休暇・家族休暇(フランスや日本での例)
- 新興市場国・発展途上国の手段例:
- 統一の国民識別番号制度やデジタル技術を用いた現金給付(インド、ケニアの例)
- 食料や医薬品の現物支給(バングラデシュの例)
- 一時的な減税や付加価値税の全額還付による企業の現金確保(中国の例、運輸・観光・ホスピタリティ産業などを対象)
回復期の財政刺激と債務見通し
- パンデミック収束後の「大封鎖」解除に伴い、世界的に連携した広範囲にわたる財政刺激策は回復を促進する有効なツールとなりうる。
- ただし、各国の資金調達能力の差など重要な差異を考慮する必要がある。
- パンデミックと「大封鎖」により、財政赤字と債務残高は世界金融危機時を上回るかたちで拡大している。
- パンデミックが収束し、2021年に経済が回復すれば、公的債務比率はこれまでよりも高い新たな水準で安定すると見られている。
- 「世界経済見通し(WEO)」の悪化シナリオが現実のものになれば、債務水準はさらに上昇し、債務のダイナミクスはさらに悪化する可能性がある。
要約的助言
- 緊急時において政策当局者に言えることは、「必要なことはすべて行うべきだが領収書はとっておく」ことである。即ち、大規模かつ時限的で対象を絞った支援を実行する一方で、良好な会計・開示・事後評価・説明責任の仕組みを確立することが重要である。
出典: 新型コロナウイルス被害を抑える財政政策