税収ポテンシャルの活用で開発目標のための資金確保が可能に
IMF Blog, September 19, 2023
Source details
- Canonical URL
- 税収ポテンシャルの活用で開発目標のための資金確保が可能に
Other formats
Bibliographic details
- Authors: Vitor Gaspar, Mario Mansour, Charles Vellutini
- Published: September 19, 2023
要旨と主要な所見
- 新興市場国と発展途上国は、開発目標とクライメート・トランジションのために、2030年にかけて毎年3兆ドルを必要としている。
- この額は、新興市場国と発展途上国の2022年のGDP総額の約7%に相当する。
- IMFの研究は、多くの国で税制設計の改善や公的制度の強化を通じて、税収を対GDP比9%ポイントほど引き上げる余地があると示している。
- 税収増は、重要な政府サービスの提供や金融の発展、民間部門の起業家精神の促進に寄与する可能性がある。
進展の停滞と現状の差異
- 1990年代初頭以降、新興市場国と発展途上国では主に付加価値税や物品税などの消費税により、税収の対GDP比が約3.5~5%ポイント上昇している。
- 一部の国(アルバニア、アルゼンチン、アルメニア、ブラジル、コロンビア、ジョージアなど)は、対GDP比で5%ポイント以上の歳入増を実現している。
- これらの増加の多くは2008年の世界金融危機以前に起こっており、最近のショックによって前進が困難かつ脆弱になっている。
- 2020年時点で、税収の対GDP比15%を下回る国が多数ある:新興市場国の半数と低所得国の3分の2が15%を下回っている。
- 資源国は概して税収が少ない傾向にある(天然資源収入の大きさと一部政府による減税が要因)。
税収ポテンシャルの具体的推計
- 低所得国では、税収の対GDP比を平均で6.7%ポイントほど引き上げうる余地があると推定している。
- 公的制度(腐敗の抑制を含む)を新興市場国の水準に改善すれば、さらに2.3%ポイントの引き上げにつながると考えられる。
- これらを合わせた税収増のポテンシャルは全体で対GDP比9%ポイントとなる。
- 新興市場国では、税収の対GDP比を平均で5%ポイント引き上げることができ、制度が先進国の平均水準まで改善されればさらに2~3%ポイントの引き上げが可能である。
- 国際協力による大規模多国籍企業の利益課税が注目されているが、別のIMFの政策ペーパー(2月公表)では、このイニシアティブによる税収への直接的なインパクトは、歳入ニーズ全体のごく一部にとどまるとされている。
必要不可欠な改革(政策提言)
- 中核的な国内税制に重点を置いた総合的で制度に基づくアプローチを採ること。
- 具体的施策(例示):
- 付加価値税や物品税、個人所得税、法人所得税などの設計と事務を改善する。
- 低所得国では、優遇措置を制限し、コンプライアンスを向上させることにより、標準税率を引き上げることなく付加価値税収を倍増しうる。
- デジタル技術の広範な採用は、歳入徴収の増加とコンプライアンス・ギャップの解消につながる。
- 租税支出の合理化、より中立的な資本所得課税、財産税のより良い活用を通じて課税ベースの拡大に重点的に取り組む。
- 物品税、とりわけ燃料物品税や種々のカーボンプライシングは、国内の医療および気候関連のコストを軽減しうる。
- 税制改革の政治経済を管理するための制度的強化:
- 租税政策が経済に与える影響を予測・分析するための十分な人員配置と専門性の向上。
- 税の設計・実施に従事する公務員のプロフェッショナル化。
- コンプライアンス強化に向けたデジタル技術のより良い活用。
- 政策と行政を法律化する過程における透明性と確実性の確保。
- 政府機関間で慎重に改革の優先順位付けと調整を行い、制度強化と国家能力向上を通じて税制設計の質と市民の税の受容性を高めること。
インパクトと期待される成果
- 対GDP比9%ポイントの税収増は、低所得国における2020年の税収対GDP比の実に3分の2に相当する規模であり、国家が開発において重要な役割を果たすのに大いに寄与する。
- 税収ポテンシャルを活かすことは、効率的で的を絞った支出(社会的セーフティネット強化を含む)と組み合わせることで、持続可能な開発の実現に大いに役立つ。
ヴィトール・ガスパール, マリオ・マンスール, シャルル・ヴェルティニ — 2023年9月19日