危機下における企業の環境パフォーマンス
IMF Blog, October 26, 2020
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- 危機下における企業の環境パフォーマンス
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Bibliographic details
- Authors: Pierre-Guerin, Fabio Natalucci, Felix Suntheim
- Published: October 26, 2020
要旨
- 新型コロナ危機のようなマクロ経済と金融に大きな影響を及ぼすショックは、不確実性を高め、経済活動を混乱させ、企業の財務上の制約を増幅させる傾向がある。
- 財務上の制約が強まると、企業のグリーン投資が抑制され、低炭素経済への移行が減速するリスクがある。
- 一方で、パンデミックは環境リスクに対する認識を高め、消費者の選好や企業活動、投資家行動の変化を通じて低炭素経済への移行を加速する可能性もある。
過去の経験に基づく分析(2002~2019年)
- 大規模な国際サンプル(上場企業)に基づく分析の主要所見:
- 財務上の制約を抱える企業は、制約のない企業に比べて環境パフォーマンスが著しく低い。
- 財務上の制約の代替指標として、企業規模、格付けの有無、配当実施の有無等を用いた。
- 環境パフォーマンスの主な尺度は、資源利用、排出削減、製品のイノベーション等の主要パフォーマンス指標に基づくスコアである。
- 定量的な比較:
- 配当を行わないか、無格付けまたは小規模な企業の場合、(大規模であるか配当を行い、あるいは格付け対象となる企業に比べて)環境パフォーマンスのスコアが平均で10~30%低くなる。
金融ストレス・不確実性の急増がもたらす影響
- 2020年上半期に見られた平均的水準に匹敵するような世界的な金融ストレスと不確実性の急激な高まりがあると、企業の環境パフォーマンスは低下し、過去10年間に得られた成果を覆す可能性がある。
- 深刻な点:
- ショックから3年経ってもショック前の環境パフォーマンス水準まで回復しない可能性がある。
- 経済産出量が減少すると企業の環境パフォーマンスも低下することが示されている。
現在の政策含意と推奨行動
- 総論:
- 新型コロナ危機と温室効果ガス排出削減の喫緊の必要性を踏まえ、政策行動が極めて重要である。
- 主要な示唆:
- 「世界経済見通し(WEO)」で提唱されたグリーン投資の推進といった気候変動に関する政策行動が不可欠である。これがなければ、財務上の制約の悪化と経済の不調が企業の環境パフォーマンスに有害となり、グリーン投資を減少させ、低炭素経済への移行を潜在的に遅らせる可能性がある。
- 想定される企業の環境パフォーマンス悪化を相殺するためには、企業の財務上の制約を緩和し、グリーン投資を支援するような気候政策を実施することが非常に重要である。
- グリーン復興パッケージに加えて、持続可能な金融の促進を目指す政策が鍵となる。
- 情報と市場信頼の強化:
- 企業が持続可能性に関して同等かつ一貫性のある報告を行えば、企業の環境パフォーマンスをより効果的に評価できるようになる。
- 正確で適切に標準化された報告と情報開示があって初めて、投資家は各企業の気候関連財務リスクへの実際のエクスポージャーを判断できる。
- 「持続可能な」ラベルが根底にある持続可能な投資決定を反映するためには、何が持続可能な投資ファンドに該当するかについてさらなる標準化と明確化が必要である。
- 取り組みを強化し、持続可能な資産市場の細分化を防ぐには、国際協調と現在世界で進められている各種イニシアティブに対する協力的なアプローチが非常に重要である。IMFはこうした努力に貢献を果たしていく。
著者・発行日
- 著者:ピエール・ゲラン、ファビオ・マッシモ・ナタルッチ、フェリックス・サンタイム
- 発行日:2020年10月26日
出典: ピエール・ゲラン, ファビオ・マッシモ・ナタルッチ, フェリックス・サンタイム, 2020年10月26日