パンデミックからの復興を推し進めるうえでは女性に配慮した予算作りを
IMF Blog, March 5, 2021
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- パンデミックからの復興を推し進めるうえでは女性に配慮した予算作りを
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- Authors: Antoinette M Sayeh, Jiro Honda, Carolina Renteria, Vincent Tang
- Published: March 5, 2021
パンデミックが女性に及ぼした影響(主な所見)
- 日本では、パンデミックの打撃を受けて100万人の女性が労働市場から退出したが、男性の労働参加の変化は女性よりもはるかに小さかった。
- チリでは、コロナ発生以降、女性の76%にとって家事に費やす時間が増えたと報告されている。
- メキシコでは、女性への暴力に関する緊急通報が53%増加した。
- マララ基金は、発展途上国でパンデミックに伴う休校が終わった後にも2,000万人の少女が教室に二度と戻らない可能性があると推定している。
政府の対応と政策の有効性
- 国連の「COVID-19グローバル・ジェンダー・レスポンス・トラッカー」によれば、ジェンダー関連の課題に対処すべく合計1,000件近くの政策対応が各国で講じられている。これらには、女性向けの有給休暇、雇用保護措置、より柔軟な勤務形態、貧困世帯対象の所得支援・現物支援などが含まれる。
- IMFの研究は、これらの政策が女性の雇用を拡大し、国民全体の経済的厚生を高めていると結論付けている。
- 政策が不足あるいは設計が不十分である場合、パンデミックに伴う経済・社会面での後遺症が長期化し、女性に対する格差が固定化する恐れがある。
ジェンダー予算の本質と導入指針
- ジェンダー予算は、公共財政管理の政策や手順にジェンダーを組み込むものであり、一貫したジェンダー戦略の一環として設計され、既定の予算プロセスに沿ってモニタリング・評価されることが必要である。
- ジェンダー予算の強化は継続的かつ長期的な投資であり、経験の有無にかかわらず各国がプロセスを開始できるようにIMFは実行可能なツールキットを提示している。
ジェンダー予算を始めるための具体的ツール(手順)
- エビデンス収集
- 女性や少女に対するパンデミックとロックダウンの影響を評価するためのエビデンスを集める。
- 例示される評価項目:「当該国において、女性が多数を占める産業や部門はどの程度影響を受けているのか」、「女性は縮小した各種の公共サービスへの依存度が高いのか」など。
- エビデンスを「ジェンダー・ニーズ・アセスメント」のような文書にまとめる。UN Womenはウクライナで電話調査とオンライン調査に基づきわずか1か月でジェンダー・ニーズ・アセスメントを完了したことを示している。
- 政策設計の向上(ジェンダー・インパクト・アセスメント)
- 女性受給者の割合や制度利用上の障壁となりうる要因を評価し、政策設計を改善する。
- オーストリアやカナダでは、新規の予算案全てにジェンダー・インパクト・アセスメントが含まれている。
- 評価により、意図せざるジェンダー・バイアス(例えば賃金補助の仕組みがインフォーマルセクターの女性を対象外にする、租税政策が女性の就労を抑制する可能性など)が明らかになることがある。
- 資源配分
- 目標を行動に変えるためにジェンダー政策に十分な資源を配分することが重要である。
- 例:エジプト向けのIMFプログラムには、対象を絞った現金給付(受給者の多くが女性)に対する予算配分の増額支援や公共保育サービスを改善させるための措置が含まれている。
- 「予算通達」や「ジェンダー予算書」を通じてジェンダー政策目標を明確にし、十分な資源を充当することで信頼と透明性が高まる。フィリピンの2021年予算通達には、保健や栄養、社会的保護など、女性を支援する優先政策分野が盛り込まれている。
- 追跡・評価
- 支出の追跡調査、簡単な政策評価、ジェンダーパフォーマンス監査を通じてタイムリーなフィードバックを得ることが可能であり、必要に応じて政策の軌道修正や有効性の確認が行える。
- 例:シエラレオネではリアルタイムに監査を行うことで、エボラ出血熱の流行に効果的に対処し、医薬品の供給と二重支払いに関する問題を明らかにした。
IMFの支援と現状のギャップ
- IMFは男女平等を促進するための予算慣行や予算配分、更には租税政策の実施について113か国の加盟国と協力している。
- パンデミックの発生以来、55か国以上の国がIMFとともにジェンダー予算に関する研修に投資している。
- ほぼ全ての国が男女平等の目標を掲げる一方で、IMFの調査ではそれを実行するための法的枠組みを備えている国は半数に過ぎないことが示されている。
- ジェンダー予算書やジェンダー・インパクト・アセスメントのような確立された手法を用いている国は4分の1にとどまっている。
結論と提言(要点)
- パンデミックからの復興は、ジェンダー予算を導入・強化する好機であり、資源の配分、設計の改善、追跡・評価を通じて女性への配慮を恒久的に組み込むことが必要である。
- 各国はエビデンスに基づくニーズ評価、ジェンダー・インパクト・アセスメントの導入、明確な予算指示やジェンダー予算書による資源配分、そして支出の追跡と評価を組み合わせることで、復興の過程で女性の格差固定化を防ぐべきである。
出典: パンデミックからの復興を推し進めるうえでは女性に配慮した予算作りを (IMFブログ)