世界経済の回復は続くが、道のりは険しいものに
IMF Blog, April 11, 2023
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- 世界経済の回復は続くが、道のりは険しいものに
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- Authors: Pierre-Olivier Gourinchas
- Published: April 11, 2023
概要と最近の見通し
- パンデミックとロシアのウクライナ侵攻の影響を受けた世界経済は回復基調にある。
- 中国の経済再開が回復を下支えしている。サプライチェーンの途切れは再開され、戦争によるエネルギー・食品市場の混乱も後退している。
- 大半の中央銀行による大規模な金融引き締めの効果が表れ始め、物価上昇率は徐々に目標水準に戻る見込み。
主要予測(IMF「世界経済見通し(WEO)」)
- 世界成長率の予測:
- 今年は2.8%まで低迷。
- 来年は3%まで緩やかに加速。
- 1月の予測から0.1%ポイントの引き下げ。
- 世界のインフレ率:
- 昨年は8.7%。
- 今年は7%。
- 2024年には4.9%。
- 先進国の動向:
- ユーロ圏の今年の成長率予測は0.8%(前年同期比)へ鈍化。
- 英国の今年の成長率予測は-0.3%(前年同期比)へ鈍化。
- その後、ユーロ圏は1.4%、英国は1%へ回復見込み。
- 新興市場国・発展途上国:
- 年末から年末の成長率は、2022年の2.8%から2023年には4.5%へ加速すると予測(0.5%ポイント下方改定されたものの持ち直し)。
リスクと不確実性
- インフレ動向:
- エネルギーと食料価格の急落がインフレ鈍化を主導している一方、エネルギーと食品を除くコアインフレ率は多くの国でいまだにピークに達していない。
- IMFは今年末のコアインフレ率が前年比で5.1%まで鈍化すると見込んでいるが、これは1月の改訂見通しから0.6%の上方改訂。
- 労働市場と賃金:
- 先進国で労働市場の力強さが続き、総需要は予想より強い。
- 名目賃金の上昇は物価上昇に遅れをとっており、実質賃金が下落しているが、労働供給の弱さがあるため実質賃金は上昇する可能性がある。
- 企業の利益率は近年急上昇しており、多くの人件費増加を吸収できる見込み。
- インフレ期待が十分にアンカーされている限り、賃金物価スパイラルが制御不能になるとは考えていないが、実質賃金の上昇に想定以上の時間がかかる可能性はある。
- 金融セクターの脆弱性:
- 昨年の急激な金融政策引き締めが長期債券に甚大な損失をもたらし、資金調達コストが上昇。
- クレディスイスの事例や米銀行を巡る混乱は、銀行とノンバンク金融仲介機関の脆弱性を浮き彫りにした。
- 金融システム安定性は公的資金に頼らず損失を吸収する能力に依存している。
- 下振れシナリオと確率:
- 銀行が融資をさらに削減するシナリオでは、今年の生産高がさらに0.3%減少する可能性を検討。
- 深刻な「リスクオフ」イベントが生じた場合、今年の世界経済成長率が1%に減速する可能性があり、一人当たり所得の伸びがほぼ停滞する。IMFはその確率を約15%と試算。
- こうしたイベントは新興市場国と発展途上国での大規模な資本流出やリスクプレミアムの急騰、ドル高、消費者信頼感の低下、家計支出と投資の減少をもたらす恐れがある。
中期的展望と構造的課題
- 中期的な成長は全体的に減速する見込み。
- 5年先の成長予測は、2011年の4.6%から2023年の3%へ徐々に鈍化。
- 減速の要因:
- 中国や韓国など以前は急速に成長していた経済の伸びが鈍化。
- パンデミックの傷跡、構造改革の停滞、地経学的な分断化の高まり、貿易摩擦の激化、直接投資の減少、分断された「ブロック」間でのイノベーションとテクノロジー採用の遅れ。
- 分断化された世界は気候変動やパンデミック備えなど地球規模の課題への対応を困難にし、避けるべき道である。
政策提言
- 金融政策:
- 金融安定性が抑制されている中でも、金融政策の重点をインフレ沈静化に置き続けるべき。
- 金融情勢の変化に迅速に順応できるよう準備しておくことが必要。
- 銀行部門の混乱が銀行の貸し渋りを通じて景気減速に繋がる場合、追加的な金融引き締めの必要性は幾分緩和され得るが、インフレとの闘いを時期尚早に放棄するべきではない。
- 財政政策:
- 財政引き締めは経済活動を冷やすことで金融政策を下支えし、実質金利をより早く自然利子率の水準に戻すのに役立つ。
- 適切に計画された財政健全化は、バッファーの再構築や金融安定性の強化に寄与する。
- 多くの国は拡張的財政から舵を切っているが、財政余地を回復するための施策はまだ残っている。
- 規制・監督とグローバルなセーフティネット:
- 規制監督当局は監視強化と市場圧力の管理を通じて、残存する金融の脆弱性が危機に発展しないよう即時行動すべき。
- 新興市場国と発展途上国に対しては、グローバルな金融セーフティネットへの適切なアクセスを確保することが重要。金融セーフティネットの例としては、IMFの予防措置、米連邦準備制度(FRB)の海外・国際金融当局(FIMA)向けレポファシリティ、中央銀行のスワップラインへのアクセスが挙げられる。
- 統合的な政策枠組み(IPF)に沿って、為替相場は金融の安定性リスクや物価の安定を損なわない限り、できるだけ調節可能に保つべきである。
本ブログ記事は、2023年4月「世界経済見通し(WEO)」の第1章「不安定な回復」に基づいている。