IMF サーベイ・マガジン : 国際金融危機以降高まる保険業の金融システム安定化へのリスク
IMF News, April 4, 2016
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- IMF サーベイ・マガジン : 国際金融危機以降高まる保険業の金融システム安定化へのリスク
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- Published: April 4, 2016
概要
- 公表日: 2016年4月4日
- 主題: 国際金融危機以降、保険業界が金融システムに及ぼすリスクが高まっているというIMFの最新研究の要旨。
- 主要点:
- 保険会社は世界の金融資産のうち24兆ドルを保有する長期負債を有する機関投資家である。
- 低金利環境と資産価格変動の影響が保険会社の脆弱性を高めている。
リスクの内容(分析結果)
- 保険会社の役割と脆弱性
- 保険会社は貯蓄主体から借入主体への資金仲介機能を果たすが、資産価格の急落などでこの機能が阻害され得る。
- 低金利環境は保険会社にとって重要なリスクであり、金利水準が低いほど追加的な金利変動の影響が高まる。
- 資産側と負債側の構造
- 保険会社は負債側の満期が長く、金利低下は特に悪影響を及ぼす。
- 米国と欧州において、長期にわたる超低金利環境の継続が保険会社の脆弱性を高めている。
- 投資行動と高リスク資産
- システミック寄与の高まりは、保険会社全体の投資行動の変化だけによるものではない。分析対象国での高リスク資産のシェアはあまり変動していない。
- 個別には、弱小で資本不足の保険会社が復活を図る過程で高リスク資産への投資を進めている例がある。
- 最低保証付きの投資重点型生命保険契約やある種の終身年金など、投資利回り保証付き商品の割合が高い、あるいは保証利回りの水準が高い保険会社では、高リスク資産の保有比率を高めている。
- 市場構造と相関
- Gaston Gelos(IMF国際金融安定分析課課長)の指摘: 「資産クラス間の相関が高まるなどの市場構造の変化に伴い、資産価格の大幅な変動が保険会社に及ぼす影響は他の金融業種と似たようなものになってきている。こうした市場構造の最近の変化は恒久的なものとして定着する可能性が高い。」
- その他の寄与要因
- 米国における終身年金商品の販売拡大が低金利の影響を高めている可能性。
- デリバティブの活用拡大に伴い、金融市場の好不況が及ぼす影響が大きくなっている。
政策課題と提言
- マクロプルーデンス政策の重要性
- 規制監督当局は個々の保険会社の健全性監督(ミクロプルーデンス)に加え、保険業界全体および各国間での共通の動向や影響に注目することが重要。
- 保険会社が一斉に資金供給を絞るような事態を避けるための方策導入が有用。
- 資本バッファー
- 景気循環に応じて余裕資本を好況時に積み増し、これを不況時に活用する仕組みを検討することが提案されている(Gelos課長の示唆)。
- 時価評価と循環緩和措置
- 資産負債の時価評価は透明性を向上させ、資産負債マッチングを促す。
- ただし、時価評価ルール導入時には、不況時に保険会社が資産の投げ売りを迫られないようにする調整ルールなど、景気循環の影響を緩和する措置(例としてEUのソルベンシーIIで予定されている調整ルールのような仕組み)を同時に設ける必要がある。
- 弱小保険会社への注目
- 弱小な生命保険会社の業績や行動に注意することが重要。個別ではシステム的影響が小さく見えても、同時に同じ行動をとると全体へ大きな影響を与える可能性がある。
- 「多すぎてつぶせない」という問題が生じる可能性もある。
国際通貨基金(IMF)